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世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯

世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(2)友の重荷を背負う

2020年10月21日12時04分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジョン・ウェスレー
世界はわが教区―ジョン・ウェスレーの生涯(1)猛火から救われて+
ジョン・ウェスレー(1703~91、画像:Frank O. Salisbury)

11歳になったジョンは、父親の友人であるバッキンガム侯爵の援助でロンドンのチャーター・ハウス校に入学することになった。彼はよく勉強し、品行方正だったので教師たちから目をかけられ、かわいがられた。すると、級友たちはこれをねたみ、あの手、この手で嫌がらせをするようになった。

しかし、ジョンはこんな彼らを恨むことをせず、校長に訴えることもしないで一人で耐えたのだった。

ある時のことである。食事の時間に乱暴な上級生が隣に座った。彼は横目でジョンのことを見ていたが、その耳もとで脅した。「おい、そのおかずよこせよ」。しかし、ジョンは黙って食事をしていた。すると、彼はいきなりテーブルの下で、思いきりすねを蹴飛ばした。

「言うことを聞かないとひどい目にあうぜ」。「きみがおなかをすかせているなら自分の分をあげてもいいよ。でもきみは自分のおかずに手をつけていないじゃないか」

ジョンは静かに言った。するとこの上級生は彼の腕をつねり上げ、その皿からおかずを取り上げてしまった。

それから毎日、この上級生は彼の皿からおかずを奪い続けたが、ジョンは一言も教師に告げ口をすることなく、何と4年間もおかずなしで食事を続けたのだった。

またある日、こんなことがあった。ウィリアム・ホーキンスというクラスで一番乱暴者の生徒がジョンの教科書を隠してしまった。「お願いだから返してくれないか。先生に叱られるから」。必死で頼んだが、ホーキンスはふてぶてしく腕組みし、首を横に振った。「知らないねえ。自分で探してみろよ。まあ、きみはいつも優等生だからたまには叱られるのもいいんじゃないか」

そのうち文法の時間がきた。教師は、教科書をどうしたのかとジョンに聞いた。「あのう…」。ジョンは立ったまま、何も言えなかった。その時、一番前の席の生徒が言った。「ジョンが悪いんじゃありません。ウィリアム・ホーキンスがそれを体育館の後ろの倉庫に隠すのを見たんです」

ウィリアム・ホーキンスはそれを聞くと急に青ざめてガタガタ震え出した。教師は厳しい顔で彼に言った。「きみは近ごろ、下級生や弱い者をいじめてばかりいるそうじゃないか。今またクラスの友達にそういうひどいことをするなどもってのほかだ。きみの両親に手紙を書いて引き取ってもらうことにするから、処分が決まるまで自分の部屋で待っていなさい。もう教室には出ないでよろしい」

すると、この乱暴者はいきなり机の上に身を伏せると悲しそうにすすり泣きを始めた。この時、ジョンははっと胸を突かれた。ウィリアム・ホーキンスの家が大変貧しく、レンガ職人である父親が仲間とけんかをして相手を傷つけて刑務所に入っているので、病身の母親がその細腕で内職しながら子どもたちを養っていることを耳にしていたからである。ウィリアム少年は伯父の情けで何とか学校に行かせてもらっていたのだ。

机に身を伏せて泣いている彼の姿を見たとき、何ともいえないほどの同情とあわれみがジョンの胸から湧き上がってきた。

「先生」。いきなり、ジョンは立ち上がった。「実は、ぼくが教科書をあそこに忘れてきたのでした。ホーキンスが悪いんじゃありません」。クラスの級友は、あっけにとられたように見守っていた。

教師は壁にかけてあるムチを取ると、ジョンの痩せた体をしたたか打ってから、文法の授業が終わるまでドアの所に立たせておいた。ジョンは友人の心の痛みを一緒に分け合いながら、喜んでこの苦痛に耐えた。彼が悲しむ者、苦しむ者と重荷を共に背負ったこれが最初の体験であった。

やがて授業が終わると、ウィリアム・ホーキンスは彼の所にやってきて、そっと言った。「ウェスレー君、悪かった。本当にぼくは卑怯な人間だった。許してくれたまえ」。「ううん、いいんだよ。何とも思っていないから安心していいよ」。ジョンは静かに言った。

「それじゃあ」。ホーキンスは手を差し出した。「これから友達になってくれるかい?」「ああ、喜んで」。ジョンはしっかりとその手を握り返した。

このことがあってから、ジョンに意地悪をしたり、悪口を言う者は一人もいなくなった。

*

<あとがき>

いつの時代にも、どこの国においても「いじめ」は存在します。特に学校においては、品行方正で教師の信任の厚い生徒に対しては、級友のねたみやそしりがつきものです。ウェスレーの場合も例外ではありませんでした。しかし、彼は上級生から悪質ないじめを受けても、これを恨んだり、校長に訴えたりすることはなかったのです。

そしてある日、クラスで有名な乱暴者のウィリアム・ホーキンスからひどいいじめを受け、教科書を隠されてしまいます。しかしこの時、一部始終を見ていた級友の証言でホーキンスの悪事が発覚し、彼は校長から退学処分を命じられます。しかしウェスレーは、彼の家が貧しく、父親は刑務所に入っており、母親は働いて子どもを養っている貧困家庭であることを知り、あえて彼をかばって罰を引き受けたのです。

この出来事は、後のウェスレーの苦しむ者に寄り添い、福音を伝える巡回伝道者の姿をかいま見るような思いがします。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。80〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、82〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、90年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。12年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。15年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジョン・ウェスレー
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