温故知神—福音は東方世界へ(40)日本に景教を紹介した人物たち・その2 川口一彦

2016年2月18日11時21分 コラムニスト : 川口一彦 印刷
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景教一筋に研究・発表した佐伯好郎景教博士について

佐伯好郎(1871~1965年)は景教博士といわれ、景教研究に生涯を尽くし、多くの書物を著して世に紹介しました。

彼は1871(明治4)年、広島県佐伯郡(現・廿日市市)に生まれ、19歳の時、英国聖公会東京築地教会で洗礼を受けました。幼少期は漢学、青年期に英文学を学びました。やがて中国研究をする中で、景教碑文に接し、1911年に『景教碑文研究』の日本語版と英語版を出版、40歳の時でした。彼は内村鑑三とも交わりがありました。この年、高野山奥の院においてゴードン女史が景教碑の模刻碑を建てました。1941年には東京帝国大学(現・東京大学)より景教研究から文学博士号を受けています。

佐伯博士の主要著書は、『景教碑文研究』(待漏書院、1911年)、『景教の研究』(東方文化学院東京研究所、1935年。復刻版 名著普及会、1978年)です。彼の伝記については『佐伯好郎遺稿並伝』(佐伯好郎伝記刊行会、1970年、復刻版『佐伯好郎遺稿並伝上下』大空社、1996年)があり、多く知ることができます。『景教の研究』は1200ページを超える大著で研究の成果がほぼ網羅しており、高額ですが多くの方が手にしているものと思います。

また、佐伯好郎は「日ユ同祖論」を主張しましたが、単なる政治的な部分から発表したものでした。しかし、日本文化や宗教の中に古代のユダヤ色が入り込んでいるのではないかと研究調査する方々もおられます。佐伯は戦後、晩年に郷里の廿日市町長の職にもありました。

彼の死後に多くの景教遺跡物が発見されていますので継続した研究が必要であり、後進の研究者に期待すると同時に、国際的な共同研究も必要かと考えます。

佐伯好郎と同時代の研究者たち

佐伯好郎は英語と漢語に堪能でありましたので、中国の遺跡発見場所に出向いて調査し、それをさまざまな機関で発表することにより、啓発された人々がさらに研究し発表するようになりました。

同時代に景教の調査と発表に関わった主な方として、石田幹之助(1891~1974年)は『長安の春』(創元社、1941年)を、羽田亨[はねだとおる](1882~1955年)は『西域文明史概論』(弘文堂書房、1941年)を、桑原隲蔵[じつぞう](1871~1931年)は『東洋史説苑』(弘文堂、1927年)、『考史遊記』(弘文堂書房、1942年、岩波文庫、2001年)などを、騎馬民族征服王朝説で知られる江上波夫(1906~2002年)は『モンゴル帝国とキリスト教』(サンパウロ、2000年)、『オロン・スム遺跡調査日記』(江上綏(やすし)編、山川出版社、2005年)などを出版、後進の研究者に多くの影響を与えてきました。

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川口一彦

川口一彦(かわぐち・かずひこ)

1951年、三重県松阪市に生まれる。現在、愛知福音キリスト教会牧師。日本景教研究会代表、国際景教研究会(本部、韓国水原)日本代表。基督教教育学博士。愛知書写書道教育学院院長(21歳で師範取得、同年・中日書道展特選)として書も教えている。書道団体の東海聖句書道会会員、同・以文会監事。各地で景教セミナーや漢字で聖書を解き明かすセミナーを開催。

著書に 『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、2014年)、『仏教からクリスチャンへ』『一から始める筆ペン練習帳』(共にイーグレープ発行)、『漢字と聖書と福音』『景教のたどった道』(韓国語版)ほかがある。最近は聖句書展や拓本展も開催。

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