熊本地震:九州キリスト災害支援センターの中村陽志牧師が大阪で報告会 継続的な支援を訴える

2016年7月13日15時27分 記者 : 土門稔 印刷
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九州キリスト災害支援センター熊本支部ディレクターの中村陽志牧師(熊本ハーベストチャーチ)=6月18日、大阪市吹田区で

九州キリスト災害支援センター熊本支部ディレクターの中村陽志牧師(熊本ハーベストチャーチ)を招き、熊本地震による被害の現状を語る報告会が6月18日、大阪市吹田区で行われた。

震災当時の様子

報告会で中村牧師はまず、震災当時の様子を語った。

4月14日夜、熊本地方を震源とするマグニチュード6・5、震度7の地震が発生、16日未明にも、マグニチュード7・3、震度7の地震が起き、その後5月3日までに熊本県、大分県にて千回以上の余震が観測されている。

中村牧師は自宅にいたとき、「ドーン」と下から突き上げて大きな揺れがあり、家中の写真立てが落ち、まっすぐ立てないほどの揺れの中、妻と長女の3人で外にすぐ逃げたという。近くのモールにアルバイトに出ていた次女と電話で連絡がつかず、なんとかスマホのLINEとフェイスブック経由で娘の友達から連絡が入って無事を確認し、再会することができた。

モールは停電して真っ暗な中に300人ぐらいの人が避難してきていたという。家は電気、水道、ガスも切れていたので、体育館に避難し、近所の人と一緒にその晩、毛布を分け合いながら避難所で過ごした。翌日家族はコンビニで買えるだけの生理用品を買って教会に戻った。

そして礼拝のためのPAも、新しいキーボードもばらばらに散らばった教会の片づけをしたという。中村牧師は地域の教会の牧師と共に支援センターを立ち上げることを決めた。

当日14日の夜は、神経が高まり眠れそうになかったので、夫婦で睡眠導入剤を一錠だけ飲んで眠りにつこうとしたとき、2回目の本震が来た。真っ暗闇の中、食器棚が倒れて食器が全て割れ、冷蔵庫も扉が動きながら数十センチずれるほどの揺れで、庭のブロック塀も全部倒れていた。

熊本地震:九州キリスト災害支援センターの中村陽志牧師が大阪で報告会 継続的な支援を訴える
熊本地震による被害の状況を伝えるスライド。地震の爪痕はまだ生々しい。

避難所はもういっぱいだったので、庭にブルーシートを敷いて寝たが、横になると「ゴォー」という地面が沸騰しているような地鳴りが一晩中耳に響いてきた。

翌日になると、熊本中が大きな被害を受けていることを知り、被害状況の確認を始めた。その後、日本国際飢餓対策機構のチームが到着し、支援を開始してくれた。教会堂の中にテントを張り、フェイスブックに「熊本教役者会熊本地震支援センター」(現在の「九州キリスト災害支援センター」)のページをつくり、活動を始めた。

1週間たってようやく家で寝ることができた。水道は1カ月後に復旧した。中村牧師はその日の朝、旧約聖書の詩編73篇21~23節に励まされたという。

私の心が苦しみ、私の内なる思いが突き刺されたとき、私は、愚かで、わきまえもなく、あなたの前で獣のようでした。しかし私は絶えずあなたとともにいました。あなたは私の右の手をしっかりつかまえられました。

3日間食事もなく真っ暗な避難所に600人がいた。パンが200食しかなく、全く足りない。一触触発の状態だった。「極限状態に人間が置かれるときでも、私を神様はしっかりとつかまえられている」と励まされたという。

熊本の現状とボランティア

九州キリスト災害支援センターは、現在は教会訪問と被害の確認をしているという。教会の周りには黄色い立ち入り禁止テープが張られているので、礼拝も現在はYMCAの建物で行っている。

このほか、送られてくる支援物資の搬送や、情報収集、各地から病院の看護師や福祉関係の専門職の人がボランティアに来たときの派遣のコーディネートをしている。キリスト教の支援団体(日本国際飢餓対策機構、ワールド・ビジョン、クラッシュジャパン、Sola、オアシス、日本緊急援助隊、サマリタンズ・パースなど)が長期の人員を派遣し、協力してくれている。

