Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から

子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(3)「子どもを真ん中に立たせる神の義」を求める

2018年7月12日11時01分 コラムニスト : 千葉敦志
  • ツイート
印刷
関連タグ:児童虐待千葉敦志
子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(3) 「子どもを真ん中に立たせる神の義」を求める+
※ 写真はイメージです。

50年ほど前、子育て支援制度なんてまったく存在もしていない時代、子どもたちは、それぞれの家の周りで生き生きと過ごしていました。

今から40年前、近所にガキ大将がいて、毎日外に出て遊んでいました。「パッタ」(私の地域ではメンコのことをこう言っていました)「コマ回し」「ドロケイ」「水鉄砲」・・・。そう言えば、コマが回せなくて、毎晩玄関先で遅くまでコマ回しを練習していたっけ。近所の林の沼地で採ってきたカエルの卵を育てたり、山菜を採って親にお土産にしたり――。

どこの家にもお母さんがいて、子ども同士の約束で簡単に遊びに行ったり来たりもしていました。今思い出せば、幸せな時代でしたね。でも一方で、実はその地域では、私が最後のガキ大将でした。私の世代が中学校に進む中で、下の世代に数年の途切れが出たためでした。ガキ大将は地域の伝統文化であり、継承技術であると今になって思います。今後、ガキ大将なんて制度はめったに再生することはないでしょう。

また、その時代の保育所は「親が面倒を見ることができないかわいそうな環境に置かれた子どもたちを預かる施設」であり、「措置制度」(国が親の状況を勘案して強制力を持って面倒を見る仕組み)の中に置かれていたのが認可保育所でした。しかし今、保育所に子どもを通わせることは「親の必要に応じた権利」とされる一方で、「子育ての拠点」になっています。

戦後のたった70年余りで社会の価値観は大きく変わりました。そして、子育ての環境だって大きく変貌を遂げました。昔は子どもが3人以上いる世帯が当たり前であり、法事や葬式などでは、一族の子どもたちが群れをつくって外で遊んでいました。

私は、福祉に関しては「昔が良かった論」は支持しません。それは、巻き戻しができないからです。私たちは、現代の良い部分を捨てられません。たとえ昔がどれほど良かったとしても、もはや昔に戻す手はないわけです。病気やさまざまな障害を克服し、児童の死亡率を下げてきた過程で発生した、これまでの価値観では考えても見なかった弊害の一つが虐待なのです。

例えば、それは「昔はシャンプーなんて1週間に1回だった」とか、「各家庭に風呂があるわけじゃないから、ご近所に風呂を使わせてもらいに行っていた」とか、もっと言えば「昔は子どもの死亡率が高かった」など、今では想像もできないような社会であったから、助け合い、支え合いが子育ての基本にあったわけです。

日本人の平均寿命が伸び、国民の所得が跳ね上がり、昔よりも裕福な生活ができるようになった一方で、経済・所得格差が深刻化し、さらには経済の持続性に疑念が生じる時代です。過食、高ストレス、運動不足などから生活習慣病などという病気の定義もできました。結婚年齢もこの30年ほどで急速に晩婚化に向かっています。合計特殊出生率も2をはるかに下回り、子どもの数は激減し、一人っ子家庭が激増しました。病気などで命を失う子どもの数は激減しましたが、一方で多くの子どもは0歳から保育所に入る時代です。「保活」「待機児童」などという言葉が生まれる一方で、小学校の児童数は激減、1年生になっても友達が100人もできるわけではありません。

「虐待の親を極刑に処せ!」などと声高に主張する人もいますし、「制度を拡充せよ」とか、「親を厳しく監視せよ」などということが平気で論議されているような感じを受けます。しかしそもそも、そんなことで虐待がなくなることは決してないと断言できます。私たちは、虐待のニュースに眉をひそめ、かわいそうだと涙し、怒りに震え、拳を振り上げようとします。しかしその一方で、私たちは、子どもたちがどう育てられることが理想なのかを、実践するどころか、積極的に論じることさえできていないわけです。

「学校の先生が言うから」とか、「自分の子でないから」とか、「親がうるさいから」とか、そういう事柄だけで子育てを論じてきたツケが今、虐待として現れているといえます。

グローバル化する日本は、そのメリットを享受しようとひたすら努力する一方、デメリットには一切口をつぐみ、日本全体としての自己分析を拒否してきました。そのツケが、子どもや障がい者といった社会的弱者、そして能力が低いとされる人々に、さまざまな形の「虐待」として押し付けられているのは、明白なことだと私は思っています。

「昔は良かった」ではなく、「未来を少しでも良くしよう」と一人一人が思うことこそ、今求められていることだと思います。

このコラムでは、過去2回、それぞれ、統計と仕組みから虐待について考えてみました。今の日本は「これは!」という打開策がないのが現状です。制度を拡充しても、それは現状を後追いすることしかできないからです。つまり、元を断つには、制度を拡充するだけでは限界があるのです。

