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聖山アトス巡礼紀行

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人

2016年4月30日21時07分 コラムニスト : 中西裕人
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関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス

3月19日に配信しました「ケリに生きるN修道士・その1~祈りと共に」の続編としまして、今回はN修道士のケリでの生活の様子をお送りします。

*

朝9時ちょうど、正門前で待っているとNが車で到着した。「グッドモーニング。いい写真は撮れましたか」

撮りきれていない自分がいた。私の少しうつむいた表情を見て、「朝ごはんを用意しています。次の策がありますよ」とNは話した。

昨日通った道をまた進み、Nの自宅に向かった。自宅に到着後、早速Nは朝食の準備を用意してくれた。簡単にゆで卵、チーズ2種類にパンの軽食。卵はシンプルに塩こしょうで、ギリシャ特有のフェタチーズとゴーダチーズ。緑豊かな農園が目の前に広がり、心地よい風が気持ちよく通り抜けるテラスで、のんびりとゆっくり食べる食事は、修道院と違い、安らぎを感じる。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
テラスで食べた朝食

食後にまた作戦会議を行い、そこでNが、「今日はカリエのそばにある旧ロシア正教の聖堂(現在はギリシャ系の聖堂になっている)セントアンドレアススキテに行きましょう」と提案してくれた。(※スキテ:修道院より規模の小さい修道施設)

そして、「明日はフィロセウ修道院の大祭日なので、相当数の修道士と巡礼者が集まるはず。徹夜で祈りが行われるから、かなり写真も撮れるのではないか。そこに行きましょう」「今日は3時ごろに出発しましょう。昼食をまた準備するので、それを食べてから行きましょう」と話した。

この日のためにたくさんの情報を収集し、準備をしてくれていたようだ。Nの家族のような愛のある行動に、初めて会う自分にこれほどまでに親切で親身になってくれる彼、修道士の生き方とは、一体どんなものなのか。疑問に思うばかりであった。

部屋に戻り、写真の整理を行っていたところ、Nは私をまた呼んだ。「収穫をするのでついて来てください」と、家の前の広大な農園を見渡すと、キュウリやトマト、イモ、ブドウやメロンまでも生き生きと育っていた。ケリでの収穫は、個人の自由、つまり食事に合わせて収穫を行うので、楽しい日課にもなっているようだ。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
農園で献立を考えながら、楽しい収穫 「食後はブドウを食べよう」

「お昼は鯛(タイ)を用意しました。イモとトマト、キュウリで合わせましょう」。魚料理は復活祭や大祭日のみしか食べないが、われわれが来たことへの歓迎の振る舞いのようであると、父は言った。

基本、修道士の食事は、肉は一切食さず、イモ、豆が中心で、貝、エビ、イカ、タコなどの血の通わない魚介系は食す。また、自家製の赤ぶどう酒を作り、祈りの時にも使用する。地中海料理マイナス肉といえば、分かりやすいかもしれない。

Nが玄関に炭焼きの準備をし、鯛の下ごしらえが始まった。Nの特徴は几帳面で器用、書斎も部屋もとてもきれいに整理されている。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
整理整頓されたNの書斎

食事を作っているときも一切無駄がなく、テキパキと魚の内臓を取り、両面に塩こしょう。その傍ら、イモをレモンとにんにくで揚げ焼きし、まるでレストランの厨房かと思うほど、いい香りがケリ内を包んだ。

取った内臓は全てお皿に盛り、家の外に置いた。どこからともなく集まってきた猫たちが群がり、とても幸せな時間を過ごしているようだった。このアトスでは、家畜も全てオスであるが、猫だけはネズミを退治する役目があるようで、メスが存在するのである。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
魚の下ごしらえをする
聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
近所の猫たち

Nが玄関で魚を焼き始めた。オリーブオイルを大量にかけながら、じっくり両面を焼いていく。魚を焼く匂いに猫たちも集まり出した。無駄のないシェフさながらの手つきはとても印象的だった。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
慣れた手つきで鯛を焼く

添え付けのイモと一緒に魚を盛り、また例の心地よいテラスで昼食が始まる。食事の前に祈りの言葉を読み上げ、食事がスタートする。こちらの鯛は、静岡県伊豆沖で獲れる金目鯛のような脂ののった身ではなく、パサパサとした食感が特徴で、新鮮なレモンを絞ったオリーブオイルソースをかけて食べるのが一般的である。

こんがりと炭で焼いた香りにこのオリーブオイルとの相性は抜群。1人1匹用意され、食べられるかなと思ったが、意外に軽くあっさりと平らげてしまった。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
歓迎の魚料理

食後は居間の横にある聖堂を見せてくれた。イコンや聖書、聖水も備わっており、いつでも祈りができる準備がしっかりしてあった。

Nと触れて感じたことは、ギリシャ人の気質をしっかり持ち、乗ってきた船で出会ったギリシャ人たちのように陽気で、よく喋る。われわれ巡礼者を心より歓迎し、共有の時間を大切にし、親切な心でどんな事でも対応してくれる。誰に対しても家族のような包容力を持つ。これは、後に会う修道士たちも一様にそうであり、この地に住む修道士たちの特徴のように思えた。

聖山アトス巡礼紀行(7)ケリに生きるN修道士・その2~N修道士との別れ 中西裕人
聖堂で、ある聖人の話をするN修道士

この後セントアンドレアススキテ、翌日はフィロセウ修道院を訪れることになるが、Nとは翌日のフィロセウ修道院へ行くバスの前で別れて以来、今日まで会えることはなかった。

翌年2回目に訪れたときは、連絡が一切取れず、近くに住む修道士に聞いたところ心臓の持病を患っており、テッサロニキの修道士専用の病院にいるとのことで、かなり良くないとの話だった。その後一度回復したようだが、今年の年始に再度訪れた際は、再入院をしたようで情報もあまりなく、とても心配である。

Nの協力無しには、今回の取材はできていなかったと思うし、不慣れな自分を気遣ってくれ、たくさんの情報収集や食事、移動の手伝いも喜んで引き受けてくれていた。

これだけ協力してくれたNを思い、今感じるのは、彼らの祈りというものは一体どんなもので、彼らはどんな気持ちでこのアトスで暮らし、死んでいくのか、彼らの人間性はどこから来るものなのか、ということだ。しっかりと取材し、正しいことを伝えなくてはならないと感じた。

3時ぴったり。「そろそろ出発しましょう」とNは話した。

次回予告(5月14日配信予定)

セントアンドレアススキテにて、初の節食の日を迎えます。お楽しみに。

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◇

中西裕人

中西裕人

(なかにし・ひろひと)

写真家。1979年生まれ。東京都杉並区出身。日本大学文理学部史学科卒。外苑スタジオ勤務後、雑誌「いきいき」(現「ハルメク」)専属フォトグラファーを経て独立、雑誌、広告、webを中心に活動中。2014年に洗礼を受ける。父は日本ハリストス正教会司祭であり、年に数回共にアトスを訪れ修道士の生活などに密着した取材を続けている。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:中西裕人正教会日本正教会(日本ハリストス正教会)ギリシャギリシャ正教会アトス
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