熊本地震:九州キリスト災害支援センターの中村陽志牧師が大阪で報告会 継続的な支援を訴える
支援物資を取り分ける様子

延べ1300から1500人のボランティアが訪れている。6月からはセンターを植木キリスト教会(熊本市北区)に移し、ボランティアの人々に宿泊してもらい、どこで活動してもらうか調整、派遣をしているという。

また子どもの心のケアのために、クリスチャンであるソフトバンクのデニス・サファテ投手の負担により「熊本スマイル観戦バスツアー」と題して、子どもたち200人を福岡ドームに招待した。

試合の前に、子どもたちは球場のファンから大きな拍手を受け、工藤公康監督や選手たちと会い、励ましを受けた。「たくさんの人が応援しているのだ」と喜び、感激していたという。夏にも、被災した子どもたちのための活動を予定している。

夏休みにぜひ熊本にボランティアに!

また中村牧師は「夏休みにたくさんのボランティアを受け入れる準備をしているので、それぞれの教会でぜひボランティアを派遣していただければ」と呼び掛けた。「ボランティアというと敷居が高いと思われるかもしれないけれど、熊本に来てラーメンを食べるだけでもいい。今、熊本は観光的に冷えてしまっています。経済をサポートするという意味で町が助けられます」と話した。

九州キリスト災害支援センターは現在、フェイスブックで①ボランティアの派遣、②祈りの要請、③チャリティーイベントの開催、④献金のお願いの情報を発信している。「皆さんの教会でお祈りに覚えてほしい」と訴えた。

「東京などに報告会に行くと、もう熊本地震が忘れられそうになっている。ぜひ皆さん祈っていただき、どうか忘れないでほしい。チャリティーイベントや報告会も行っているので声を掛けていただき、働きを届けることができればと願っています」と述べた。

また、九州キリスト災害支援センターの事務局の運営費は、施設費、ボランティア滞在のための宿舎の賃貸費用、有給スタッフなどで毎月300万円はかかるということで、引き続きそれぞれの教会でのサポートを訴えた。

最後に中村牧師は、この2カ月、伝道者の書3章11節が頭の中にあると語った。

神のなさることは、すべて時にかなって美しい。神はまた、人の心に永遠を与えられてきた。しかし人は、神が行われるみわざを、初めから終わりまで見きわめることができない。

「神のなさることは全て、時にかなって美しいと、私は長いクリスチャン生活で信じ続けてきました。でもいざ自分が被災し、あの数秒の地震がこれほど街を変え、たくさんの人生を変え、私たちの生き方すら変え、一気に悲惨な状況になったのを目の当たりにして『神様何が美しいんですか』というのが、ずっと私の心の叫びでした」

地震から4日後、東日本大震災で被災し、幾つかの教会でサポートしてきた牡鹿半島の野々浜の村長さんから「遅くなってごめんね」と電話が来たという。「今すぐ来ては大変です」と答えた。

しかし、3週間後に「中村さん、今広島に来ているんだ、あと5時間で着くよ。どうせあんたに電話したら来るなと言うだろうから、黙ってやってきたよ」と電話があり、20時間かけて支援に来てくれて、翌日熊本で再会した。

たくさんの食料と牡蠣(かき)を10キロ持ってきてくれ、牡蠣パーティーをして共に祈った。彼らは1泊して再び20時間かけて帰って行った。

「東日本大震災の時、自分は東北の人を支援しようとどこかヒーロー気取りで、傲慢な気持ちがあったかもしれない。そして、5年後の今を想像することができなかった。しかし、彼らの後ろ姿を見て『やっぱり神のなさることは時にかなって美しい』ことを確認させられました」

「神は人に永遠を思う思いを与えられた。私たちは目の前の悲惨な状況にしか目が留まらないので『ああ、神様なんでこんなことをするの、美しくないじゃないですか』と思うけれど、神様は私たちに永遠を思う思いを与えられ、祈りと御言葉を通してそれにつながることができる」

「それを知ってすらソロモンは『神様のなさることは、人は初めから終わりまで見届けることができない』と書いている。日本ではどこで災害が起きてもおかしくない。熊本では、今この難しい状況の中で教会が協力して活動しているが、状況はなかなか伝わらない。でも皆さんの教会や祈りの場で祈っていただければと思います」

九州キリスト災害支援センターのフェイスブックページはこちら

ボランティアや支援物資に関する詳細はこちら

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