月桃通信(8)県民投票の成功を祈って 石原艶子

2019年1月30日21時19分 コラムニスト : 石原艶子 印刷
関連タグ:沖縄米軍基地
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県民投票キックオフ集会に集まった人々=26日、米軍キャンプ・シュワブゲート前で(写真:山本英夫撮影)

「すべての命は、ひとつの大きな命の中にある。すべての命がこうしてつながっているとしたら、ひとつの命への暴力は、すべての命へとつながる。こうして、わたしたちは、この世界の暴力から、ひとり無縁でいることはできない」(『ガンディー魂の言葉』から)

「辺野古新基地反対、人殺しのためのすべての軍事基地に反対、全基地撤去。私たちは勝つまで諦めない」(座り込み市民の言葉)

26日(土)、県民投票キックオフ集会に3千人もの県民が結集して、辺野古新基地を絶対に造らせないとの沖縄県民の心が一つになって叫びを上げました。米軍基地キャンプ・シュワブが揺り動いているように私は体中で感じました。そして「沖縄はスゴイ! 生きている!」と心の内で叫びました。胸が張り裂けそうになりました。韓国の民と響き合う同質のエネルギーが、沖縄の民の血の中を駆け巡っているように実感しました。

こんなに小さく貧しい民を、なぜ安倍政権はいじめるのでしょうか。なぜ県民投票という必死のこの私たちの行動を踏みつぶそうと妨害するのでしょうか。どんなに民意を示しても、知事が撤回をしても一顧だにされず、見捨てられているから力をふりしぼって県民投票をしようと若者たちが立ち上がってくれたのに、なぜそれをもつぶそうとするのですか。私たちは虫けらではありません。魂を持った沖縄の民ですよ、と叫びたいのです。

安倍政権は今回もまた、沖縄を二分、分断して県民投票を無効化しようと、圧力を加えました。保守系市長の5市(石垣市、宮古島市、宜野湾市、沖縄市、うるま市)に対して、自民党の国会議員を利用して、市議会議員たちに県民投票を拒否するよう学習会を開き、資料を渡していたのです。県民投票に関する予算を否決しても法的問題はないというお墨付きまで示して、反対する議員の後ろ盾となっていた事実が明らかにされました。市議会を傍聴したとき、反対する自民党議員は反対の論拠もまったく示さず、あまりの無能さにあぜんとしたのもそのはず、彼ら議員たちはただ上の指示通りに動いていたにすぎなかった実態が見て取れました。

いよいよ5市(有権者の30パーセント)が県民投票を実施しないという事態となり、私たちうるま市の仲間たちは、他の4市もそれぞれに全身全霊でこの事態を受け止め、できることはすべてやって各市長が県民投票の実施を決定してくれるまで、訴訟をも視野に入れて戦うことにしました。街頭で朝立ち、夕立ち(各1時間半)をし、のぼり旗を揚げて県民投票に行きましょうと訴えました。市役所前に結集しての抗議行動、市長との面談要請行動、署名活動、うるま市全域への看板設置、街宣車での訴え。そして急きょ県民投票総決起大会を開催、300人余りが結集して、私たちの投票する権利を奪ってはいけないことを訴えました。

こうした5市の市民の抗議行動は増々激しくなり、市長たちを追い詰めていきました。それにもかかわらず、5市の市長たちはかたくなに態度を変えず、いよいよ5市を除いての県民投票を行うしかないと腹をくくる中、「『辺野古』県民投票の会」の若きリーダー、元山仁士郎(じんしろう)さんが、命を懸けて宜野湾市役所前にてハンストに入りました。彼のこの行動に対して、多くの若者たちが心動かされ支援に駆け付けることで、県民投票全県実施への機運は一気に高まりました。県議会を動かし、再度与野党の討議が行われることになり、厳しい状況の中、二択(賛成・反対)を三択(賛成・反対・どちらでもない)にすることによって、最終的に自民党もこの案を受け入れて全県実施が決まったのです。

目まぐるしい変化に対応して戦ってきた私たちは今、「辺野古新基地反対に〇を」という看板やのぼり旗に取り変えて、いよいよ2月24日に全県で行われる投票の日まで全力を尽して県民投票成功のために頑張っています。本当の戦いはこれからです。

この間にも、海には土砂が投入され続けています。そして3月25日に新工区に土砂投入を始めると防衛省は通告しています。軟弱地盤による困難が指摘され、建設は不可能とも言われている場所は後回しにして、簡単な浅瀬から埋め立てていくというまったく先の見えない計画を、なぜ政府は行うのでしょうか。

本当のことは国民に隠されたまま、何兆円ともいう莫大な税金がつぎ込まれています。これがどうして日本人一人一人の問題にならないのか不思議としかいいようがありません。「税金は貧国の子どもたちの支援に使ってください」と私は訴えたいと思います。辺野古新基地建設の強行に反対する憲法研究者の声明が発表されました。その中の一部分をお伝えします。

辺野古新基地建設問題は、憲法9条や日本の安全保障の問題であると同時に、なによりもまず、沖縄の人々の人権問題である。また、選挙で示された沖縄県民の民意に反して政府が強引に建設を推し進めることができるのか、民主主義や地方自治のあり方が問われているという点においては日本国民全体の問題である。政府が新基地建設をこのまま強行し続ければ、日本の立憲民主主義に大きな傷を残すことになる。

(中略)(安倍政権は)2018年12月14日には辺野古湾岸部で土砂投入を強行した。ここで埋め立てられているのは辺野古・大浦湾周辺の美しい海、絶滅危惧種262種類を含む5800種類以上の生物だけではない。「基本的人権の尊重」「民主主義」「平和主義」「地方自治」といった、日本国憲法の重要な基本原理も埋め立てられているのである。

(中略)辺野古新基地建設は、平和的な外交努力などによる平和構築を目指す日本国憲法の精神にも逆行し、むしろ軍事攻撃を呼び込む危険な政治的対応である。私たち憲法研究者有志一同は、平和で安全な日本、自然豊かな日本を子どもや孫などの将来の世代に残すためにも、辺野古新基地建設に対して強く反対する。

今や辺野古は、日本の多くの人々と国際社会に知られるようになり、支援の輪が広がっています。県民投票で民意が再び示されたら、それを無視する安倍政権はもはや存続の危機を迎えることになるでしょう。

イデオロギーよりアイデンティティーと、保革を乗り越えて沖縄が一つになること。決して日本政府によって分断されてはならない。このことは沖縄に生きる私たちに突き付けられた最大の課題であることを、県民投票全県実施への戦いは教えています。二択が三択になったことの問いをかみしめながら、沖縄の将来を、そして今回命を懸けて立ち上がってくれた若者たちにエールを送りつつ、沖縄を担う若きリーダーたちに希望を見いだしています。希望は一人の命懸けの生き方の中から確かに生まれてくるのです。

「わたしの人生が、わたしのメッセージ。そうでなければ目的を遂げることなどできないだろう」(ガンジー)

「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」(ヨハネ12:24)

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石原艶子(いしはら・つやこ)

1942年生まれ。16歳で無教会の先生との出会いによりキリスト者となる。全寮制のキリスト信仰を土台とした愛農学園農業高校に奉職する夫を助けて24年間共に励む。1990年沖縄西表島に移住して、人間再生の場、コミュニティー西表友和村をつくり、山村留学生、心の疲れた人たちと共に暮らす。2010年後継の長男夫妻に委ね、夫の故郷、沖縄本島に移住して平和の活動に励む。無教会那覇聖書研究会に所属。

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