Skip to main content
2022年5月23日17時38分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 文化
  3. 映画

「神に召されてしまった」キリスト者たちの本音を吐露するエンタメ系宗教ドラマ 「2人のローマ教皇」

2020年2月10日22時41分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:2人のローマ教皇(映画)ベネディクト16世(ローマ教皇)フランシスコ(ローマ教皇)
「神に召されてしまった」キリスト者たちの本音を吐露するエンタメ系宗教ドラマ 「2人のローマ教皇」+
映画「2人のローマ教皇」(画像:予告編より)

ストリーミング映画が従来の「映画」であるかどうかという問題が、昨年来かしましく議論されている。確かに私も「これは大型スクリーンで観たいな」と思わされる作品をDVDで鑑賞せざるを得ないとき、口惜しい思いを抱くことがある。しかしだからといって、「劇場公開しない作品は映画ではない」と言うのは横暴だと感じる。近年、そう感じさせられる優秀なストリーミング映画に出会うことが多い。

例えば、昨年紹介した「アイリッシュマン」など、その一つである。また、21世紀の「クレイマー・クレイマー」ともいわれている「マリッジ・ストーリー」のリアルさは、結婚生活を営むすべての夫婦必見の一作である。そして、このいずれもが「ネットフリックス(ネトフリ)映画」である。その勢いは、第92回アカデミー賞の主要部門ノミネート結果からも感じさせられる。先ほどの2作品は共に作品賞にノミネートされた(残念ながら受賞はならず)。また、主演男優賞には5人中2人、主演女優賞、助演女優賞、監督賞には1人ずつが、ネトフリ作品からノミネートされている。特にすごいのは助演男優賞である。何と5人中3人がネトフリ作品で占められているのだ!

そんなネトフリの勢いをそのまま感じさせる作品が、今回取り上げる「2人のローマ教皇」である。本作は、米大統領と並び映画作品では最も多く題材として取り上げられるローマ教皇をめぐる物語である。しかも、架空の存在や歴史的に時間の隔たりがあるかつての教皇を描くのではなく、人々の記憶に新しく、かつ存命中の教皇たち(名誉教皇のベネディクト16世と現教皇のフランシスコ)を取り上げた作品なのである。

かといって、堅苦しいドキュメンタリータッチの社会派作品ではない。むしろ史実を映画的に都合よく歪曲させ、対照的な2人の人物像を際立たせることで、どこにでもありそうな「引き際」と「継承」をめぐる人間ドラマに仕上がっている。ベネディクト16世役に「羊たちの沈黙」の名優アンソニー・ホプキンス、後に教皇フランシスコとなるホルヘ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿役に「天才作家の妻 40年目の真実」のジョナサン・プライスが配役されている。彼らはそれぞれ、助演男優賞、主演男優賞で、第92回アカデミー賞にノミネートされた。

映画の物語は2012年、カトリック教会の司祭たちによる少年たちへの性的虐待が明るみに出た直後から始まる。時の教皇ベネディクト16世は、この事実を前にカトリック教会の危機を感じていた。そんな中、保守的で体制維持に汲々(きゅうきゅう)とするカトリック教会に嫌気がさしたベルゴリオ枢機卿は、教皇に辞任の意向を伝える。すると教皇から直接会いに来い、というお達しが伝えられるのである。

彼らは、ベネディクト16世が教皇となる前からそりが合わない存在として互いを認識し合っていた。だからベルゴリオ枢機卿は今回も、何か腹に一物抱えて会談しなければならない予感を感じていた。しかし、カトリック教会で教皇からのお達しを受けるということは、神から呼び掛けられたに等しい。謁見の機会に、直接きちんと辞意を伝えようと決意したベルゴリオ枢機卿は、教皇の避暑地へと向かうことにするのだった。ところが教皇に会って話を切り出したものの、教皇は辞表を受理しようとしない。いら立ちながらも教皇と語り合うことになったベルゴリオ枢機卿。やがて2人の会話は意外な方向に転がり始めるのだった・・・。

物語のほとんどが「おじいちゃん」同士の会話で成り立っている本作は、ともすると退屈極まりない映画となってしまう危険もあったろう。しかし、名優アンソニー・ホプキンスのとぼけた演技と、今回、主演男優賞にノミネートされたジョナサン・プライスの真摯(しんし)なたたずまいがコラボすることで、面白い化学反応が生み出され、それが観る者の心をつかんで離さないのである。

観終わって、これは聖職者版「男はつらいよ」だなと思わされた。全世界に12億人の信者を抱えるカトリック教会の頂点にして、半ば「現人神」たる責務を負わざるを得ない「教皇」という立場は、なろうと思ってもなれないし、一旦なってしまえばその役職を投げ出すことなど到底不可能である。そんな特殊な立場に置かれた人間は、一体何を考え、どんな生き方を志すのか。教派の違いこそあれど、同じく「神にお仕えする立場(牧師)」に召された者として、なぜかシンパシーを感じてしまった。

しかし見方を変えるなら、それは神と出会い、神に導かれて今の在り方を選び取ったと考えるキリスト者すべてに共通する思いではないだろうか。そういった意味で本作は、一流の製作者、演者たちによる極上のエンターテインメント作品であると同時に、「神に召されてしまった」多くのキリスト者たちの「言うに言えない本音」を吐露している宗教ドラマとなっている。

