Skip to main content
2025年6月14日18時48分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍

ロシアは何を目指すのか? 『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』(2)

2017年1月24日12時04分 記者 : 土門稔
  • ツイート
印刷
関連タグ:ロシアウラジーミル・プーチン
下斗米伸夫著『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』+
下斗米伸夫著『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』(2016年、日本経済新聞出版社)

ソ連崩壊後、よみがえるロシア正教会とロシアの宗教政策

ソビエト連邦は70年以上無神論政策を続け、宗教を弾圧したことはよく知られている。しかし、信仰はなくならなかった。ソ連時代にすら共産党エリートも密かに教会で洗礼を受けており、末期には表に現れるほどになっていた。(1982年、ブレジネフ書記長の葬儀は世界中に中継される中、未亡人が夫に十字を切るのを見て、米政府は驚き、宗教の復活を予感したという)

また1978年、社会主義のポーランドから、ヨハネ・パウロ2世が誕生したことも大きな影響を与えた。さらにイスラム系民族の運動も活発になった。

1991年にソ連が崩壊すると宗教の自由の時代が訪れ、社会の混沌の中、カトリック、プロテスタント各派、欧米の新興宗教、さらに日本の仏教系宗派までが豊富な資金力を背景に宣教に乗り出したという。(日本のオウム真理教もロシアで多くの信徒を獲得していたと報じられ驚いたことを思い出す)

南部を中心に長い歴史を持つイスラム教も、信徒数は統計では300万人から約2千万人までと幅はあるが、激増しており、学校や大学も多数開設されているという。

しかし、その中でもロシア正教会は政治と結びつきながら圧倒的な影響力を取り戻しつつあるという。スターリン時代の1931年に爆破された救世主キリスト寺院は、1994年からモスクワ市長の主導で再建が始まり、大規模な募金運動が行われ、軍事産業銀行が5千万ルーブルの資金を提供したとされる。

また1997年に、宗教を幾つかのカテゴリーに分類する「良心の自由と宗教諸団体法」が成立し、ロシア正教会は「全ロシアの歴史的、精神的、文化的に不可欠な部分」として特別扱いされるようになったという。

この法律では、イスラム教、仏教、ユダヤ教は2番目の「伝統的宗教」に位置付けられ、カトリックやプロテスタント諸派は3番目の「非伝統的宗教」に、それ以外の宗派は4番目のカテゴリーとされた。

さらにロシアの大統領就任式には、ロシア正教会の総主教が最前列に並ぶようになり、軍隊の中でも礼拝が行われるようになり、学校での宗教教育では、ロシア正教に大きな比重が置かれた教科書が製作され、使用されるようになった(ソ連時代の宗教弾圧にはほとんど触れられていない)という。

よみがえった教会は国民の信頼度も高く、2012年の世論調査では、「信頼する制度」として、プーチン大統領(51パーセント)と並び、教会は50パーセントという数字を占め、82パーセントのロシア人が自らを「正教徒」であると答えているという。(ただし、実際に教会に通う回数は月1回以上が約10パーセント程度だと回答されており、果たしてどこまでが正確に“信徒”と言えるのかは議論があるそうだ)

プーチン大統領は2005年に初めて東方正教の聖地アトス山を訪問、その後も2度訪問し、2015年からはロシアを「正教大国」と表現するようになり、宗教的な「垂直」的権威を強調しながら保守主義を強調する側面が強まっているという。

この辺りの分析を踏まえると、2015年に公開されたロシア映画、アンドレイ・ズビャギンツェフの「裁かれるは善人のみ」で、非常に厳しく国家と教会の関係を批判している背景をリアルに感じることができる。

【関連記事】
■ 映画『裁かれるは善人のみ』 圧倒的な自然の中、ヨブ記の怪物に呑み込まれる家族の物語(動画あり)

また、昨年本紙で「ロシアで伝道規制法」が成立したという一連の翻訳記事が報じられた。これらのニュースも、ソ連崩壊後のロシア正教会と、国家との関係性を理解した上で読むと、その背景を少しクリアに理解することができるだろう。

【関連記事】
■ ロシアで伝道規制法成立、旧ソ連時代の恐怖再来か 数千教会が反対の断食祈祷会
■ ロシアのクリスチャン、伝道規制法成立も無視して伝道を継続へ
■ ロシア、伝道規制法で教会指導者を逮捕 説教中に

