東日本大震災被災地から学ぶ宣教の在り方とは? 信仰と調査報告会 TCUで開催

2016年2月5日20時44分 記者 : 坂本直子 印刷
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+東日本大震災被災地から学ぶ宣教の在り方とは? 震災と信仰調査報告会 TCUで開催
「震災と信仰調査」プロジェクトでの調査報告をするFCC日本宣教リサーチ専門委員の柴田初男氏。今後の調査では未信者の人のデータを増やしていき、さらに充実させていきたいと話す=1日、東京基督教大学(千葉県印西市)で
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東京基督教大学国際宣教センター(FCC)が主催する「震災と信仰調査報告会~被災地から学ぶ日本宣教のあり方」教会教職特別セミナーが1日、東京基督教大学国際宣教センターチャペル(千葉県印西市)で開催された。講師にFCC日本宣教リサーチ専門委員の柴田初男氏を迎え、東日本大震災によって被災した宮城県内に立ち上がった宮城宣教ネットワークの働きを通して、震災がキリスト教会の宣教の在り方や個人的な信仰面にどのような影響を及ぼしたのかについて調査・分析した結果を報告した。

今回の調査は、FCC日本宣教リサーチが昨年、被災地でなされた支援活動と宣教活動の記録やデータをアーカイブズとして残すことを目的とした「震災と信仰調査」プロジェクトの一環として行われた。調査の対象となった「宮城宣教ネットワーク」は、東日本大震災を受けて、宮城県内のキリスト教会の支援活動と宣教協力の深化のために立ち上げられた超教派のネットワーク。宮城県沿岸地域をA~Eの5ブロックに分け、ブロックごとに活動を行っている。

調査は、インタビューやアンケートを通して行われた。調査によると震災後、どのブロックでも新たに教会や宣教拠点が起こされていることが分かった。特に震災の被害の大きかった石巻市や東松島市にも多くの教会や宣教拠点が起こされている。このことからだけでも、5年前の震災が宣教困難地域といわれてきた東北に与えた影響は決して小さくないと考えられる。

また、多様なミニストリーが展開されていることも分かった。柴田氏はこれらを「伝道タイプ」「地域貢献タイプ」「社会事業タイプ」など6種類に分類している。「伝道タイプ」では、被災した信徒の自宅を開放して礼拝が行われる「家の教会」、今までキリスト教がほとんど入っていなかった石巻や牡鹿半島の漁村地区で、信仰に導かれた方や求道者の家を対象とした「ハウスチャーチ」や開拓伝道的な「カフェ型チャーチ」を取り上げた。特に石巻市や牡鹿半島では、牧師が熱心に支援活動を続けたことで、何十人もの人が信仰に導かれている。柴田氏は「キリスト教とは関係のなかった漁村地域では奇跡的なことではないか」と述べた。

地域貢献タイプとしては、医療支援や学習支援が行われていることを説明した。善き業を通して福音を証しするソーシャルミニストリーを、宣教ではなく「宣証」として活動していることを伝えた。また、「街おこし(活性化)タイプ」として、カナダ人宣教師が、地元商店街の人たちと一緒に失ったものを取り戻すのではなく、今あるものを有効利用して町を活性化させていった事例を紹介した。

また、「社会事業タイプ」としては、女性の自立した生活を助ける「恵プロジェクト」や「のぞみプロジェクト」の働きも紹介した。割れた陶磁器や、着物や帯からリメイク品を作る働きだが、「日本の伝統美を残しながら、新しいものを生み出していくという新たな働きには、地域に根差したコミュニティーを作っていく原動力となるのではないか」と柴田氏は感想を述べた。

東日本大震災被災地から学ぶ宣教の在り方とは? 震災と信仰調査報告会 TCUで開催
セミナーには大学院修士課程の学生を中心に約30人が集まり、被災地での調査報告に耳を傾けた。

続いて昨年6~8月に行ったアンケート調査の結果について報告した。調査対象となったのは、教会教職者、支援活動を行った信徒、震災後に信仰を持った人、まだ信仰を持っていない人たち。アンケートの結果から、震災を通して被災地の人たちがキリスト教に対してこれまでとは違った思いを抱いていることが明らかになった。例えば、震災後、「キリスト教が身近な存在になった」とか、「クリスチャンを好意的に感じるようになった」とかだ。

また、教会関係者にとっても震災が、これまでの教会観や宣教観を変える契機となっていることを報告した。特に、教会は単独でなく相互連結の必要性や、教会の外に出て地域に仕えることで魂の救いが実現することなど、教会や地域に対してこれまでに考えてこなかった気付きが与えられているという。そして、福音がもっと受け入れられるようにするには、「地域に仕える息の長い証しが必要」とか、「地域と共に歩む全人的な宣教が必要」など、震災の経験から、教会が地域の中に入っていくことの重要性をそれぞれが感じていることが明らかになった。

被災地での調査結果を踏まえて柴田氏は、「被災地において復興、支援活動が盛んに行われる中、支援が地域に根差す宣教へと向かっていった。こういった意味でも宮城宣教ネットワークが果たした役割は大きい」と語った。実際に、宮城地域では震災後、データを取った30の教会・宣教拠点だけでも、500人以上の人が受洗者、決心者、求道者として導かれている。このことについて柴田氏は「現地において行われた支援活動や宣教活動がいかに地域の人たちの心を開き、キリスト教に対する見方を変え、信仰に導いていったかを示す一つの表れではないか」と話す。

その上で、日本宣教の在り方を被災地から学ぶならば、キリスト教が日本の宗教として根をおろすためには、伝道一本やりの宣教から包括的な宣教へと教会がパラダイムシフトをしていくことが必要だと語った。そして、地域の精神的・福祉的なニーズや宗教的ニーズに働き掛け、キリスト教を日本人の宗教として文脈化し、地域のコミュニティーを構築していくといった具体的な形を述べた。

柴田氏は、「日本の教会がそれぞれ与えられた賜物を生かし、多様なミニストリーを展開し、それによって地域に仕え、地域と共に生きる教会を目指して地域との関係性を深めていく。その一方で、教団教派を超えて地域宣教ネットワークを築き、各地域で展開していく。こういったことが、今後の日本宣教の発展のためには必要なことではないか」と、今回の調査を通して得たことを伝え、報告を締めくくった。

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