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脳性麻痺と共に生きる

脳性麻痺と共に生きる(37)旅好きの始まり 有田憲一郎

2017年10月7日05時49分 コラムニスト : 有田憲一郎
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関連タグ:障がい

春休み、夏休み、冬休みの中で、夏休みが一番好きでした。冬は寒く、障碍(しょうがい)の関係で体の硬直や緊張が強くなったり、痛みも出てしまうこともそうですが、夏休みには学校で嫌いなプール教室があったものの、何よりも遊びに出掛け、旅行にも行けるということが一番の楽しみでした。

僕の両親は長崎県の出身で、物心がつく前から長崎に行き、親戚の家に遊びに行っていました。親戚のほとんどは長崎や福岡、佐賀県にいます。夏が近づくとおじいさんやおばあさん、おじさん、おばさん、いとこなどに会えて遊んでもらえるのが楽しみで、「ねぇ、今年も長崎に帰る?」と両親に聞いてみたり、「長崎に行きたいな」と言ってみたり、また「早く夏休みにならないかな」と楽しみにしていました。

僕の家族は4人家族です。高等部を卒業するまでほぼ毎年、親戚のいる長崎に行っていました。しかし、家族4人で東京から飛行機で行くにも費用がかかってしまい、また、車いすの僕を連れて電車やバスなどの公共交通機関を使って出掛けるのは大変なことでした。親戚の車を借りたり、また親戚に送ってもらったり、レンタカーを借りて遊びに出掛けるなど、費用や移動手段などを考えると、そう簡単には毎年行くことができず、行かれない年もありました。

長崎に行くことが楽しみだった僕は、毎年5月、6月ごろになると両親に「ねぇ、長崎行く? 行きたいな」と聞き、「長崎、行くよ」と聞くだけで大きな声を出して喜び、「今年は行かないよ」と言われると、少し不機嫌そうにふてくされていました。しかし「長崎には行けないけど、今年は〇〇に行こう」と言われると、それまで不機嫌だった僕は急に笑顔になっていました。

旅行好きで、今では機会を見つけては旅に出ている僕は、ふと思うことがあります。「こんなに旅が好きになったのは、いつからだろう」と。そう考えているうちに、中学部3年生の夏休みのことを思い出しました。

それは、中学部3年の6月のこと。父からこんな提案がありました。「今年の夏休み、長崎まで車で行ってみようか」。僕は驚きよりも、今までにはない何かを期待する楽しみが膨らんでいました。そして、それまで飛行機でしか行ったことのない僕は父に聞きました。「楽しそうなんだけど、車で長崎まで行けるの? どれくらいかかるの?」

すると父は、「道はつながっている。道がつながっていれば、どこにでも行けるさ」と話し、地図を開きながら「長崎までは1300キロぐらいだね。途中でどっか行きたいところで遊んで行くこともできるし、夜はサービスエリアで車中泊しながら、長崎を目指して高速道路を走っていく。九州には山口から関門海峡を渡って行くんだ」と説明してくれました。話を聞いているだけで、僕は興奮していました。

学校で、先生に「有田君は、今年も長崎に行くのかな」と聞かれ、「今年はね、車で行くんだ」と答えました。先生は驚きながら「ウソ~!本当に!それすごいね。すごいことだから、中学部会と全校の前で発表してよ」と言われました。人前に出ることや発表することが嫌で苦手だった僕は「どうして、そうなるの? 夏休みに、ただ遊びに行くだけなのに・・・」、そう思っていました。

中学部の全生徒が集まり、月に1回集会が行われます。クイズやゲームをし、そして学年ごと、クラスごとに代表の生徒が、その月の出来事や話題などを発表する場でした。そして小学部、中学部、高等部の全校が集まって行われる全校集会でも、中学部の代表で「車で長崎に行ってきます」と夏休みの予定を全校生徒の前で発表したのです。

内心、「何で発表しないといけないんだ」と思いながら夏休み前の集会で発表すると、「何が一番楽しみですか?」「何時間、何日ぐらいかかりますか?」などと質問が出ます。

それまで、発表することが嫌で消極的だった僕が発表し、いろいろ聞かれる質問に答えていくうち、なんだか自分がヒーローになった気分になり、それまで苦痛に感じていた発表が楽しいと思ったのを覚えています。

