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聖山アトス巡礼紀行

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝日 中西裕人

2016年5月14日15時55分 コラムニスト : 中西裕人
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関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス

3時ぴったり。「そろそろ出発しましょう」とNは話した。

車で10分ほど、カリエの街を横目に通り過ぎ、すぐのところにそのスキテは建っていた。これまでの修道院とは違い、ロシア建築を感じさせる大きな造りになっているのが、車の中からもよく見えた。そういえば、最初にカリエに到着したときに、山道の間から見えた大きな教会であった。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
セントアンドレアススキテ外観

広大な敷地にこれまでと大きさも違う主聖堂、昔はロシア系の教会で大きな鐘を使用していたのが特徴だというが、時とともに修道士の数が激減し、一時期は1人だけ修道士が住んでいたようだ。現在はギリシャ系の修道士が多く、30人前後まで増えたようである。ここは、スキテと呼ばれ、修道院よりは規模が小さく、ケリよりは大きい修道施設の部類になる。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
主聖堂

アルフォンダリキ(受付)で、水、ブランデー、ルクミを頂いた。この修道院の特徴は木造建築であり、とにかく古く、至る所の床が抜けており、階段はキーキーと音を立て、今にも崩れそうなバルコニーに崩れかけの石垣。長い間1人の修道士だけで守られていた施設だけあり、修復も追いついていないようだった。

宿泊用の部屋に案内されたが、こちらも床が抜け、廊下には無数のベッドが点在、大祭日などの日は泊まれる部屋も無くなり、廊下で寝る巡礼者も多くなるのだという。場所によっては外で寝ることもあるほど、人でごった返す日もあるという。

今日は巡礼者もそこまで多くなく、部屋を用意してもらったのだが、ベッドは硬く、今にも足の一部が折れそうな不安定な格好をしており、布団やシーツも体が痒(かゆ)くなりそうな見栄えであった。

いろいろなことを感じながら、寝かせてもらえるだけでもありがたい、ということを自分に言い聞かせ、荷物を置いた。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
床の抜けた廊下

数分のところにあるカリエの街とスキテの中を少し散策し、撮影を開始した。

道の合間から、アトス山がくっきりと顔を出す。気付くとギラギラと照った太陽が地面に当たり、逃げ場のない暑さを体全体に感じ、たっぷりと汗をかいていた。そういえば3日風呂に入っていないことを思い出した。

そうこうしているうちに、シマンドロが鳴り響く。暮れの祈りが始まり、食堂で食事をとった。本日はパスティッチョとメリザノサラダと呼ばれるギリシャの定番料理であった。ただ、肉は一切使用しないためかなりの薄味というか、ほとんど味のしないものだった。

※パスティッチョ:マカロニとミートソースとチーズ、ベジャメルソースを重ねてオーブンで焼いたお料理
※メリザノサラダ:ナスのペースト

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
食事前の祈り
聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
パスティッチョとメリザノサラダ

アトスは、毎週水曜日はユダの裏切りの日、金曜日はキリストが十字架に磔(はりつけ)にされた日であり、水曜日と土曜日は節食の日と決められている。

明日は金曜日だ。一体どのようなことになるのか、不安と興味が交錯していた。夕食の後、部屋の一番奥にトイレと半畳ほどのシャワースペースを発見した。

やはりこの時思い出すことは、10年以上前に訪れたタイやカンボジアの風呂場だ。あの経験を若いときにしておいてよかったと感じる。

タイのように当然お湯も出ない。タイでは錆びた水が出ていたが、アトスではさすがにそれはなかった。3日ぶりに汗を洗い流し、気持ち良く寝ることができた。

その日は疲れのせいか、深く寝ていた気がする。夢の中で遠くのほうから、昨日と同じようにシマンドロが鳴り響く。徐々にこの音が夢から現実へと迎え入れてくれる。

静寂の中にかすかに響くこの木の音がなんとも心地よいものに感じられてきた。着替えて急ぎ暗闇の床の抜けた廊下に注意をやりながら聖堂を目指した。

これまでの聖堂の造りとは違い、縦長の造り、多くの巡礼者が聖歌に聞き入っている。数時間の時を過ごし、至聖所が開いた瞬間、はるか彼方(かなた)から一筋の光が十字架を貫き、聖堂内を照らした。

これまで聖堂内は闇の中に修道士たちの聖歌が鳴り響いていたが、その瞬間、不思議なほど光を感じた。この金曜日のことを誰もが思い、何か感じているに違いない。そんなことを思った。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
聖堂に朝日が差し込む瞬間

この瞬間、居ても立ってもいられずに聖堂の外へ出た。そこに見た幽玄とも言うべく、オレンジに輝く力強いその光はアトスを照らし、きっと祈りをささげる修道士、巡礼者を照らしている。背筋が強張り、少し肌寒く、シャッターを切りながら思わず息が漏れた瞬間だった。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
セントアンドレアススキテの朝日

祈りが終わり、食堂へと案内された。節食の日の食事は出るところもあるが、出ないところもある。油を一切使用せず、パンや果物、オリーブのみで腹を満たすことになる。

修道士によっては何も食さない者もおり、個人の裁量に任されているようであった。この日は、米のようなパスタのような得体の知れないもの、無味無臭。無言のままひたすら食し、食堂を出て行く。

粛々と普段通り、それぞれがこの日を迎え、そして過ぎていく。

聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(8)セントアンドレアススキテ~金曜日の朝陽 中西裕人
節食の日の料理

次回予告(5月28日配信予定)

日本ハリストス正教会司祭であり、アトスでの研究を20年以上も続ける中西裕一(父)が、特別編第2弾としまして、イコンについてお話しをします。お楽しみに。

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◇

中西裕人

中西裕人

(なかにし・ひろひと)

写真家。1979年生まれ。東京都杉並区出身。日本大学文理学部史学科卒。外苑スタジオ勤務後、雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)専属フォトグラファーを経て独立、雑誌、広告、webを中心に活動中。2014年に洗礼を受ける。父は日本ハリストス正教会司祭であり、年に数回共にアトスを訪れ修道士の生活などに密着した取材を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス
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