「ロシアのプロテスタント」古儀式派と現代

また、本書において興味深いのは、ロシア正教の中の「古儀式派」に注目した議論だ。ロシアでは1653年に総主教ニーコンにより儀式改革が行われた。従来のように3本指(古儀式派)で十字架を切るのを2本指に改め、救世主を「Isus」 から「IIsus」に改めるなど教会の儀式改革が行われた。これは、正教とカトリックとの和解を画策する国際的な(当時における“グローバル化”“近代化”)志向だったという。そして伝統的な儀式を守ろうとした「古儀式派」は、1666年の宗教論争に敗れて分離派(ラスコリニキ)として政治的に弾圧されて一部は追放されたという。

しかし、古儀式派はロシアの歴史の中に脈々と生き続け、その数は一説では国民の3分の1(約3千万人)にも達し、ロシアの中の「最大の反対勢力」、正教の中の「プロテスタント」として存在し続けたという。(ドストエフスキーの「ラスコーリニコフ」という名の主人公の物語『罪と罰』は、この200年後を記念した出版物である)

弾圧された分離派は、別個に教会を作り、密かにネットワークを作り上げた。そして商業を営む中で禁欲的な信仰生活を送り「商業資本」を生み出したと主張する研究者もいるという。この辺りはマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を彷彿(ほうふつ)とさせるが、ウェーバー自身もロシアの分離派の潮流を研究していた、というエピソードなどは非常に面白い。

さらにそのネットワークは、1917年の革命に至るまでの重要な勢力となったという。

「『ソビエト』とは元来は『ロシア革命時において社会主義者の働きかけもありながらも主として自然発生的に形成された労働者・農民・兵士の評議会』を意味する」(Wikipediaより)

近年の研究では、その歴史的起源は、教会を持つことが許されなかった古儀式派の潮流が組織したネットワークであったと考えられているという。さらに、共産党政府の中核にも、国家元首カリーニンや、あの外相モロトフ、グロムイコなども古儀式派の潮流の出身であるという。(プーチン大統領もまた、その流れに位置するという研究もあるそうだ)

ソビエト連邦時代、科学的な無神論を標榜(ひょうぼう)され、宗教自体は弾圧されてきた。そして古儀式派についてはほとんど注目も研究もされることがなかったが、近年研究され始めているという。

著者の注目するロシアの「古儀式派」の潮流、系譜の指摘はとてもスリリングだが、実際に、共産党政権の要人や、現代において古儀式派の信仰や人的ネットワークがどの程度の影響を実際に持ち得ているのかは、私自身は判断がつかない。著者は『ロシアとソ連 歴史に消された者たち―古儀式派が変えた超大国の歴史』(河出書房新社、2013)という著作も出版しており、ぜひ読みたいと感じさせられた。

さらに著者は近年のクリミア併合、ウクライナ危機などの地政学的な分析にも踏み込んでいるが、門外漢でそれらのニュースをきちんと追えていない私にはさすがに紹介の力量を越えている。

しかし、ロシアの起源にさかのぼり、歴史、宗教的背景を踏まえた上でロシアが「第三のローマ」という世界観のもとに、宗教をソフトパワーとしながら外交政策を進めているという一連の議論は、非常に興味深かった。

全般を通して私自身知識がないため、書評というよりは要約と紹介にとどまってしまったが(笑)、冒頭に述べたように、本書がロシア革命100周年を迎える今年2017年のロシアと正教と国際外交をより理解するための、格好の「ロシア政治入門」であることは間違いない。ぜひ著者の今後の著作も丹念に追っていきたいと思わされた。

<<前のページへ

下斗米伸夫著『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』(2016年、日本経済新聞出版社)

関連タグ:ロシアウラジーミル・プーチン
  • ツイート

関連記事

  • 「決してシリアを忘れていない」立教大の学生が企画「シリア・モナムール」上映会・講演会(1)

  • 米・露・メキシコ、迫害報告書に「注目すべき新たな国」としてリスト入り

  • ロシアの駐トルコ大使暗殺事件 ロシア正教会や全地総主教が哀悼の意を表明

  • シリア内戦北部で激化 シリア人ジャーナリストに聞く「国際社会のすべきこと」

  • ロシア正教会のイラリオン府主教、教皇フランシスコに謁見 ローマで両教会の聖歌隊コンサートも

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • トラウマからの解放と癒やし 菅野直基

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ワールドミッションレポート(6月11日):キリスト教信仰が最も急速に成長している国々

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(230)聖書と考える「あなたを奪ったその日から」

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.