8月に入り、僕は小学部5年生の時から参加している、日本肢体不自由児協会が主催する手足の不自由な子どもたちの5泊6日の夏キャンプに出掛け、帰ってきて長崎に行く準備をし、数日後のお盆に出発しました。

出発前、父が僕にある提案をしてきました。それは出発時間から休憩時間、立ち寄った場所や走行距離、かかった金額など、すべての行程を細かく記録していくということでした。そして1冊のノートにまとめ、それを夏休みの自由研究にしたらどうかという提案です。

それまで僕は、新聞の天気図を見るのが好きで、科目ごとに出されていた夏休みの宿題はまったくやろうとしなかったものの、「天気、やりたかった」と新聞の天気図、天気欄を切り抜いてファイルにまとめ、自由研究にしていました。

父から長崎往復旅の記録を自由研究にすればという提案に、僕は「面白そう。やりたい」と思いましたが、毎年楽しみに続けてきた天気調べも捨てがたく、この年もやりたいと思っていました。

「さて、行こうか。出発進行!」、母が仕事を終えて一休みした夕方近くに、家族4人でワゴン車に乗り込み、東京を出発しました。「憲。今から時間と距離と休憩や立ち寄った場所などを全部メモしていくからね。父さんも母さんも書くの忘れるかもしれないから、ちゃんと書いたって言うんだよ」。こうして東京から高速道路を走り、両親が交代で運転をし、長崎に行く大旅行が始まったのです。

僕は助手席に乗り、「ここはどこだ?」と地図を広げ、読めない漢字に奮闘しながら高速道路からの景色を楽しみます。昼間は自家用車の多い高速道路は、夜になるとトラック街道になります。深夜、派手に飾りデコらせて走る長距離トラックと一緒に走り、サービスエリアではトラックに囲まれながら、車中泊をしました。そんなトラックの姿を見て「格好いいな」「夜中も頑張って走っているんだ」と、長距離トラックに憧れた瞬間でもありました。

高速道路をひた走り、山口県に入って数時間後、本州と九州を結ぶ関門海峡が見えてきました。「憲、関門海峡が見えたぞ」。これを渡れば九州の福岡県。長崎までは、もうすぐです。関門海峡を渡り、僕は「来た!」という思いで興奮し、長崎まで車の中で声を上げ、奇声を出し興奮していました。

途中途中で観光しながら東京・長崎間を往復した僕は、父と記録をノートに書き、高速料金やガソリン代、食事代、そして遊びや観光など、すべての領収書やパンフレットを貼り1冊にまとめました。

2学期になり、まとめた旅行記録ノートを学校に持って行き、先生に見せると「これはすごい!」と言われ、ホームルームで僕は自慢げに発表をしました。

この旅行がきっかけで僕は旅好きとなり、高等部に入ると、ある大会に参加するようになり、僕は年に数回、旅に出るようになりました。

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◇

有田憲一郎

有田憲一郎

(ありた・けんいちろう)

1971年東京生まれ。72年脳性麻痺(まひ)と診断される。89年東京都立大泉養護学校高等部卒業。画家はらみちを氏との出会いで絵心を学び、カメラに魅力を感じ独学で写真も始める。タイプアートコンテスト東京都知事賞受賞(83年)、東京都障害者総合美術展写真の部入選(93年)。個展、写真展を仙台や東京などで開催し、2004年にはバングラデシュで障碍(しょうがい)を持つ仲間と共に展示会も開催した。05年に芸術・創作活動の場として「Zinno Art Design」設立。これまでにバングラデシュを4回訪問している。そこでテゼに出会い、最近のテゼ・アジア大会(インド07年・フィリピン10年・韓国13年)には毎回参加している。日本基督教団東北教区センター「エマオ」内の仙台青年学生センターでクラス「共に生きる~オアシス有田~」を担当(10〜14年)。著書に『有田憲一郎バングラデシュ夢紀行』(10年、自主出版)。月刊誌『スピリチュアリティー』(11年9・10月号、一麦出版社)で連載を執筆。15年から東京在住。フェイスブックやブログ「アリタワールド」でもメッセージを発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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