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み使いダニエル

(み使いダニエル・信仰者編)サキのものがたり 星野ひかり

2021年6月24日17時42分 コラムニスト : 星野ひかり
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(み使いダニエル・信仰者編)リカのものがたり 星野ひかり+

サキは、初めて借りた自分の部屋へ引っ越しを済ませたばかりでありました。6畳の洋間とベージュ色のユニットバス、小さなキッチン。ささやかな部屋でありました。窓際に寄せた勉強机には、アンティーク調の縁取りの写真立てが大切そうに飾られており、サキの愛した大伯母が満面の笑顔でサキを見守っていてくれました。

大伯母は、一足先に天の御国に旅立ちました。しかしサキの心に「信仰」を残していってくれた人でありました。大伯母は、サキの霊の母であり、姉のようでありました。いくつになっても子どものように愛くるしく無邪気な心を持ち続け、その心のままにイエス様を愛していた方でした。

心が不安や恐れに押しつぶされそうになると、サキは大伯母がイエス様と共に天の御国にいて、今もサキを見守ってくれていることを感じました。心細い夜は、いつもの口調でサキを励ます声が聞こえるようです。「サキちゃん、もっと自信を持たなきゃ」。あなたは素晴らしいのよ、そう訴えるように大伯母はよく言ってくれていたのですから。

サキはフリーのイラストレーターとして暮らし始めておりました。今は雑誌やネットの端々に小さなイラストを載せてもらうことで精いっぱいでありましたが、いつか自分の個展を開きたい、そんな夢を持っていました。

引き出しから画材を取り出すと、クレパスを並べ、絵を描き始めます。まるで宙が開け、大きな満月がサキの部屋に降りてくるようにして、サキの時間が始まります。サキが仕事をする夜は、この世界のいつわりのベールがめくられて、神様の神秘が果てしなく広がってゆくのです。世界は本来の美しさと神々しさを取り戻して、キラキラと輝くようでした。窓から見える街並みの、街灯の一つ一つが星々のように輝いて、家々を照らしておりました。おもちゃ箱のような街並みの上に、果てしない宇宙が広がって、刻一刻と違う色で空の色彩を変えてゆくのを、胸を高鳴らせて見つめました。今も道端に根付いて咲いているひなげしが、風に揺れているのを感じます。サキの心も踊り始め、クレパスを画用紙に走らせます。

サキが描くのは、花や空、海や風、この世界に一生懸命に生きる生き物たちの姿でした。サキは願っておりました。神様の創造の素晴らしさを、少しでもなぞり、留めたいのだと。

ゆっくりとページがめくられるように、朝日が空に滲み始め、部屋を明るく照らすまで、サキの仕事は続きます。そして、コーヒーを飲みながらパンをかじると、明るくなった部屋を遮光カーテンで閉ざして、ベッドに横たわるのです。

昔、サキは登校拒否を経験したことがありました。皆が学校に行っている昼間を怖がるようになり、夜に生きることを好むようになりました。あの頃にあった心の暗がりは、愛しい大伯母とイエス様が照らしてくれましたが、「夜」はサキを今でも愛し、守ってくれておりました。

そして、サキを守っているものは、夜の静けさの中に棲む、み使いたちでもありました。サキが母親の胎の中で形づくられる前から、サキの生まれることを喜んでおられた神様が、サキに遣わしたみ使いたちです。その一人であるダニエルは、サキのぐったり眠るのをそれは愛しそうに見つめながら、この小さな部屋の暮らしを祝福しておりました。

「人生はつらいことも多いでしょう。打ち寄せる波のように、試練があなたを襲うかもしれません。それでもあなたはきっとそれらに打ち勝って、神様の喜びとなることでしょう」。まるで愛しい妹に語るようにダニエルはそうささやき、部屋を聖らかな霊で満たしました。サキは大いなるものに守られていることを感じて、幸せな眠りを味わいました。

「何も心配もせず休みなさい」。そうダニエルはほほ笑んで、飴色のベールをひるがえすように光の中に溶け入りました。「目を覚ませば、その日の労があるでしょう。しかしあなたは立派な神の同労者なのですから」

神様には、夜も暗くないといいます。また神様は、まぶたを下すことなく働いておられるといわれます。今も風を吹かせ、花を咲かせ、ひとりひとりの心の深みの底までにその熱いまなざしを注いでおられるといわれます。それが真実であることを、心で捉えた者は幸いです。梅雨の降りやまぬ雨も、凍てつく冬の冷たさも、花咲く5月の日のように喜ぶ心が与えられるのですから。

