Skip to main content
2025年9月15日21時19分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
21世紀の神学

21世紀の神学(8)脊髄反射とニコニコ動画の川上量生氏の言葉 山崎純二

2018年12月21日20時04分 コラムニスト : 山崎純二
  • ツイート
印刷
関連タグ:山崎純二
21世紀の神学(8)脊髄反射とニコニコ動画の川上量生氏の言葉 山崎純二+

「脊髄(せきずい)反射」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?何か熱さを感じたり、痛みを感じたりしたときに脳で考えてからそれを避けるのではなく、情報が脊髄から手足に直結して、反射的に危険を回避することを指します。これは人にとって無くてはならない機能で、それによって被害を最小化することができるのですが、言論界ではこの言葉が別の意味で使われます。それは、何かのニュースなどを聞いたときに、よく考えもしないで、すぐに批判するという意味で使われます。

問題は、熟考の末、心を痛めながら書いた文章であれ、脊髄反射的によく考えもせずに語った言葉であれ、発せられた言葉には大きな力があるということです。肯定的な言葉や励ましの言葉が、人を実際に死の病から回復させることもある一方、否定的な言葉や中傷の言葉により、人が命を絶ってしまうこともあります。

特に最近ではツイッターやラインなどのSNSを使った言葉による集団リンチなどが起こりやすくなっています。この問題について「SNS時代の魔女狩り」「村上春樹著『沈黙』を読んで」という2つのコラムを通して問題提起をしてきましたが、今回は一つの解決の道を皆様と共に模索していきたいと思います。

それはニコニコ動画で有名な株式会社ドワンゴの創業者、カワンゴこと川上量生氏の考え方です。私はテレビなどで大勢のコメンテーターがワイワイ言っているのを聞くよりも、1人か2人の方がラジオなどで自分の考えを語るのを聞くのが好きです。その方が圧倒的に話が深まり、中身のある議論を聞くことができるからです。これから取り上げる川上氏の言葉は、そのような対談形式の話の中で語られた言葉です。

対談の流れの中で、話は両親に虐待を受けたとされる船戸結愛(ゆあ)ちゃん(5)が3月に死亡した事件に及びました。この事件は、2018年の6月に報道されたものですので、記憶に新しい方も多くいると思います。以下に報道の内容を一部整理して転載します。

父親は、2月末ごろに結愛ちゃんを殴ってけがをさせたとして傷害容疑で逮捕、起訴されており、結愛ちゃんの体重は死亡時、同年代の平均の約20キロを下回る12・2キロだった。部屋からは、「もっとあしたはできるようにするからもうおねがいゆるして」などと結愛ちゃんが書いたノートが見つかっていた。毎朝4時ごろに起床し、平仮名の練習をさせられていたという。警視庁は6日、父親の無職船戸雄大容疑者(33)を、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕し、母親の優里容疑者(25)も同容疑で新たに逮捕した。(朝日新聞デジタル6月6日付記事より)

この事件は、大変痛ましいものです。特に幼い結愛ちゃんが「もっとあしたはできるようにするからもうおねがいゆるして」とノートに書いていたことは、多くの人の心を揺さぶりました。私もとても胸が痛み、目頭が熱くなりました。そして人々の行き場のない怒りや悲しみは、結愛ちゃんをそのような状況に追いやった両親に向けられました。インターネット上には、両親に対する罵詈(ばり)雑言が満ちました。しかしこのことに対して、川上氏は普通の人とは違う卓越した想像力を働かせます。それは一字一句正確ではありませんが、このようなものでした。

結愛ちゃんはもう死んでしまったからどうすることもできないけれど、結愛ちゃんみたいな子はきっとたくさんいる。その子たちに何ができるのか?

結愛ちゃんは死んでしまったけれど、結愛ちゃんみたいな子が死なずに大人になるケースが多くあるはずなんです。そして、大人になった結愛ちゃんみたいな子は、育った環境のせいで性格が歪み、性格の悪い、いやなやつになっているかもしれない。

ひょっとすると、結愛ちゃんの親がそうだったかもしれない。そうすると、僕たちは結愛ちゃんを苦しめた人をたたいているつもりで、実は大人になった未来の結愛ちゃんをもっとたたいていることになってしまうのではないか。

こう考えると、僕たちは世の中のすべての「性格の悪いやつ」を、たたいてよいのかという問題になる。

実に聡明で、自己への内省と他者への優しさに満ちた言葉ではないでしょうか。「SNS時代の魔女狩り」「村上春樹著『沈黙』を読んで」という2つのコラムで、私は特別に悪くもない人たちが、集団の空気によってリンチされていくという問題を取り上げましたが、川上氏は明らかに悪いことをした人をも、私たちはたたくべきではないという指摘をされたのです。

