Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
日本宣教論

日本宣教論(97)西欧化の先駆者型 後藤牧人

2019年8月6日17時49分 コラムニスト : 後藤牧人
  • ツイート
印刷
関連タグ:後藤牧人

西欧化の先駆者型

多くの日本のキリスト教会は、この第2の型を持っており、無教会派にもこの傾向はかなりあるといえる。これは日本社会の在り方を批判し、どちらかといえば西欧的な人間像の理想を模範と考える傾向である。その主張によると、日本の社会は封建的であり、個人の人格と自由を束縛し、抑圧している。だから教会の証しとして、日本社会が進歩し、より民主主義的になるように努力し、戦うべきであるとする。そのため戦争責任の問題、政教分離の2つにおいて、社会に訴え闘争するのである。

戦争責任の問題は、過去の太平洋戦争の責任を問うものであって、神道イデオロギーによって、愚かで悲惨な戦争をしたのであるとする。だから政教分離の原則を厳重に守ることが日本にとって重要であり、クリスチャンの義務として政府と日本社会に対して、過去の歴史の有罪性の認識を十分に持ち、またアジアに対して十分な謝罪をし、その態度を持ち続けるように要求するものである。

言うまでもなく、東京裁判の線をそっくり受け取っているのを特徴として挙げることができる。その意味で、キリスト教の自己検証はまったく不在である。しばしば発言の中には、日本的な体質に対するいら立ちや、嫌悪感のようなものも見受けられるのが特徴でもある。

政教分離

政教分離とは、新憲法に記載されている(と思われている)、政治と宗教の分離を厳密に行おうとするものである。そこには、神道イデオロギーが過去の侵略戦争を引き起こし、また大東亜共栄圏という搾取機構をアジアに作ろうとしたのであって、二度とそのような道を歩まぬようにする、という願いが込められている。

それらの旧勢力の再生を警戒し、そのために靖国神社に反対し、また天皇家の冠婚葬祭や、伝統的な諸行事とそのしきたりなどを神道流に行うのを警戒し、これに対して国費が支給されるのに反対するものである。

この「政教分離」には、かなりの問題点がある。果たして神道イデオロギーが戦争を引き起こしたのかどうかはともかくとして、神道が御用宗教としてまったく無抵抗に軍部に利用されたことは事実である。それが戦後に思想的に清算されずに存在を続けており、しばらくは連合軍総司令部による神道指令という懲罰的な政策の対象となったのも、やむを得なかったかもしれない。

この神道指令なるものは、神道イデオロギーこそが過去の大戦を引き起こした元凶である、との前提に基づいてマッカーサー司令部から出された神道圧迫政策である。そもそも占領者が一つの宗教を圧迫するのは、信教の自由の原則に反している。ジュネーヴ陸戦条約にも反していることはさきに述べた。しかるに、これが占領政策の一つとして行われたので、その理由として「神道イデオロギー」こそが太平洋戦争の元凶であるとの認識が挙げられる。この指令はすぐ後に、サンフランシスコ平和条約によって効力を失った。

ところが、キリスト教会の大部分の神道認識も同様であって、「神道指令」に戻ることを日本のあるべき姿としているように見える。

(注・もともと「政教分離」はザ・セパレーション・オヴ・チャーチ・アンド・ステートの訳語のつもりなのであろう。しかし、どうもマスコミの造語のようである。1966年版の平凡社の世界百科事典には、この「政教分離」は独立した項目としては出ていない。66年版が編集された時点では、まだこの語は市民権を得ていなかったらしいのである。1988年版になると、この語は独立した項目として載っている。)

「政教分離」の原語の The Separation of Church and State は、「教会(社会内部の団体としての)と政府の分離」である。もともと米国に発した思想で、「宗教団体」である教会と国家の分離をいう。

ヨーロッパの中世は、キリスト教会が政治を支配してきた。その弊害を避けようとして、米国では、教会は政治を左右してはならないという原則を立てた。それが「教会と政府の分離」の原則である。だから「分離」とは言っているが、むしろ「教会は政治の上にあってはならず、並立であれ」という原則である。

つまり政治の舞台の上で、ヨーロッパでは教会が主役で政府はその下だったが、米国では同等になれ、ということである。大統領の宣誓のときに聖書を使用するように、宗教は儀式的には現在も主役を演じるのである。重要なことは、米国流のセパレーションは決して「政治と宗教の無縁性」の原理ではないということである。繰り返すが、これは「地上の組織体としての『教会』と政治の分離」を定めたものであり、その目的はキリスト教会が政治を左右しないように線を引いたのである。そうして政治を左右していない限り、儀式的には教会が舞台上で主役を演じてもいいのである。

だから決して「政治における無神論の優先」を定めたものではないはずである。ところが誤訳であろうが「政教分離」という言葉が独り歩きするようになっている。そうして一般に「政治は宗教と無縁でなければならない」と理解されることになってしまい、政治における無神論的な政策の優先を主張するものになってしまっているのである。

さきにも縷々(るる)述べたように、日本では信長の比叡山焼き討ち以来、政治は無神論的、無宗教的な原則で行われてきた。また政治は宗教を為政の道具として、取捨選択し、自由に操り、扱ってきた。そのような素地のもとで「政教分離」という誤訳は、ごく自然に受け入れられたと思われる。

