Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
み使いダニエル

(み使いダニエル)悪霊デミオンと信仰者の戦い 星野ひかり

2021年7月23日10時37分 コラムニスト : 星野ひかり
  • ツイート
印刷
(み使いダニエル)悪霊デミオン~さだめ~(上) 星野ひかり+

地の一体に、闇が広がっておりました。へどろのように重い闇が、この世界を覆い尽くそうとしておりました。闇は暗い声で、ささやいておりました。「友達よ」。そして誘っておりました。「この虚無へおいで、そしてその日の悦楽を愉(たの)しもうではないか」

闇からは、無数の触手が伸びており、その触手は一つ一つ自分の名を名乗り、人の足首を掴もうとしておりましたが、それは重く波打つ海のように一体でした。

ある触手はこう名乗りを上げました。「私はデミオン。あなたの友だ」。三日月のように光る眼が、人をとらえました。ある人は、そのささやきに耳を傾け、部屋の隅の暗がりを見つめました。そして合言葉のようにささやきました。「そう、闇こそ、私の友達。私を分かってくれる」

人の心の悲しみに、人生の孤独に、胸に渦巻く暗闇に、デミオンはするりと忍び寄り、その中に巣くいました。

デミオンが特に好んだのは、そのからだのうちに、神の霊を宿している者たちでした。その者たちをとりこにすれば、デミオンは頭(かしら)からの褒美をそれはたくさんもらえるのです。そして、神の霊を宿しているといっても、その霊に照り輝くように、全身にスキがない者などほとんどいなかったのです。

ある人は目ががら空きで、物欲しそうにほかの人と自分を比べました。デミオンはその目に棲み付きました。ある人は口ががら空きで、うわさ話や悪口をやめることができませんでした。デミオンはその口に棲み付きました。ある人は耳ががら空きで、この世のことに耳をそばだて、興味を引かれました。デミオンはその耳に棲み付きました。ある人は手ががら空きで、その手にはこの世の富や誇りが固く握りしめられておりました。デミオンはその手に棲み付きました。そして信仰者たちが、神様に与えられた聖い霊とデミオンの誘惑のはざまで、体がちぎられるほどにもがき苦しむことが、楽しくて仕方なかったのです。

たとえ目が覚めているときは祈りに勤めている者であっても、眠りに落ちる間際の無防備にデミオンは滑り込みました。そして忘れることのできない過去や、つらい思い出を思い起こさせ、眠りの中で悲鳴を上げさせて遊びました。

デミオンにとっては、人間の体は遊技場、この世界は大きな遊園地のようでした。

ダニエルはまばゆい光に溶け入りながら、その様子を見つめておりました。その瞳は、神と同じく眠ることなく開かれておりました。その目は言っているようでした。「あわれな者よ」。しかしデミオンは甲高く笑い、再びある人の心の暗がりのうちにするりと入ってゆくのです。

彼女は、夜ごとに祈っていました。「どうかイエス様、私のからだのすべてをその聖さで満たしてください。そしてどうか、罪を犯さないようにしてください」

彼女の部屋は三畳半に満たない小さなもので、神様について勉強する木彫りの机と、疲れた体を横たえるベッドだけがありました。優しい彼女が大好きな2匹の猫が、ベッドの上で丸くなっておりました。ベッドの脇の目覚まし時計は、夜中の1時を差しており、彼女はあくびして猫たちを引き寄せてベッドの中に入りました。

眠る間際まで、彼女はイエス様のことを想っていました。「私たちの主は、枕する所もなかったというのに、このように温かな寝床のある私は一体何者なのでしょう」

そんな彼女でありましたが、眠りの中にデミオンが滑り込んだのです…。彼女は、真夜中に階段を降りてくる、何かの気配を感じました。それはとても恐ろしい気配で、人間とは思えないものでした。その気配は、彼女の上に覆いかぶさるようにのしかかり、体はこわばり、動けなくなりました。「イエス様、どうか助けてください、この家にはいったい何者が棲み付いているというのですか?」そう助けを求めました。じわりじわりと真綿で首を絞められてゆくことを感じます。それは夜ごとに繰り返される、彼女の悪夢でした。

朝になると、天井がゆっくり回っていました。起き上がろうにもめまいがひどくて体が言うことを聞きません。そうこうしていると、低い声で「まだ寝てるのか」と彼女を責め立てる声がしました。「飯も作らないで」。吐き捨てるような声が聞こえます。ボーっと汽笛のような耳鳴りが響いて、そんな夫の声色も、耳鳴りの中でぼやけてゆきます。

