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映画「ラストレター」 「手紙」と「聖書」の素敵な関係

2020年1月28日15時03分 執筆者 : 青木保憲
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映画「ラストレター」 「手紙」と「聖書」の素敵な関係+
©2020 「ラストレター」製作委員会

かつて学生キャンプ(今で言うユースキャンプ)に参加したときのこと。講師の先生がこうおっしゃられたのを覚えている。

「皆さん、聖書は神様からの愛のラブレターです!(そのまま)」

お気付きだろうが、「愛のラブレター」は、「年老いた老婆」「幼い幼児」と同様に悪文である。子どもながらに心の中でツッコミを入れていたことで、この言葉を今でも覚えている。言い回しはどうあれ、講師の先生がおっしゃりたかったのは、それくらい神様は私たちを愛しておられるのだよ、ということだろう。それ以来、聖書を開くとき、いつも「神様からの愛のラブレター」と思う自分がどこかにいる。これは牧師になってからも変わることがない。

さて、そんな聖書ととてもよく似た描き方で、私たちに感動を与えてくれる作品が「ラストレター」である。監督は岩井俊二。主演は松たか子。さらに福山雅治のほか、広瀬すず、森七菜ら、今を時めく女優たちが共演する。一方、観客の中には今から25年前、本作同様「手紙」を題材とした岩井監督の作品を観た人も多いだろう。中山美穂、豊川悦司主演の「Love Letter」である。この2人は本作「ラストレター」にも出演している。

「Love Letter」はいろんな意味でエポックメイキング的な作品であった。まず何より、「岩井俊二」という監督のメジャー第一作であったということ。彼が生み出した世界観、そして映像は、映画評論家の間では「岩井俊二以前と以後で日本映画を分けた」といわれているそうだ。そしてもう一つ、「アイドル・中山美穂」を「女優・中山美穂」に押し上げたということである(個人的には、彼女の学生時代を演じた酒井美紀の方がお気に入りだが・・・)。

岩井監督が紡ぎ出す「手紙をめぐる物語」は、あらすじだけを読むと一見、荒唐無稽にしか思えない。しかし、この物語が映像で語り直されると、驚くべきリアリティーと説得力で観客は圧倒される。私も「Love Letter」には涙した者の一人である。当時27歳! 結婚前であった私は、文字通り「愛の手紙」を今の妻へ出し、文通をしていたため、より感情移入ができたのかもしれない。

それから25年。同じ岩井監督が、「Love Letter」へのアンサー的な意味合いで「ラストレター」という作品を世に送り出した。こちらも傑作であった。特に感銘を受けたのは、映画が「Love Letter」と似た構造を持ちながらも、確かに「Love Letter」から25年たっているからこそ「ラストレター」が生み出されたということである(ただし、2作品に関連はまったくない)。ここでは詳細は述べない。ただ、かつて恋をした者、そして今はその恋を懐かしく思い出す者たちは、必ずこの「岩井ワールド」の虜になるだろう、とだけ申し上げておきたい。

ノスタルジックな語り口調に加え、今を時めく旬な女優たちを起用することで、古色蒼然(そうぜん)とした大人だけが楽しむ映画にはなっておらず、若い世代に対しても開かれていることを明記しておかなければならないだろう。人気女優たちのアイドル映画としての一面も決して忘れていないのが、岩井監督である。

本作は、前回私がレビューした「男はつらいよ50 おかえり寅さん」にも通じる「不在の在」を扱った作品である。しかも「おかえり寅さん」よりももっとストレートに「不在」である人物をクローズアップさせ、その人物の言動を時間差で見せる装置として「手紙」が大きく作用している。

そもそも「手紙」とは、大げさな表現かもしれないが、「時空を最も感動的に超える手段」である。「Love Letter」「ラストレター」では、共にラストであるオチがつく。ここに至って、今は亡き「不在の在」として物語を牽引してきた人物の本音(共に相手への愛)が吐露される。観客はそれを薄々感じてはいても、あらためてそのことを告げられると、特に心にしみる。それは、手紙の手紙たるゆえんだろう。これはメールやSNSでは絶対に醸し出せない趣である。

ここで冒頭の「聖書は神様からの愛のラブレターです!」という言葉が重要になってくる。聖書、特に新約聖書には文字通りの「手紙」が出てくる。それは例えば、パウロという指導者がガラテヤという地方教会に向けて訴えたいメッセージを書きつづったものである。しかし、これは瞬時に届けられるものではない。書いてから届くまでに、時間差が生じる。さらにその手紙を「聖書」に収録したことで、ガラテヤの教会と同じような状況にある他の人々にもパウロのメッセージは伝えられる。彼のメッセージは、今も時空を超え、現代の私たちの元に届けられている。

時空を超えて伝えられるメッセージが予想以上にストレートだったり、より深く読み手のことを考えていたりする場合、この「時間差」が大きな武器(インパクトをより引き立てる手段)となる。

これをさらに大きな視点で見るなら、天地万物を創造された神が、その訴えたいメッセージを「聖書」という形でまとめた、と受け止めることは、人間にとっての「手紙」の効用を知っている者からすれば、至極まっとうで効果的な伝達方法ということになる。手紙とは、神の知恵を代弁するものの一つだともいえるだろう。

本作「ラストレター」は、私にとって生涯ベスト級の感動があった。その感動は、ノスタルジックな自身の学生時代の振り返りであったり、苦しみや悲しみを乗り越えて生きようとする若者たちへのエールであったり・・・観た者各々にそれぞれの解釈や思いが生まれてくるだろう。

しかし、どうしてこの映画で感動するのかと突き詰めるなら、それは「聖書」と同じく「時空を最も感動的に超える手段」を用いているからに他ならない。そういった意味で、聖書と本作「ラストレター」は、扱う題材は異なれど、同じ方法を用いて「愛することの素晴らしさ」「相手を思いやることの大切さ」を訴え掛けているといえる。

純然たる日本映画であるため、キリスト教的な何かがそのままズバリ登場するわけではない。しかしその下地というか、丁寧に語られていくトーンといったところに、「愛すること」の素朴でありながらも力強さを感じさせる作品となっている。

何度でも観返したくなる傑作である。

■ 映画「ラストレター」 予告編

■ 映画「ラストレター」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会研修牧師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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