今回のようなニュースを聞くとき、多くの人が脊髄反射的に、特定の個人を悪者と決めて(自己は正しいとし)たたくのが当然という風潮の中で(そのような主張には多くの賛同を表す「いいね」がつく)、彼は一歩も二歩も立ち止まって、ひどいことをしてしまう人の育った環境や立場にまで想いをはせているのです。そして「悪」の問題が個人に帰属されるものではなく、社会や育った環境に大きく左右された結果であるから、人が人を糾弾すべきではないと言っているのです。

もちろん彼は、裁判所が法で罪を裁くことを否定はしていませんが、それはあくまで社会秩序を保つためのルールであって、人が自己を正当化して相手が悪いからたたくということに鋭い問題意識を持ったのです。ましてそれがSNSなり、メディアなり、ある主の閉鎖的なコミュニティーの中で集団的に起こることに強い警鐘を鳴らしています。彼のこのような考え方は、聖書の教えに通底するものがあります。ローマ書の中で使徒パウロはこう言っています。

あなたはいったいだれなので、他人のしもべをさばくのですか。しもべが立つのも倒れるのも、その主人の心次第です。このしもべは立つのです。なぜなら、主には、彼を立たせることができるからです。(ローマ14:4)

「あなたはいったいだれなので」「さばくのですか」。この言葉を正面から受け止めれば、人は決して人を裁いたりたたいたりすることができなくなるはずなのです。私たちはみな、大いなる方の摂理の中でこの地に生を受け、その加護と恵みの中で生かされている小さな存在です。そして正直に各人が自分の心の中を見てみれば、裁かれることはあっても、裁く立場ではないことは明らかなはずです。

川上氏は決して自己を正当化しません。彼が他の多くの人と同様に脊髄反射的な批判に加わらないのは、自分も少し間違って悪い環境の中で育っていたら、性格が歪み、結愛ちゃんの親と同様のことをする可能性がある、同じ人間だということに気付いているからです。

彼はインターネット上に吐露されている多くの人の本音に接するうちに、人の弱さや性(さが)に嫌というほど向き合ってきたことでしょう。にもかかわらず、それらすべてをのみ込んで、人と寄り添って生きることに決めたことに、彼の優しさを感じます。彼は現実の社会で、きちんとした生活を送っている人よりも、むしろネットの中にいるどうしようもなく性格が曲がってしまっている人たちに、むしろ親近感を覚えるとさえ言っています。

今回のようなトピックに関して、インターネットの黎明(れいめい)期から最前線を走ってきた川上氏の言葉は傾聴に値するものではないでしょうか。

<<前回へ     次回へ>>

◇

山崎純二

山崎純二

(やまざき・じゅんじ)

1978年横浜生まれ。東洋大学経済学部卒業、成均館大学語学堂(ソウル)上級修了、JTJ宣教神学校卒業、Nyack collage-ATS M.div(NY)休学中。米国ではクイーンズ栄光教会に伝道師として従事。その他、自身のブログや書籍、各種メディアを通して不動産関連情報、韓国語関連情報、キリスト教関連情報を提供。著作『二十代、派遣社員、マイホーム4件買いました』(パル出版)、『ルツ記 聖書の中のシンデレラストーリー(Kindle版)』(トライリンガル出版)他。本名、山崎順。ツイッターでも情報を発信している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:山崎純二
  • ツイート

関連記事

  • 21世紀の神学(7)村上春樹著『沈黙』を読んで 山崎純二

  • 21世紀の神学(6)SNS時代の魔女狩り 山崎純二

  • 21世紀の神学(5)〇〇ファーストと松本人志論 山崎純二

  • 21世紀の神学(4)青山繁晴氏へ一番伝えたかったこと 山崎純二

  • 21世紀の神学(3)青山繁晴氏が相いれないと感じる教理について 山崎純二

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 新しい発見 佐々木満男

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • ワールドミッションレポート(9月15日):アンギラ 静かなる島に迫る変化と教会の使命

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(11)抗黙示思想と今この時のトーブ 臼田宣弘

  • 主につながり、人々を主につなげよう 万代栄嗣

  • シリア語の世界(32)シリア語聖書の人名・地名小辞典 川口一彦

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • 新しい発見 佐々木満男

  • ワールドミッションレポート(9月15日):アンギラ 静かなる島に迫る変化と教会の使命

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.