「ごめんなさい、めまいがひどいの」。彼女はそう言うと、ベッドの中にもう一度もぐり込みました。

「片付けもできないのか」「飯はこれだけか」。彼女の頭の中に、夫の言葉がとぐろを巻くように居座って、彼女を責め続けます。その言葉は彼女の頭を重くして、めまいや頭痛となって表れました。

彼女は教会を愛しておりましたが、それでも、ほかの人たちは皆良い夫を持っているように思えて、心に寂しさを覚えました。

「また教会か」。そう吐き捨てる夫を、彼女は見ました。彼女の目に、デミオンは宿っておりました。嫌悪、憎悪、あらゆる疎ましきものを見るように、彼女は夫を見たのです。夫は以前からその目に気付いておりました。そして吐き捨てました。「何が神だ」

動悸が激しくなり、血圧が上がってゆくことを感じました。頭が熱い血でいっぱいで、今にも破裂しそうになって、彼女はその場に倒れ込んだのです。遠くで救急車のサイレンの音が聞こえました。優しい救急隊員の手が彼女を抱き上げる感触に、心は安堵しておりました。

真夜中に目が覚めると、彼女は暗い病室におりました。不思議と心は落ち着いておりました。まるで病室が七色の祈りで満たされているように感じました。

病室の扉にうっすらと人影が現れました。静かに扉が開くと、ひとりの人が、音もなく入ってきたのです。その人はとても背が高く、暗闇でよく見えなかったので、看護師の巡回だと思いました。

その人は彼女のベッドに近づくと、そっと手首を取りました。その手は何とも言えず優しい感触で、心がほどけるように涙がこみ上げました。

「つらいのですね」。その人は言いました。彼女は涙をぬぐいながら「つらい」と答えました。深くうなずくその人は、「知ってる」と言うようでした。

「さびしいのですね」。その人は言いました。彼女は答えました。「さみしい」。深くうなずくその人は、「知ってる」と言うようでした。

「愛されたいのでしょうか」。その人は聞きました。彼女は一瞬驚きましたが、その口は「そう」と告白しました。深くうなずくその人は、「知ってる」と言うようでした。そしてその人は、くらくらするような美しい声色で、こう言ったのです。

「しかしあなたも知らなければならない。どんなに神様があなたを想い、心配し、愛しているかを」。彼女はつい言いました。「だったら神様はもっと良いものを与えるでしょう?」

その人はゆっくり首を振るようでした。「そうでしょうか。良いものを与えられて、愛されていると知ることは簡単なことです。しかし、悪いものを与えられながら、それでも神に愛されていることを知れる者は幸いです。その愛の深さを知るからです。あなたには、そんな ‘本当に幸いな者’ になってほしいのでしょう」

彼女は驚きました。そして「あなたは?」と聞こうとしたとき、その人がわずかな光に溶け入るように消えてゆくのを見たのです。

彼女はしばらく呆然とし、「私は何を見たのでしょう…」と神様に聞きました。

退院の日に迎えに来た夫は、めずらしく優しい声で「大丈夫か」と聞き、彼女の荷物を持ってくれました。
デミオンはそれでも誇り顔。彼女の人生を楽しい遊戯場のように思っては「愉快だな」と笑いました。ダニエルはそれを見つめて「あわれな者よ」と言いました。

彼女は、まだまだ繰り返し誘惑に晒されることでしょう。神の愛の招きの激しさが、彼女に試練を与え続けるのかもしれません。しかし、「はずかしめられては祝福し、迫害されては耐え忍び、ののしられては優しい言葉をかける」(1コリント4:12)。そんな主ご自身が、彼女を守ろうとしておりました。

彼女は口をキッと結んで、デミオンの待ち構えるわが家に帰ってゆきました。その手はとても久々に、夫の手を握っていました。

<<前回へ     次回へ>>

◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • (み使いダニエル・信仰者編)ケンジのものがたり 星野ひかり

  • (み使いダニエル・信仰者編)サキのものがたり 星野ひかり

  • (み使いダニエル・信仰者編)ヨウコのものがたり 星野ひかり

  • (み使いダニエル・信仰者編)ハナのものがたり 星野ひかり

  • (み使いダニエル・信仰者編)ケンのものがたり 星野ひかり

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.