Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から

子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(2)虐待はなぜ起こるのか、性悪説から考える

2018年7月5日17時01分 コラムニスト : 千葉敦志
  • ツイート
印刷
関連タグ:千葉敦志児童虐待
子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(2)虐待はなぜ起こるのか、性悪説から考える+
※ 写真はイメージです。

前回の記事でお伝えしたように、児童虐待の統計は増える一方です。なぜ増えるのかというと、虐待の理解が広がってきたからです。そして、虐待の定義がはっきりしてきたからだということができます。

はっきり言えば、「虐待」は今の時代だから「虐待」です。「昔は良かった」と言われる一方で、その時代には虐待という定義もないまま、子どもたちは、放置され、強制され、殺された時代だったのです。今風に言えば、まだ赤ん坊だった野口英世が手を囲炉裏(いろり)で焼いて障害を負ったのも、私たちが子どもだった時代の「鍵っ子」というのも「ネグレクト」という定義に当てはまるでしょう。

以前、貧しい国では、生まれてきた子の手や足などをあえて切断して、その子に物乞いをさせたという話を聞いたことがあります。また、日本でも貧しい地域では口減らしとしての人身売買まがいのことなどは当たり前にありました。また、間引きなども行われていたようです。私が子どもの頃にブームとなった「おしん」はそういう時代の日本をよく表しています。

よく信じられている事柄に「親の愛は無限」とか「動物の世界には虐待はない」というのがありますが、これは明確に間違えています。動物園でよく見られる光景ですが、動物の親が子どもを産み落としたのに授乳しようとしないとか、極端な場合、殺して食べてしまうなどということはよくある話です。野生の熊などは、子連れの母グマを見つけると、オスがその子を殺して、その母グマに自分の子どもを産ませるというようなことを行います。

つまり、人間であれ、動物であれ、親の愛情というのはそれを育むための環境と一定の時間が必要なのです。そのような環境と時間をどのように整えていくかが、児童福祉における支援の原則なのです。

目黒の虐待死事件では、過去2回、被害児を保護していました。冷静に見れば、その後のアフターケアに失敗したケースです。実は一時的に保護しても、そのアフターケアについては、守秘義務や保護者の権利などが複雑に絡み合い、残念な結果となってしまうことがあります。

私は保育職に就いて11年になりますが、子どもたちを虐待から守ることは本当に難しいと痛感させられています。手遅れにならないようにするためには、すべての保護者に対して、いつも「虐待の恐れ」を危惧し続けなければなりません。たとえ命懸けで子どもを守ったとしても、その結果は当たり前でしかなく、守秘義務のために明らかにされることはありません。

一人たりとも失われていい子どもの命はないことを熟知してもなお、虐待に関する支援は複雑であり、またその子が保護者の手を離れるまで、そして彼らが親になってもなお、継続していく問題なのです。

保護者から逆恨みされながらも、支援者は守秘義務を課せられて反論もできないことが多くあります。例えて言えば、ノーガードでパンチを浴び続けるしかないのです。しかしそれもすべて覚悟の上でしていることで、それで虐待がやめば成功事例です。逆に、たとえ何回保護に成功しても、その子の命が絶たれれば失敗であるわけです。

さらに、1人の子どもを保護しその命を守ることができたとしても、社会から虐待がなくなるわけではありません。私たちの仕事は続きます。児童虐待の問題の根幹は、虐待が起こる社会構造そのものであり、解決策は、虐待が起こらない社会構造にどう切り替えていくかを考えていく中でしか生まれてこないのです。

より具体的には、虐待に対して、行政や事業者、各支援者が地域単位でどう連携を強化するかが大切だと思います。前回申し上げた数値で明らかなのは、虐待死を防いだ数と虐待死の対比を把握するのが困難だということです。成功例は世に出ることはほとんどないのですが、一方で失敗したケースは、目黒の事件のようにセンセーショナルに伝えられます。

世間は、虐待する親を信じられないと言い、虐待は保護者が犯す卑劣な犯罪だと言います。そう言いたい気持ちはよく分かります。しかし、そればかりではない事情や背景がある虐待を見てきた私は、そのような最悪の事態を予見し、いつ、どのような措置を講ずるかを判断するのに、いつも困難を感じます。端的に言えば、誰が、いつ、どのようにして「親失格の烙印」を押すのかという話なのです。そこに明確な線引きをするのは非常に困難なのです。

「難しいケースだから仕方がなかった」と言って片付けてしまうつもりはありません。また性善説に基づいてどの親であれ信じていくべきだと言うつもりもありません。私は目黒の事件を見て、子どもを助けるためならどんなことでもしようと、あらためて覚悟を決めました。もっと学ばなければなりません。

しかし繰り返しになりますが、現場で子どもたちを守り続けたとしても、それだけで社会から虐待がなくなるわけではありません。人間が人間として扱われる社会、親が親となれる環境と時間、子どもに対して大人が大人になれる環境と時間を整えない限り、児童虐待や対児童犯罪はなくならないのです。そういう意味で私は、現代の資本主義社会全体を性悪説で見る必要があると考えています。

児童虐待は、時代という魔物が生み出す出来事です。時にそれは物理的貧困であり、時にそれは精神的な貧困によって産み落とされた時代の落とし子ということがいえるでしょう。そしてその出来事は、自らの力だけではどうしようもできないという無力感で私たちをさいなみ、「信じられない」「親を極刑に処すべし」などという感情論に走らせてしまうのです。無力感は私たちの本性かもしれません。悪をもって悪に返したくなります。しかし、教会はそんな無力感には屈服しませんでした。

今から150年ほど前、児童虐待という概念がない時代、日本のある地方で大飢饉(ききん)が起こったとき、ある教会の外国人宣教師が農村の道端に捨てられている赤ん坊を見つけたそうです。辺りを見回してみると、道端のあちこちに赤ん坊が捨てられていました。その宣教師は自宅に取って返し、リヤカーを引き回して子どもたちを拾い、育てるために児童保護施設を設立します。

戦前・戦中はキリスト教迫害の嵐にさらされ、経営は非常に困難を極めましたが、そのような時に必ず、夜のうちに人知れず米や野菜が玄関の前に届けられたそうです。子を捨てざるを得なかった人々が、しかしその一方で、この児童保護施設がその子たちを拾って育ててくれていることを覚えていたのでしょう。

このような事例はその地方に起こった特別なことではなく、当時全国あちこちであったと報告されています。また、地方の多くの教会が保育施設を営んでいるのは、そういう理由からだとも言われているのです。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:千葉敦志児童虐待
  • ツイート

関連記事

  • 子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(1)数字で見る虐待の現状と現場の実情

  • 「虐待の連鎖」止めよう 児童虐待防止推進月間にゴスペルで呼び掛け オレンジゴスペルツアー

  • 「愛された人は、神の愛を知り、神を愛する者に変えられる」 聖書を土台にした児童養護施設「東京育成園」

  • 「少年にセカンドチャンスはあるのか?」 児童福祉法と少年法の間に生きる少年たち

  • フィリピンの児童養護施設を訪ねて(1)~日本人クリスチャンが運営する「ハウス・オブ・ジョイ」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.