繰り返すが「チャーチ」が「政府」の上に来ないように、というのがジェファーソンの「教会と国家の分離」の原意である。決して「政治と宗教の無縁」を決めたものではない。だから大統領がキリスト教徒であれば、聖書に手を置いて宣誓する。大統領が死ねば、その葬式は彼の宗教でやる。その費用は国費から支出されて構わないのである。

仏教徒であれば、仏式でやって結構なのである(もっとも米国はキリスト教国であるという議会での関連決議がしばしば行われており、非キリスト教の儀式が採用されるかは疑問である)。米国では、人間は神の前で誓ってこそ、その誓約は有効であると考えられているのである。

繰り返して言うと、大統領が聖書に手を置いて宣誓するのは、米国流の「教会と国家の分離の原則」を破っていない。(分離という語の意味は、コントロールしないということだからである)。日本流の「政教分離の原則」なら、明らかなる違反なのであるが。

日本の歴史を見ると、西欧とは事情がまったく逆なので、近世以来、政治はもっぱら宗教を道具として操り、良いように操作して使ってきたのが伝統である。欧米のキリスト教国とは事情が違う。

それが「教会と国家との分離」を「政教分離」というふうに誤訳してしまった、またその誤訳が60年以上通用してきたことの背景にあると思われる。つまり、繰り返すが、西欧では長く政治の舞台の上に教会が主役を演じていた。これからは、教会は主役を降りるように、舞台を取り仕切るのはやめさせるということである。

だが、教会はあくまで舞台の上にいるのである。主役を譲っただけで、降りていないのである。これが、ジェファーソン流の「分離」である。ところが日本では、中世以降は、宗教は主役を降りたばかりでない、それ以後は政治の舞台から降ろされてしまい、小道具としてだけ使われてきた。大道具、書き割り、背景は舞台の上にある。ところが小道具は俳優が手に持つので、花束は捨てて、次の瞬間には剣を振り上げていたりする。

いつでも振り捨てて、他のものと交換されるのが小道具である。鎖国に当たって徳川幕府は仏教を国教としたが、維新に当たっては、明治政府は仏教をあっさり捨て、今度は神道を国教として製造した。あくまで小道具なのである。これは外国にはまずない。日本社会の無神論的な性格をよく表している。そのような歴史を持つ日本社会である。

「政教分離」(と受け取った)命令が出ると、日本の社会は、これからは「政治は宗教を小道具としても使ってはいけない」のだと理解した。つまり政治の舞台では、小道具でさえも無宗教でなければならないのだ、とそのように理解した。

(後藤牧人著『日本宣教論』より)

<<前回へ     次回へ>>

*

【書籍紹介】
後藤牧人著『日本宣教論』 2011年1月25日発行 A5上製・514頁 定価3500円(税抜)

後藤牧人著『日本宣教論』

日本の宣教を考えるにあたって、戦争責任、天皇制、神道の三つを避けて通ることはできない。この三つを無視して日本宣教を論じるとすれば、議論は空虚となる。この三つについては定説がある。それによれば、これらの三つは日本の体質そのものであり、この日本的な体質こそが日本宣教の障害を形成している、というものである。そこから、キリスト者はすべからく神道と天皇制に反対し、戦争責任も加えて日本社会に覚醒と悔い改めを促さねばならず、それがあってこそ初めて日本の祝福が始まる、とされている。こうして、キリスト者が上記の三つに関して日本に悔い改めを迫るのは日本宣教の責任の一部であり、宣教の根幹的なメッセージの一部であると考えられている。であるから日本宣教のメッセージはその中に天皇制反対、神道イデオロギー反対の政治的な表現、訴え、デモなどを含むべきである。ざっとそういうものである。果たしてこのような定説は正しいのだろうか。日本宣教について再考するなら、これら三つをあらためて検証する必要があるのではないだろうか。

(後藤牧人著『日本宣教論』はじめにより)

ご注文は、全国のキリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。

◇

後藤牧人

後藤牧人

(ごとう・まきと)

1933年、東京生まれ。井深記念塾ユーアイチャペル説教者を経て、町田ゴスペル・チャペル牧師。日本キリスト神学校卒、青山学院大学・神学修士(旧約学)、米フィラデルフィア・ウェストミンスター神学校ThM(新約学)。町田聖書キリスト教会牧師、アジアキリスト教コミュニケーション大学院(シンガポール)教授、聖光学院高等学校校長(福島県、キリスト教主義私立高校)などを経て現職。

■ 【後藤牧人著書】(Amazon)
■ 【後藤牧人著書】(イーグレープ)

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:後藤牧人
  • ツイート

関連記事

  • 日本宣教論(96)無教会主義型 後藤牧人

  • 日本宣教論(95)日本のキリスト教会の現状 後藤牧人

  • 日本宣教論(94)日蓮 後藤牧人

  • 日本宣教論(93)蓮如の道場 後藤牧人

  • 日本宣教論(92)蓮如の宗教運動 後藤牧人

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.