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み使いダニエル

(み使いダニエル)悪霊デミオンと信仰者の戦い 星野ひかり

2021年7月23日10時37分 コラムニスト : 星野ひかり
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(み使いダニエル)悪霊デミオン~さだめ~(上) 星野ひかり+

地の一体に、闇が広がっておりました。へどろのように重い闇が、この世界を覆い尽くそうとしておりました。闇は暗い声で、ささやいておりました。「友達よ」。そして誘っておりました。「この虚無へおいで、そしてその日の悦楽を愉(たの)しもうではないか」

闇からは、無数の触手が伸びており、その触手は一つ一つ自分の名を名乗り、人の足首を掴もうとしておりましたが、それは重く波打つ海のように一体でした。

ある触手はこう名乗りを上げました。「私はデミオン。あなたの友だ」。三日月のように光る眼が、人をとらえました。ある人は、そのささやきに耳を傾け、部屋の隅の暗がりを見つめました。そして合言葉のようにささやきました。「そう、闇こそ、私の友達。私を分かってくれる」

人の心の悲しみに、人生の孤独に、胸に渦巻く暗闇に、デミオンはするりと忍び寄り、その中に巣くいました。

デミオンが特に好んだのは、そのからだのうちに、神の霊を宿している者たちでした。その者たちをとりこにすれば、デミオンは頭(かしら)からの褒美をそれはたくさんもらえるのです。そして、神の霊を宿しているといっても、その霊に照り輝くように、全身にスキがない者などほとんどいなかったのです。

ある人は目ががら空きで、物欲しそうにほかの人と自分を比べました。デミオンはその目に棲み付きました。ある人は口ががら空きで、うわさ話や悪口をやめることができませんでした。デミオンはその口に棲み付きました。ある人は耳ががら空きで、この世のことに耳をそばだて、興味を引かれました。デミオンはその耳に棲み付きました。ある人は手ががら空きで、その手にはこの世の富や誇りが固く握りしめられておりました。デミオンはその手に棲み付きました。そして信仰者たちが、神様に与えられた聖い霊とデミオンの誘惑のはざまで、体がちぎられるほどにもがき苦しむことが、楽しくて仕方なかったのです。

たとえ目が覚めているときは祈りに勤めている者であっても、眠りに落ちる間際の無防備にデミオンは滑り込みました。そして忘れることのできない過去や、つらい思い出を思い起こさせ、眠りの中で悲鳴を上げさせて遊びました。

デミオンにとっては、人間の体は遊技場、この世界は大きな遊園地のようでした。

ダニエルはまばゆい光に溶け入りながら、その様子を見つめておりました。その瞳は、神と同じく眠ることなく開かれておりました。その目は言っているようでした。「あわれな者よ」。しかしデミオンは甲高く笑い、再びある人の心の暗がりのうちにするりと入ってゆくのです。

彼女は、夜ごとに祈っていました。「どうかイエス様、私のからだのすべてをその聖さで満たしてください。そしてどうか、罪を犯さないようにしてください」

彼女の部屋は三畳半に満たない小さなもので、神様について勉強する木彫りの机と、疲れた体を横たえるベッドだけがありました。優しい彼女が大好きな2匹の猫が、ベッドの上で丸くなっておりました。ベッドの脇の目覚まし時計は、夜中の1時を差しており、彼女はあくびして猫たちを引き寄せてベッドの中に入りました。

眠る間際まで、彼女はイエス様のことを想っていました。「私たちの主は、枕する所もなかったというのに、このように温かな寝床のある私は一体何者なのでしょう」

そんな彼女でありましたが、眠りの中にデミオンが滑り込んだのです…。彼女は、真夜中に階段を降りてくる、何かの気配を感じました。それはとても恐ろしい気配で、人間とは思えないものでした。その気配は、彼女の上に覆いかぶさるようにのしかかり、体はこわばり、動けなくなりました。「イエス様、どうか助けてください、この家にはいったい何者が棲み付いているというのですか?」そう助けを求めました。じわりじわりと真綿で首を絞められてゆくことを感じます。それは夜ごとに繰り返される、彼女の悪夢でした。

