Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から

子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(1)数字で見る虐待の現状と現場の実情

2018年6月28日07時23分 コラムニスト : 千葉敦志
  • ツイート
印刷
関連タグ:児童虐待児童養護施設千葉敦志
数字で見る日本の児童虐待の現状と現場の実情+
※ 写真はイメージです。

2016(平成28)年度中に、全国210カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は12万2578件(速報値)で、前年から1万9千件余り増え、過去最多となりました。そのうち警察からの通告は5万4813件(同)と報告されています。

また、同年度中に厚生労働省が把握した虐待による子どもの死亡事例は、心中以外の虐待死事例では48例(52人)、心中による虐待死事例(未遂により親は生存したが子どもは死亡したものを含む)では24例(32人)であり、総数は72例(84人)と報告されています。

児童養護施設は全国に603カ所あり、3万2613人の定員が確保され、2万7288人が入所しています(2016年10月1日現在)。このうち虐待を受けた児童の割合は約6割です。また、全児童の平均在籍年数は5年弱と報告されています。0歳児は乳児院で受け入れますが、全国に136カ所あり、3877人の定員に対し、入所者は2901人と報告されています(同)。

つまり、全国のどこかで毎月1万件以上の虐待通報が寄せられているということです。計算すれば1日で300件を軽く上回る虐待が通報されているということです。これはあくまで通報事例の話で、それ以外にも虐待が水面下でどれほど行われているかは、想像するしかありません。さて、虐待を受けた児童が保護される先が乳児院・児童養護施設ですが、年12万件超の虐待相談件数に対し、その定員は合わせて約3万6500人です。この数字が多いか少ないかは、それを受け止める人によって違うでしょう。

さて、虐待の通報で受けた案件は、児相と警察の双方に連絡が行きます。当然、児相や警察は保護者を呼び出し事情聴取をします。この過程で保護者に対しては「始末書」のようなものを警察の指導の下で取ったり、警告を発したりします。

また、児童に対しても保護者を抜いた個別の聞き取りを行います。この中で児童に対しては「保護を求めるかどうか」をかなり突っ込んだ立ち位置(保護者などを除外した形)で意思確認します。もし、児童が保護を希望する場合には、最優先で保護が行われます。

しかしながら、夫婦間のドメスティックバイオレンス(DV)にしても児童虐待にしても、もはや共依存関係が成立している場合が多く、残念ながら、相当強く指導しても元に戻りたがる傾向があります。ここが現場の最も苦しむ部分です。

虐待を受けている人は、虐待そのものを愛情と捉えることが多く、それに耐えることが愛情表現だと考えている向きがあります。また、自分に原因があると思っているため、その部分を自分が改められれば、虐待がなくなると信じている傾向があります。

虐待やDVなどの場合には、被害者の方が引越しや離別などの大きな精神的ダメージを受けざるを得ないということも問題です。たとえ保護をしたとしても、学校など、児童を取り巻く環境をどう守るのかといった課題も山積しています。多くの場合、友達にさようならを言う間もなく、児童養護施設に入所、そこから最寄りの学校に通うことになります。その過程の中で、今度はいじめなどに遭う子も少なくありません。

そもそも、虐待事件が報道されるたびに、虐待を受けた児童は国が保護するべきだという声が出ますが、虐待を通報された該当児童を全員保護して国が面倒を見るとしても、中学校卒業までなのか、高校卒業までなのか、どのレベルの生活を担保するのかも重要な問題です。仮に児相に相談が寄せられた12万人の全児童の生活を担保するためには、平均受け入れ人数を50人としても既存の施設にあと1800施設の追加が必要となりますし、その施設一つ一つには、十数人程度の職員が必要になります。経費としてみれば、1人当たり最低でも平均月額20万円はかかると思われます。そうすると、少なく見積もっても年間で3600億円ほどの経費が追加で必要になる計算です。さらにその施設で働く1万8千人ほどのスタッフを追加で育成・確保しなければなりません。

また、保護期間も無期限という形にはなりません。一時保護期間は原則2カ月間(延長あり)です。児童とは法的には0~18歳までを指しますが、義務教育年齢は16歳までです。よく「16歳の壁」と言われますが、16歳の誕生日以後に関しては、児童の希望が強く優先されていきます。もし仮に、親元に帰りたくないという形になれば、児童養護施設から里親へと進みますが、その里親制度がなかなか進展しない現状もあります。

また一度保護すれば、その子が成人になるまで相当な深度で継続的に支援を続けなければなりません。

虐待のケースですが、最悪化するパターンとして最も多いと私が認識しているのが、連れ子に対する虐待です。しかし、たとえ虐待死の全原因を連れ子再婚に求めたとしても、1年間の虐待死件数は72件です。それに対する、連れ子再婚する夫婦の全数とははるかに開きがあることはご想像に難くないと思います。

この仕事は失敗することが許されない仕事です。一人たりとも虐待で命が奪われることがあってはならないと強く思っているスタッフがほとんどです。当然、すべての事態を想定に入れて動くことが求められます。しかし、たとえ12万人のうち11万9999人を何回も適切に助けたとしても、1人が虐待死すれば失敗です。スタッフもそのことを強く自覚しています。

しかし、もともと通報事案になる虐待はもはや相当根深い状態になっています。行政、警察、支援員などが寄ってたかって総力を結集しても残念ながら力が及ばないケースが少なくありません。

また、リスクばかりが見える仕事であることなどが極度の人材不足を生み出しており、それと同時に予算不足、さらにその両方が相まって研修などを積む余裕もなく、専門的な技術を持つ人がなかなか増えないのが実情です。(続く)

次回へ>>

◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:児童虐待児童養護施設千葉敦志
  • ツイート

関連記事

  • 「虐待の連鎖」止めよう 児童虐待防止推進月間にゴスペルで呼び掛け オレンジゴスペルツアー

  • 「愛された人は、神の愛を知り、神を愛する者に変えられる」 聖書を土台にした児童養護施設「東京育成園」

  • 「少年にセカンドチャンスはあるのか?」 児童福祉法と少年法の間に生きる少年たち

  • フィリピンの児童養護施設を訪ねて(1)~日本人クリスチャンが運営する「ハウス・オブ・ジョイ」

  • 思わぬ妊娠に悩む女性を助け、赤ちゃんの命を守りたい 「ベアホープ」の働き

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.