人は自らの現在に疑問や不安を感じるとき、そこに至るまでの原点を模索する。特にカトリック教会の司祭やプロテスタント教会の牧師の場合、それは「神に召された」瞬間であったり、「神と出会った」出来事であったりする。その過去の自分を現在の自分が振り返ることで、そこまでの道のりを確かに歩んできたことを確認し、またその歩みを導き、庇護(ひご)を与えてくれた超自然的な存在(すなわち神)の確かさを認識することになる。

それほど人は「弱い」生き物であり、「有限な」存在である。この過去の振り返りなしには、未来を思い描くことができないのだろう。劇中何度も「告解」シーンが出てくるが、本作が製作されたこと自体、もしかしたらカトリック教会のみならず、聖書で「神の像(かたち)」として、被造物の最高位に位置付けられてしまった人間の「時にはつらいこともありますよ」的な「告解」と受け止めることもできるのではないだろうか。

本作はぜひ、カトリックの方のみならず、プロテスタントの方、特に牧師の皆さんに鑑賞してもらいたい。また、クリスチャン同士で鑑賞するなら、その後の感想会がいつしか自分たちの「証し大会」へと変化していくことだろう

■ 映画「2人のローマ教皇」公式ページ

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士、11年)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)。

関連タグ:2人のローマ教皇(映画)ベネディクト16世(ローマ教皇)フランシスコ(ローマ教皇)
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 映画「2人のローマ教皇」 歴史的交代劇の裏舞台、2人の教皇は何を語り合ったのか

  • 「2人の教皇」が出席、高齢者たたえるイベント

  • 映画「ラストレター」 「手紙」と「聖書」の素敵な関係

  • 米国で2020年に公開予定の5つのキリスト教映画

  • 現代日本人への「共観福音書」として観る映画「男はつらいよ50 お帰り寅さん」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(147)献身的な信仰者を求める日本社会(3)広田信也

  • アルケゴス社のビル・ファン氏、逮捕・起訴される 無罪主張

  • 世界福音同盟と国際ユダヤ人委員会がエルサレムで歴史的会合 共通の関心事を模索

  • 燃えない症候群 佐々木満男

  • 教会でウクライナ支援コンサート、現地で難民支援するハンガーゼロのスタッフが報告

  • ニューヨーク便り(4)日常に「ゴールデンルール」があるニューヨーク

  • 永遠のいのちを与えられた私たち 万代栄嗣

  • 小塩節・フェリス女学院元理事長死去 ドイツ文学者、キリスト教功労者

  • 神の子どもとされる特権 さとうまさこの漫画コラム(35)

  • 「入管体制の抜本改革を」 日本キリスト教協議会が岸田首相に要請文

  • 「天の故郷」に帰った小坂忠さんに最後のお別れ 思い出のホールで追悼告別式

  • ひとり子を十字架につけられる程の愛 小坂忠

  • 米教会で銃乱射事件、1人死亡5人重軽傷 教会員らが容疑者取り押さえ

  • 米教会銃乱射、牧師や信徒が命懸けで容疑者取り押さえ 犯行動機は台中関係への不満か

  • 元外務官僚の牧師、日本維新の会の参院比例区支部長に

  • 「祈り」と私たちの距離を教えてくれる良書 『大学の祈り』

  • ニューヨーク便り(4)日常に「ゴールデンルール」があるニューヨーク

  • 「流浪の月」 人の「分かり合えなさ」を映画ならではの手法で描く傑作

  • 同志社大神学部・神学研究科が公開シンポ「戦争と同志社」 戦時下知る有賀誠一氏が講演

  • 第4回日本ゴスペル音楽祭、4年ぶりオンラインで念願の開催

  • 「天の故郷」に帰った小坂忠さんに最後のお別れ 思い出のホールで追悼告別式

  • シンガー・ソングライター、牧師の小坂忠さん死去 73歳

  • 元外務官僚の牧師、日本維新の会の参院比例区支部長に

  • ひとり子を十字架につけられる程の愛 小坂忠

  • 16歳の高校生、洗礼受けた数時間後に銃弾受け死亡 米フロリダ州

  • 世界最高齢の田中カ子さん死去、119歳 戦後クリスチャンに 教会で幼稚園開設

  • 「悪」はいかに伝染するか 「心の闇」描くサイコサスペンス映画「死刑にいたる病」

  • 同志社大神学部・神学研究科が公開シンポ「戦争と同志社」 戦時下知る有賀誠一氏が講演

  • 米教会で銃乱射事件、1人死亡5人重軽傷 教会員らが容疑者取り押さえ

  • 神学書を読む(79)これぞ誰でも手にできる「組織神学」の本! 橋爪大三郎著『いまさら聞けないキリスト教のおバカ質問』

編集部のお勧め

  • ひとり子を十字架につけられる程の愛 小坂忠

  • 同志社大神学部・神学研究科が公開シンポ「戦争と同志社」 戦時下知る有賀誠一氏が講演

  • 第4回日本ゴスペル音楽祭、4年ぶりオンラインで念願の開催

  • 「妥協しない」テーマに ジーザス・レインズ、終戦記念日の8月15日開催へ

  • 「必ず日本にリバイバルは起こる」 首都圏イースター、高木康俊牧師がメッセージ

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 論説委員・編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2022 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.