朝になると、天井がゆっくり回っていました。起き上がろうにもめまいがひどくて体が言うことを聞きません。そうこうしていると、低い声で「まだ寝てるのか」と彼女を責め立てる声がしました。「飯も作らないで」。吐き捨てるような声が聞こえます。ボーっと汽笛のような耳鳴りが響いて、そんな夫の声色も、耳鳴りの中でぼやけてゆきます。

「ごめんなさい、めまいがひどいの」。彼女はそう言うと、ベッドの中にもう一度もぐり込みました。

「片付けもできないのか」「飯はこれだけか」。彼女の頭の中に、夫の言葉がとぐろを巻くように居座って、彼女を責め続けます。その言葉は彼女の頭を重くして、めまいや頭痛となって表れました。

彼女は教会を愛しておりましたが、それでも、ほかの人たちは皆良い夫を持っているように思えて、心に寂しさを覚えました。

「また教会か」。そう吐き捨てる夫を、彼女は見ました。彼女の目に、デミオンは宿っておりました。嫌悪、憎悪、あらゆる疎ましきものを見るように、彼女は夫を見たのです。夫は以前からその目に気付いておりました。そして吐き捨てました。「何が神だ」

動悸が激しくなり、血圧が上がってゆくことを感じました。頭が熱い血でいっぱいで、今にも破裂しそうになって、彼女はその場に倒れ込んだのです。遠くで救急車のサイレンの音が聞こえました。優しい救急隊員の手が彼女を抱き上げる感触に、心は安堵しておりました。

真夜中に目が覚めると、彼女は暗い病室におりました。不思議と心は落ち着いておりました。まるで病室が七色の祈りで満たされているように感じました。

病室の扉にうっすらと人影が現れました。静かに扉が開くと、ひとりの人が、音もなく入ってきたのです。その人はとても背が高く、暗闇でよく見えなかったので、看護師の巡回だと思いました。

その人は彼女のベッドに近づくと、そっと手首を取りました。その手は何とも言えず優しい感触で、心がほどけるように涙がこみ上げました。

「つらいのですね」。その人は言いました。彼女は涙をぬぐいながら「つらい」と答えました。深くうなずくその人は、「知ってる」と言うようでした。

「さびしいのですね」。その人は言いました。彼女は答えました。「さみしい」。深くうなずくその人は、「知ってる」と言うようでした。

「愛されたいのでしょうか」。その人は聞きました。彼女は一瞬驚きましたが、その口は「そう」と告白しました。深くうなずくその人は、「知ってる」と言うようでした。そしてその人は、くらくらするような美しい声色で、こう言ったのです。

「しかしあなたも知らなければならない。どんなに神様があなたを想い、心配し、愛しているかを」。彼女はつい言いました。「だったら神様はもっと良いものを与えるでしょう?」

その人はゆっくり首を振るようでした。「そうでしょうか。良いものを与えられて、愛されていると知ることは簡単なことです。しかし、悪いものを与えられながら、それでも神に愛されていることを知れる者は幸いです。その愛の深さを知るからです。あなたには、そんな ‘本当に幸いな者’ になってほしいのでしょう」

彼女は驚きました。そして「あなたは?」と聞こうとしたとき、その人がわずかな光に溶け入るように消えてゆくのを見たのです。

彼女はしばらく呆然とし、「私は何を見たのでしょう…」と神様に聞きました。

退院の日に迎えに来た夫は、めずらしく優しい声で「大丈夫か」と聞き、彼女の荷物を持ってくれました。
デミオンはそれでも誇り顔。彼女の人生を楽しい遊戯場のように思っては「愉快だな」と笑いました。ダニエルはそれを見つめて「あわれな者よ」と言いました。

彼女は、まだまだ繰り返し誘惑に晒されることでしょう。神の愛の招きの激しさが、彼女に試練を与え続けるのかもしれません。しかし、「はずかしめられては祝福し、迫害されては耐え忍び、ののしられては優しい言葉をかける」(1コリント4:12)。そんな主ご自身が、彼女を守ろうとしておりました。

彼女は口をキッと結んで、デミオンの待ち構えるわが家に帰ってゆきました。その手はとても久々に、夫の手を握っていました。

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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