Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
聖山アトス巡礼紀行

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人

2016年4月30日21時07分 コラムニスト : 中西裕人
  • ツイート
印刷
関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス

3月19日に配信しました「ケリに生きるN修道士・その1~祈りと共に」の続編としまして、今回はN修道士のケリでの生活の様子をお送りします。

*

朝9時ちょうど、正門前で待っているとNが車で到着した。「グッドモーニング。いい写真は撮れましたか」

撮りきれていない自分がいた。私の少しうつむいた表情を見て、「朝ごはんを用意しています。次の策がありますよ」とNは話した。

昨日通った道をまた進み、Nの自宅に向かった。自宅に到着後、早速Nは朝食の準備を用意してくれた。簡単にゆで卵、チーズ2種類にパンの軽食。卵はシンプルに塩こしょうで、ギリシャ特有のフェタチーズとゴーダチーズ。緑豊かな農園が目の前に広がり、心地よい風が気持ちよく通り抜けるテラスで、のんびりとゆっくり食べる食事は、修道院と違い、安らぎを感じる。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
テラスで食べた朝食

食後にまた作戦会議を行い、そこでNが、「今日はカリエのそばにある旧ロシア正教の聖堂(現在はギリシャ系の聖堂になっている)セントアンドレアススキテに行きましょう」と提案してくれた。(※スキテ:修道院より規模の小さい修道施設)

そして、「明日はフィロセウ修道院の大祭日なので、相当数の修道士と巡礼者が集まるはず。徹夜で祈りが行われるから、かなり写真も撮れるのではないか。そこに行きましょう」「今日は3時ごろに出発しましょう。昼食をまた準備するので、それを食べてから行きましょう」と話した。

この日のためにたくさんの情報を収集し、準備をしてくれていたようだ。Nの家族のような愛のある行動に、初めて会う自分にこれほどまでに親切で親身になってくれる彼、修道士の生き方とは、一体どんなものなのか。疑問に思うばかりであった。

部屋に戻り、写真の整理を行っていたところ、Nは私をまた呼んだ。「収穫をするのでついて来てください」と、家の前の広大な農園を見渡すと、キュウリやトマト、イモ、ブドウやメロンまでも生き生きと育っていた。ケリでの収穫は、個人の自由、つまり食事に合わせて収穫を行うので、楽しい日課にもなっているようだ。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
農園で献立を考えながら、楽しい収穫 「食後はブドウを食べよう」

「お昼は鯛(タイ)を用意しました。イモとトマト、キュウリで合わせましょう」。魚料理は復活祭や大祭日のみしか食べないが、われわれが来たことへの歓迎の振る舞いのようであると、父は言った。

基本、修道士の食事は、肉は一切食さず、イモ、豆が中心で、貝、エビ、イカ、タコなどの血の通わない魚介系は食す。また、自家製の赤ぶどう酒を作り、祈りの時にも使用する。地中海料理マイナス肉といえば、分かりやすいかもしれない。

Nが玄関に炭焼きの準備をし、鯛の下ごしらえが始まった。Nの特徴は几帳面で器用、書斎も部屋もとてもきれいに整理されている。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
整理整頓されたNの書斎

食事を作っているときも一切無駄がなく、テキパキと魚の内臓を取り、両面に塩こしょう。その傍ら、イモをレモンとにんにくで揚げ焼きし、まるでレストランの厨房かと思うほど、いい香りがケリ内を包んだ。

取った内臓は全てお皿に盛り、家の外に置いた。どこからともなく集まってきた猫たちが群がり、とても幸せな時間を過ごしているようだった。このアトスでは、家畜も全てオスであるが、猫だけはネズミを退治する役目があるようで、メスが存在するのである。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
魚の下ごしらえをする
聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
近所の猫たち

Nが玄関で魚を焼き始めた。オリーブオイルを大量にかけながら、じっくり両面を焼いていく。魚を焼く匂いに猫たちも集まり出した。無駄のないシェフさながらの手つきはとても印象的だった。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
慣れた手つきで鯛を焼く

添え付けのイモと一緒に魚を盛り、また例の心地よいテラスで昼食が始まる。食事の前に祈りの言葉を読み上げ、食事がスタートする。こちらの鯛は、静岡県伊豆沖で獲れる金目鯛のような脂ののった身ではなく、パサパサとした食感が特徴で、新鮮なレモンを絞ったオリーブオイルソースをかけて食べるのが一般的である。

こんがりと炭で焼いた香りにこのオリーブオイルとの相性は抜群。1人1匹用意され、食べられるかなと思ったが、意外に軽くあっさりと平らげてしまった。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
歓迎の魚料理

食後は居間の横にある聖堂を見せてくれた。イコンや聖書、聖水も備わっており、いつでも祈りができる準備がしっかりしてあった。

Nと触れて感じたことは、ギリシャ人の気質をしっかり持ち、乗ってきた船で出会ったギリシャ人たちのように陽気で、よく喋る。われわれ巡礼者を心より歓迎し、共有の時間を大切にし、親切な心でどんな事でも対応してくれる。誰に対しても家族のような包容力を持つ。これは、後に会う修道士たちも一様にそうであり、この地に住む修道士たちの特徴のように思えた。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
聖堂で、ある聖人の話をするN修道士

この後セントアンドレアススキテ、翌日はフィロセウ修道院を訪れることになるが、Nとは翌日のフィロセウ修道院へ行くバスの前で別れて以来、今日まで会えることはなかった。

翌年2回目に訪れたときは、連絡が一切取れず、近くに住む修道士に聞いたところ心臓の持病を患っており、テッサロニキの修道士専用の病院にいるとのことで、かなり良くないとの話だった。その後一度回復したようだが、今年の年始に再度訪れた際は、再入院をしたようで情報もあまりなく、とても心配である。

Nの協力無しには、今回の取材はできていなかったと思うし、不慣れな自分を気遣ってくれ、たくさんの情報収集や食事、移動の手伝いも喜んで引き受けてくれていた。

これだけ協力してくれたNを思い、今感じるのは、彼らの祈りというものは一体どんなもので、彼らはどんな気持ちでこのアトスで暮らし、死んでいくのか、彼らの人間性はどこから来るものなのか、ということだ。しっかりと取材し、正しいことを伝えなくてはならないと感じた。

3時ぴったり。「そろそろ出発しましょう」とNは話した。

次回予告(5月14日配信予定)

セントアンドレアススキテにて、初の節食の日を迎えます。お楽しみに。

<<前回へ     次回へ>>

◇

中西裕人

中西裕人

(なかにし・ひろひと)

写真家。1979年生まれ。東京都杉並区出身。日本大学文理学部史学科卒。外苑スタジオ勤務後、雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)専属フォトグラファーを経て独立、雑誌、広告、webを中心に活動中。2014年に洗礼を受ける。父は日本ハリストス正教会司祭であり、年に数回共にアトスを訪れ修道士の生活などに密着した取材を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス
  • ツイート

関連記事

  • 聖山アトス巡礼紀行(6)クトゥルムシウー修道院を訪ねて・その2~五感 中西裕人

  • 聖山アトス巡礼紀行(5)クトゥルムシウー修道院を訪ねて・その1~シマンドロの音色 中西裕人

  • 聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(4)ケリに生きるN修道士・その1~祈りと共に 中西裕人

  • 聖山アトス巡礼紀行―アトスの修道士と祈り―(3)出逢いと決意~首都カリエにて 中西裕人

  • 京都ハリストス正教会で「アトスの修道士」写真展と司祭の特別講演会

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.