Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

「超越したもの」への憧憬と畏怖をリアルに描くファンタジー、映画「海を駆ける」

2018年5月25日19時19分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
「超越したもの」への憧憬と畏怖をリアルに描くファンタジー、映画「海を駆ける」+
©2018 "The Man from the Sea" FILM PARTNERS

何とも不思議な物語である。カンヌ映画祭を沸かせた若手監督、深田晃司が前作「淵(ふち)に立つ」以来2年ぶりにメガホンを取った作品。脚本も編集も監督自身が行っていることから分かるように、すべてを深田氏自身がマネージメントしている作品ということができる。

物語は、突然海から男が現れることで始まる。彼は海岸に打ち上げられ、国籍も分からなければ名前すら覚えていない。いわゆる記憶喪失の状態で発見される。海からやってきたということで、インドネシア語で「海」を意味する「ラウ」という仮名をもらい、NPO法人を運営する女性とその家族の元で生活することになる。

彼には不思議な力が宿っており、まるで子どもが戯れているかのようにその能力を多用する。いつしか人々は、ラウがこの世のものではなく、人間を超越した存在、またはその使者ではないかと考えるようになっていく。しかし彼は、人を癒やしたり、回復させたりするばかりではなく、時には人の命を奪ったり、相手を死に追いやったりすることもある。その両面を見せつけられた人々は、ラウをどう扱ったらいいかで意見を対立させいくのだが・・・。

主演は今最も旬な俳優の一人、ディーン・フジオカ。しかし本作の彼は、決して熱く語り掛けることはないし、激しいアクションを披露することもない。ただ、そこに立ち尽くし、座り込み、そして不思議な現象を引き起こすだけである。

漁で打ち上げられた魚に生命力を吹き込んだり、熱中症で倒れてしまった少女に空中から水を生み出して注ぎ込んだり、病に侵されている女性の枕元に近づき熱を取り去ったり――。彼が物語のけん引役となっているが、それでいてほとんどしゃべらない。いつもどこか現実離れしたたたずまいで、画面の横に映り込んでいるだけである。

「超越したもの」への憧憬と畏怖をリアルに描くファンタジー、映画「海を駆ける」
©2018 "The Man from the Sea" FILM PARTNERS

監督いわく「ご覧いただいた皆さんで、ぜひ意見を交わしていただきたいです」。

確かにすき間の多い、そして観客がそれを思い思いのやり方で埋めて物語を構成しなければならない展開となっている。観終わってあれこれを語り合うにはうってつけの映画である。

観終わって感じたのは、イエスがこの地を歩んだときもこのような反応を人々はしたのではないか、ということ。聖書の中では、バプテスマのヨハネの弟子たちがイエスに「あなたはどなたですか」と尋ねるシーンがある。

二人はイエスのもとに来て言った。「わたしたちは洗礼者ヨハネからの使いの者ですが、『来るべき方は、あなたでしょうか。それとも、ほかの方を待たなければなりませんか』とお尋ねするようにとのことです。」 そのとき、イエスは病気や苦しみや悪霊に悩んでいる多くの人々をいやし、大勢の盲人を見えるようにしておられた。それで、二人にこうお答えになった。「行って、見聞きしたことをヨハネに伝えなさい。目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、重い皮膚病を患っている人は清くなり、耳の聞こえない人は聞こえ、死者は生き返り、貧しい人は福音を告げ知らされている。わたしにつまずかない人は幸いである。」(ルカ7:20〜23)

また、弟子たちが師匠であるイエスに関して人々があれこれと噂していることを告げるシーンもある。

イエスは、フィリポ・カイサリア地方に行ったとき、弟子たちに、「人々は、人の子のことを何者だと言っているか」とお尋ねになった。弟子たちは言った。「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます。」(マタイ16:13、14)

いずれにせよ、人々はイエスの言動に戸惑いを感じ、彼をどう捉えたらいいのか逡巡(しゅんじゅん)していたことが分かる。

もちろん福音主義的に捉えるなら、すべてが神のご計画の中で決められていて、それを人々は知らなかったため、無知で愚かな議論を繰り返していたということになる。だがイエスの時代、その地方の文化や世界観に視点を埋没させるなら、本作のように「捉えどころのない不思議な男」としてイエスは描かれるのではないだろうか。

神学的には「史的イエス」とか「ジッツ・イム・レーベン(生活の座)」というが、そんな小難しい専門性はこの際関係ないだろう。大切なのは、自分たちを超越する存在に触れたとき、人はこの映画の登場人物のように戸惑い、うろたえ、そしていつしか神格化が始まるということだ。

「超越したもの」への憧憬と畏怖をリアルに描くファンタジー、映画「海を駆ける」
©2018 "The Man from the Sea" FILM PARTNERS

映画のラストシーンで「もしかして」と思わされる出来事が起こる。特に聖書に親しみ、イエスの物語を熟知している者にとってはたまらない場面だ。

キリスト者であればこそ、本作を観た後でいろいろと語り合いたくなるだろう。いろんな想像力を羽ばたかせ「聖書のあのシーン」「この解釈を当てはめるなら」と、ラウの解釈をあれこれを披露したくなるのではないだろうか。

配給は日活・東京テアトル。2018年5月26日(土)全国ロードショー。

■ 映画「海を駆ける」予告編

■ 映画「海を駆ける」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

  • ツイート

関連記事

  • クリスチャンには決してオススメしないあまりに怖いあまりに真摯な本当の“衝撃作” 「淵に立つ」(1)

  • “怒れる映画監督”深田晃司監督インタビュー(1)「淵に立つ」では壊れた家族を描きたかった

  • 一足お先に試写!「炎のランナー」のその後を描く「最後のランナー」がついに日本公開

  • たとえ全世界を手に入れても・・・ 映画「ダリダ 甘い囁き」に見え隠れする「本当の幸せ」

  • 「毒とユーモアに満ちた真実」を押し付けてくる傑作 映画「ザ・スクエア 思いやりの聖域」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月16日):アンゴラのクワンガリ族のために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.