制度を拡充すればするほど、虐待の定義もなお厳しくなっていきます。昔は当たり前だった「家でお留守番」は、現在の定義によれば確実にネグレクトという虐待に相当します。そもそも「叱る」ことそのものも、虐待の定義と突き合わせて再考されるべき問題とされています。

昔は、「アメリカに行けば『おんぶは虐待だ』と言われた」とか、「蒙古斑(子どもの頃に出るモンゴロイド特有の青いあざ)を虐待の痕跡ではないかと疑われた」などという話を笑い話のように言われました。文化が違えば、虐待の定義も違うのです。北欧諸国では、天気の良い冬の日には、赤ちゃんをベビーカーに乗せ、氷点下の玄関前で昼寝させることが当たり前だそうです。熱が高い時の対応も、ヨーロッパでは「(30度ぐらいのぬるい)水風呂に入れなさい」という指導を医師がする国もあるそうです。このように、子育てに関して、地域的、文化的な違いがあることは常識なのです。

実は、文化的な虐待の定義と、グローバルな虐待の定義は大幅なズレを持っているのです。また、地域間格差もあります。子育て世代にどれだけ無言の「社会的圧力」がかけられているかによって、虐待の内容、軽重などが、それぞれの地域の特性に応じて出てくるのです。

一言で言えば、「全国に対応する地域や文化圏それぞれの虐待の定義がはっきりせず、さらに言えば、子育てを終わった世代はその事柄さえも受け入れがたい」ということです。現代の世界的な潮流では、「子どもの将来を考えて塾に行かせる」とか、「課題をクリアできなければ罰を与える」も、子どもの同意がなければ虐待と考えられる時代になってきました。しかしその一方で、虐待を論じようとすれば、どこまでが虐待で、どこからが虐待でないか、という基準線のやりとりに終始せざるを得なくなる場合が少なくありません。

昔を知る人たちからすれば、「面倒くさい時代になったなあ」と思う一方で、自分にも思い当たることがあるだけに、「虐待は一線を越えたかどうか」で判断するしかない心理学的な現実が社会を覆っています。だから「昔は良かった」と言いたくなるわけです。今、日本は総じて「これは良い、これは良くない」という二極化した世界になりつつあるといわざるを得ません。つまり、多くの場合「重篤な結果さえ避ければいい」と考えているわけで、無意識的に「子育てには、程度の軽い虐待は必要」と信じきっているわけでです。

ですから、「世界的な水準では・・・」とか、「かの児童福祉先進国では・・・」と言い続けることは、世代間の分裂しかもたらしません。それは、子どもの姿を見ずに制度を基準に考えているからです。これまでの論争を見ると「木を見て森を見ず」の典型だと思います。しかし今必要なのは「森を見て木を見る」です。虐待を防ぐのではなく、私たちそれぞれが「子育て」の理念をしっかりと構築していくことが必要だと強く思うのです。

このような前提の中で、教会はどのような働きができるでしょうか。それはまず、教会自身が「子育て」の理念をしっかりと発信することでしょう。これからの子育ての定義の中で求められるのは、「親の愛」ではなく、「神の義」を確信するかどうかが問われているのだと思います。つまり「親はこうあるべき」ではなく、「子どもを真ん中に立たせる神の義の世界」を教会が地域にあってしっかりと体現することなのだと思っています。(続く)

<<前回へ     次回へ>>

◇

千葉敦志

千葉敦志

(ちば・あつし)

1970年、宮城県生まれ。日本基督教団正教師(無任所)。教会付帯の認可保育所の施設長として、保育所の認定こども園化を実施。施設長として通算10年間、病後児保育事業などを立ち上げたほか、発達障害児や身体障害児の受け入れや保育の向上に努め、過疎地域の医療的ケア児童の受け入れや地域の終末期医療を下支えするために、教会での訪問看護ステーション設置などを手がけた。その後、これまでの経験に基づいて保育所等訪問支援事業を行う保育支援センターを立ち上げた。現在、就労支援B型事業所「WakeArena」を立ち上げ、地域の福祉増進を目指している。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:児童虐待千葉敦志
  • ツイート

関連記事

  • 子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(2)虐待はなぜ起こるのか、性悪説から考える

  • 子どもたちをどう守るか―児童福祉の現場から(1)数字で見る虐待の現状と現場の実情

  • 子ども虐待のない日本を目指して 「オレンジゴスペル全国ツアー2017」 10月27日から全国で開催

  • 刑務所伝道シリーズ(10)元ヤクザから、子育て中のお母さんに伝えたいこと

  • 聖書に基づいた子育てとは? CGNTVなど主催で「家庭回復リバイバルセミナー」開催

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.