実績もあまりないフリーのイラストレーターは、安く買いたたかれることが少なくありませんでした。ある日、サキは自分の描いたイラストの値段を、描いた時間で割ってみました。時給にすると、それは300円にも満たないものでした。サキは悔しくて、クレパスを握りしめ、涙を流して描きました。すると、空から声がするようでした。「あなたに対するわたしの恵みは十分である」と、愛する聖句が聞こえるのです。ここは神様が支配する世界であることを思い出しました。それは人から支払われたようであっても、神様からの恵みに変わりないのですから。どんなに安く買いたたかれようと、主を前にした平安がありました。その平安は、どんなにお金を払っても、買えるものではないのです。「神様、感謝します」。涙を頬に伝わせながら、サキの口から賛美が生まれました。

サキには、いつか南国の砂浜で満天の星空を見てみたいという夢がありました。それはどんなに美しいことでしょうか。神様が空に描いてくださった星くずたちを、時間を忘れて見つめる自分を想像していたのです。自分がそんな所に行けるのは一体いつになるだろうか、とふと思ったとき、カーテンの隙間から見える空が輝いていることに気付きました。ぼんやりとカーテンをめくりました。するとそこには、虹色に輝いた星くずのような光の粒たちが、空を覆いつくすようにして見えたのです。サキは頬を赤らめました。南の国の砂浜に行けない私のために、神様がこんなに素敵な空を見せてくださった、と思いました。

サキはスケッチブックをめくり、その空を無我夢中で描きました。「天の御国は、あなたがたのなかにあるのです」そう言われたイエス様の言葉を思い出しました。輝きで埋め尽くされたような天の御国は、もはや、サキの心にあったのです。その心を与えられた者は、この世に生きながら、天の御国の美しさを見るようでありましょう。天の御国の賛美が、空を覆いつくすようにして聴こえてくることでしょう。

ここは、暗い風の吹きつける、悪魔の支配したる地上の世界でありながらも、心に天の御国を来たらせた者には、御国は遠いものではありません。神様も、天の軍勢もすぐそこにおり、御国の麗しさも眼前に見えるようでありましょう。だからこそ、この世の暗い風にも耐え忍んで歩めるのです。

サキはこの夜ほど、御国をそばに感じたことはありませんでした。まるで今にも、空をめくって御国に行けるように思いました。どうか、そうさせてほしいと願いました。なぜ、まだまだ、この重い体を引きずって、この暗い地に留め置かれなければならないのか、と切に思ったのです。しかし神様はただ沈黙して、サキに光の粒でできた星空を見せ続けました。

この世はあまりに悲しいことが多すぎました。登校拒否を経験した時代には、クラスメートたちの冷たいまなざしに傷つきました。その傷を癒やしてくれた最愛の大伯母を失ったときも、どんなにつらかったことでしょう。蝋人形のような亡きがらは、そこに霊がないことを教えました。大伯母の霊があるところは、もはや御国でしかなく、大伯母はこの地での労苦を解かれてイエス様のもとにいることを信じました。そのことが、サキの御国への思いを強くしました。

大伯母が生前にこんなことを言っていました。「サキちゃん、年を取るとね、死ぬことが怖くなくなるの。だって、愛する人がどんどん御国へと旅立つのだから、早くそこに行って皆に会いたいと思うのよ」。サキはそれを聞いて、いつか、同じことが言えるようにと願ったのです。

まだまだ、御国には知っている人は父なる神様とイエス様、大伯母しかおりません。しかし、もっと生きていけばきっと、御国は大勢の愛する人が待っている世界になることでしょう。そうしたら、もっともっと御国への想いも強くなって、神様がサキの祈りを聞いてくださる日が来るのかもしれません。

それまでは、まだ健康で太いこの足で、この地に立って働き続けなければならないのだ。そう思って、サキは立ち上がり、昨晩から卵液に浸けてあったパンをフライパンで焼き始めました。大好きなフレンチトーストが甘い香りを放ちながら焼き上がりました。それをお皿に移すと、インスタントのカフェオレを淹れて、まだ朝日の昇る前でありましたが、朝食をとりました。口の中で甘いパンがとろけます。めいっぱい頬張って、自分を力づけるのです。

明日は午後から臨時のバイトが入っています。イラストだけでは生活できないため、引っ越しの臨時バイトを入れてはお金を稼がなければなりませんでした。幸いながらまだ若くて健康で、逞(たくま)しい体を持っているので、汗をかきながら2、3軒の家を回って荷を詰め込むのにも耐えられます。サキの健康で太い足は、よく歩け、また走れ、この地でまだまだ長く働けることを教えます。それに厚切りのフレンチトーストを2枚も食べて、お腹もいっぱい。これからお昼までよく眠って、明日は汗を流して働きます。

この夜に描いた、神様の見せてくださった星くずの絵が小さな賞を取るのはまだ先のこと。サキはその日のことをまだ知りません。もちろんダニエルは、その日のことも知っていますし、もっと先のことだって知っています。

「明日は明日の労がありましょう・・・。今日も神様の懐に安んじて、よくお眠りなさい」。そう言ってダニエルはほほ笑んで、愛しい妹にそうするように、光のベールの毛布をかけてやりました。

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◇

星野ひかり(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。2018年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。

■ 星野ひかりフェイスブックページ

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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