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ロシアは何を目指すのか? 『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』(1)

2017年1月24日12時03分 記者 : 土門稔
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関連タグ:ロシアウラジーミル・プーチン
下斗米伸夫著『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』+
下斗米伸夫著『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』(2016年、日本経済新聞出版社)

プーチン大統領の訪日、シリア情勢、そして米大統領選への工作などなど、ロシアのニュースを見ない日はない。しかし、断片的なニュースからは、ロシアが果たして何を志向し、どこに向かおうとしているのか、専門家ではない私たちには全く見えてこない。本書は、地政学と宗教から「ロシアとは何か?」「現代ロシアは何を志向しているのか?」などを分析している。著者は法政大学教授の下斗米(しもとまい)伸夫氏。現代ロシア政治に関する著作も多数出版している、この分野の第一人者といえるだろう。

その意味では、宗教改革500周年の年であるとともに1917年のロシア革命100周年の年でもある今年、国際政治、ロシア、東方正教に興味を持つ者への「ロシア政治入門」として読むべき1冊だ。

常々感じるのは、日本においてキリスト教が論じられるとき、ほとんどの場合それは「西方教会」を指している。

私自身、残念ながらロシアの歴史文化や東方正教についてほとんど何も知らないが故に、本書からは新鮮な驚きと発見が多かった。それらを正確に議論する能力はないが、その重要性の一部でもお伝えできたらと思う。

1648年以来のポストウェストファリアの揺らぎ

本書を通して著者には、テロ、難民、英国のEU離脱、ウクライナ危機など、揺れ動く現代の危機の根底には、冷戦を終えてグローバリズムが進展する中、ウェストファリア体制が揺らいでいるのではないか?という視点がある。1648年に30年戦争が終わり、ウェストファリア条約が結ばれ、以後の国際政治は「ウェストファリア体制」といわれる。その最大の意義をインターネット百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」では以下のように説明している。

「中世以来の超領域的な存在としての神聖ローマ帝国の影響力が薄れた。またこれに代わってヨーロッパでは、世俗的な国家がそれぞれの領域に主権を及ぼし統治することとなった。もっとも大事なのは国家における領土権、領土内の法的主権および主権国家による相互内政不可侵の原理が確立され、近代外交および現代国際法の根本原則が確立されたことである」(Wikipediaより)

宗教権力に代わり世俗権力が台頭し、国際関係も脱世俗化、脱宗教化が進んだことが、現代に至る「政教分離」の根底にある。いわば現在の国際法、国際政治もこの延長線上にある。以後、国際関係は「主権国家」によるパワーゲームとなり、その後350年間、帝国主義、共産革命と2度の大戦、東西冷戦の時代を迎えた。社会主義国家では無神論政策が行われ、西側世界でも「世俗化」が進み、「宗教」は置き去りにされたようにみえた。

しかし著者は、冷戦が終焉(しゅうえん)したことで、イデオロギーに代わる政治の基軸として「宗教の役割」が再び復活してきたと指摘する。政治学者ユルゲン・ハーバーマスも「脱世俗化」を論じ、「神は生きていた」と語っている。いうまでもなく、現在中東イスラム世界でそれは起きている。現代世界を覆っている危機をより理解するために、歴史と政治の基盤である宗教を理解し、「文明論」的な分析が必要だとして、ヘンリー・キッシンジャーや、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』を再評価している点は興味深い。

そして国際情勢の点からは、以下の2つのニュースについて特に注目しているようだ。

ウクライナの宗教事情

2014年2月にクリミア半島をめぐり、ロシアとウクライナの間での対立が起きた。いわゆる「ウクライナ危機」では3月にロシアがクリミア半島の併合を決議し、欧米からの批判を受けた。著者はこれが引き金となりEUの亀裂などが玉突きのように起きて国際的な緊張を招いたとし、その最大の理由が宗教であるとする。ウクライナはロシア帝国の一部だったが、東半分はロシア語と正教の世界であり、西側はハプスブルク帝国内でウクライナ語と、ポーランドの影響が大きいカトリック世界だった。

東部の正教会もウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)と、1990年の独立後に独立教会としてできたウクライナ正教会(キエフ総主教系)が存在するが、後者は世界の正教会の中では承認されていない。さらに西部には、16世紀にできた叙任権はローマ教皇が持ちながらも、典礼は正教会式であるユニエイト(ウクライナ東方カトリック教会)が根付いている、という複雑な宗教事情がある。

さらに、スターリン治世下の農業集団化による人口飢饉(ホロモドール)で推定300万人の死者を出し、そのため第2次世界大戦の独ソ戦では、親ナチス・ドイツに立ったという歴史的経緯もある。

宗教的・歴史的な背景からウクライナの民族主義は、宗教を抜きにして考えることは不可能だと、著者は指摘している。

2016年のローマ教皇とロシア正教会総主教の初の会見の意義

2016年2月、キューバでローマ教皇フランシスコとロシア正教会のキリル総主教が初めて会見を行った。(本紙でも昨年以下の関連記事を掲載している)

【関連記事】
■ 教皇とロシア正教会総主教がキューバで歴史的会談
■ 教皇フランシスコとモスクワおよび全ロシアのキリル総主教の共同宣言

カトリックとロシア正教会トップの会談は、1054年に相互破門して分裂して以来初だという。テロ根絶や過激派組織「イスラム国」(IS)によるキリスト教徒への迫害阻止を呼び掛ける共同宣言を出した。

著者はこれを、テロリズムや同性愛など、現代においてキリスト教の根本原理が揺らいでいるという危機意識があり、“第一のローマ”と“第三のローマ”の歴史的な和解であると評価する。

第三のローマとは何か?

20世紀のソビエト連邦の映画監督セルゲイ・エイゼンシュタインの映画「イワン雷帝」に、次のようなセリフがあるという。「二つのローマ(ローマとコンスタンチノープル)は斃(たお)れ、第三のローマは立ち、第四のローマは存在しない」

1453年、オスマントルコのコンスタンティノープル攻略により約2千年の歴史を持つ東ローマ帝国は終焉を迎える。以来、ロシア帝国は、南方のイスラム世界の北上を防ぎ、西方のカトリックやプロテスタントの間で、東方正教の中心と見なされた。

そして自らの存在を定義するものとして「モスクワは第三のローマである」という世界観が使われ出した。プーチン大統領のロシアが、ロシア正教という宗教をソフトパワーとして行使していこうとしていると指摘しており、著者はこれが現代のロシアを理解する鍵だとする。

ロシアの歴史と正教と国家

そもそも「ロシア」は、その歴史の出発点にキリスト教がある。988年にルーシの大公ウラジミールがクリミア半島で正教に受洗し、キエフ・ルーシがキリスト教化した。ルーシとその後継”ロシア国家”は、これが歴史の出発点であるという認識、あるいはそのように信じられているという。

無神論政策を続けたソビエト連邦でも、1988年にゴルバチョフは「受洗千年祭」を祝ったという。これは988年にロシアの前身ルーシが、キリスト教を受け入れたことを記念したという。

また、ローマ教皇という世俗的権力を越えた超越的な宗教的地位が存在した西方教会に対し、東方世界では「ビザンチン・ハーモニー」という言葉が示すように、権力と宗教は相互に関係し、浸透し、利用し合い、”国家が人間を管理し、宗教画魂を担当する”という関係がある。それはウェストファリア体制を原点とする、西欧市民社会の「正教分離」の宗教的伝統とはかなり異なる。(続きはこちら>>)

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下斗米伸夫著『宗教・地政学から読むロシア「第三のローマ」をめざすプーチン』(2016年、日本経済新聞出版社)

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