月桃通信(3)闇は光に勝たない 石原艶子

2018年8月29日11時11分 コラムニスト : 石原艶子 印刷
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辺野古の米軍キャンプ・シュワブに隣接する松田ヌ浜で行われた土砂搬入反対集会。約450人が参加し、ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表(左手前)が、土砂搬入を許さず、知事選にも必ず勝とうと呼び掛けた=8月17日(写真:山本英夫撮影、ブログ「ヤマヒデの沖縄便りⅢ」より許可を得て転載)
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「光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった」(ヨハネ1:5)

8月17日の埋め立て土砂搬入が発表されてから、8月6~10日、8月16~18日と辺野古新基地阻止連続集中行動が計画され、全国各地から多くの仲間たちが結集しました。

翁長知事さんが命を懸けて死の直前に撤回を表明され、力尽きて、副知事さんに託されて逝ってしまわれました。最後まで県民との約束を守り、真実を貫かれました(言いたくはありませんが、県民を裏切った前知事と180度違いました)。腹6分、8分で一致団結して国と対峙すること、「イデオロギーよりアイデンティティー」と繰り返し訴え、沖縄の民が誇りを持って基地のない平和な沖縄をつくるために声を上げ続けるよう、私たち県民と共に戦ってくださいました。真っ直ぐ前を向き、人の意見を聴く人格者でした。

私は名護の市長選の支援で各集落を回ったときに翁長さんとご一緒しました。その時は1月、本土では厳しい寒波のため、特に高齢者の生活が困難な状況が報じられていました。私は翁長さんに「夢があります。この基地を失くしてここに避寒村をつくって、冬の間、暖かい沖縄で暮せる村をつくりたいですね」とお話しすると、ニッコリうなずいてくださり、「いいですね」と言って私と握手してくださいました。とっても力強い握手で病魔が巣食っているとは想像もしませんでしたが、その時翁長さんの人格が真っ直ぐに私に伝わってきて、100パーセントの信頼の思いがあふれてきたことが忘れられません。

私は人と人とは信頼によって結ばれていること、人を信頼することの大切さを身に染みて実感しました。リーダーなる政治家と民衆とが信頼の関係に堅く立って共に助け支え合ってこそ、良き政治も平和も生れるのだと確信します。しばしば反対運動が過激となり、相手を攻撃することになったら、そこからは一人一人の市民運動としての力と命が失われ、セクト化された一部の人の闘争と化してしまうことでしょう。そして私たちのような市民は排除されていくでしょう。

さて、状況は一変して、予定されていた17日の埋め立て土砂搬入は延期となりました。知事選が終るまで工事中止のようです。政府は知事選での敗北を恐れ、いろいろな策略をめぐらし水面下で着々と力を蓄えているようです。何としても玉城デニーさんで知事選、勝利を勝ち取らなくてはもうおしまいです。

座り込みがしばらくお休みとなったので、全国から結集した私たちは集会を開いて、スピーチ、歌、踊り、もりだくさんの学びと出会いに恵まれて、豊かな時間を過しました。その中で歌手の川口真由美さんが韓国語と日本語で歌ってくださいました。

「闇は光に勝たない 嘘(うそ)は真に勝たない 真実は沈まない 私たち諦めない」

心の底からしぼり出すような力強い歌声に、私の体は芯から震え涙がこみ上げてきました。この歌は韓国でセウォル号沈没事故の後に生れ、歌われていた歌です。そして朴政権退陣を求める大集会で20万人もの民衆がローソクを持ってソウルの町を埋め尽くし、この歌を歌ったのです。ローソク革命ともいわれるこの情景を私は映像で見ました。まったくの非暴力で警察は一切手を出しませんでした。この力強く大地を揺り動かすような歌は、韓国民族の真実な叫びであり祈りでした。こうして文政権が生れました。

なぜ韓国民はこのような行動ができたのでしょうか。日本人とのあまりの落差に失望、落胆してばかりはおれません。沖縄で闘う私たちは、韓国の人々と直接に出会いその歴史を学び、どうしてこのようなことが可能となったのか、韓国の人々の心と直接向き合って、具体的に一つ一つを謙虚に学ぶ他はありません。そしてそれをどうしたら私たちの行動にさせていけるのか、長い宿題ですが、一歩一歩と実践を積み重ねていってほしいと願います。

日本人とは何者なのでしょう。アジアの国々に謝罪し、悔い改めてアジアに平和を創るべき日本はどこに行ったのでしょう。国家の理想はないのですか。韓国は真の謝罪すらできない不真実な日本に対して、文大統領は責めもせず、親善外交をしようとして手を伸ばしてくれています。まさに赦(ゆる)しの外交です。米国の植民地と化した日本は主体性を失って追従するだけ。弱い者を切り捨て、ウソ・偽りがいつの間にか真に変ってしまう日本、沖縄は米国と日本によってつぶされようとしています。翁長さんが叫ばれた沖縄のアイデンティティーは戦争体験者が消え去ろうとするこの戦後73年の現在、一つの危機を迎え、時代の分岐点に差し掛かっています。沖縄は拝金主義と天皇制の偶像崇拝の国に飲み込まれてしまうのでしょうか。恐ろしい悪魔の力が沖縄に黒い手を伸ばしています。この今だからこそ、私たちは韓国の民衆と共にこの歌を歌いたいと私は思います。

「闇は光に勝たない 嘘は真に勝たない 真実は沈まない 私たち諦めない」

どうか皆様、私と一緒に、沖縄の人々と一緒にこの歌を歌ってください。

「神は言われた。『光あれ。』 こうして、光があった」(創世記1:3)

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石原艶子(いしはら・つやこ)

1942年生まれ。16歳で無教会の先生との出会いによりキリスト者となる。全寮制のキリスト信仰を土台とした愛農学園農業高校に奉職する夫を助けて24年間共に励む。1990年沖縄西表島に移住して、人間再生の場、コミュニティー西表友和村をつくり、山村留学生、心の疲れた人たちと共に暮らす。2010年後継の長男夫妻に委ね、夫の故郷、沖縄本島に移住して平和の活動に励む。無教会那覇聖書研究会に所属。

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