Skip to main content
2022年6月28日11時58分更新
Go to homepage
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
戦後70年

【書評】『被爆マリアの祈り』 漫画で読む3人の被爆証言

2015年10月18日21時03分 記者 : 坂本直子
  • ツイート
印刷
関連タグ:原爆浦上天主堂
『被爆マリアの祈り』 漫画で読む3人の被爆証言+
西岡由香著『被爆マリアの祈り』(長崎文献社、2015年7月20日発行)

長崎の漫画家・西岡由香の最新作『被爆マリアの祈り』が7月、長崎文献社より刊行された。被爆を体験した3人の証言を、漫画という親しみやすいメディアを使って紹介し、「原爆は人間に何をしたのか」ということを浮き彫りにする。そして、「どこの誰の上にも原爆は落とされてはならない」という願いが、3人の証言を通して伝わってくる作品となっている。

70年前の8月9日、長崎市浦上地区の上空に、広島に引き続き投下された原子爆弾。町全体を消滅させるほどの威力を持つ原爆の被害は、戦争が終わっても決して終わらなかったということが、3人の証言から明らかにされる。放射線の被ばくによるさまざまな後障害、偏見との闘い、生き残ったことへの悔恨(かいこん)。3人の証言は、戦後日本が復興し、豊かになったとしても、原爆によって刻み付けられた「傷」は決して消えることがなく、その「傷」を抱えながら生きてきたことを伝える。

本書に登場する証言者は、小峰秀孝さん、深堀リンさん、片岡ツヨさん。冒頭のプロローグで、「ヒバクシャ」という言葉を世界に広めるきっかけとなった1977年のNGO被爆問題国際シンポジウム開催にも尽力した社会学者の石田忠氏(2011年死去)が、1993年に東京・一橋大学で初めて被爆体験を語る講演会を前に緊張する小峰さんに、「私たちに聞かせてください あなたが歩んできた道を 原爆が人間に何をしたのかを――」と語るところから始まる。

同じ日に被爆した3人。本書では、同じ体験をした3人のそれぞれの人生が語られていく。4歳で被爆し、大やけどを負った右足首がケロイドでみにくく変形した小峰さんは、就職もままならず、中学卒業後、理容師見習い、御礼奉公を経て理容師となった。恋愛結婚をしたものの、原爆の影におびえた妻との溝が深まり、平凡といえる幸せを阻まれてしまった。小林さんは「私の人生は原爆とのたたかいでした」という。しかし、母親の深い愛は、小林さんを原爆の闇へと陥れなかった。小林さんは「人間は原爆より強い、大切な人を守りたいという気持ちがあるかぎり原爆をなくせる」と断言する。

また、被爆後に救護班として地域の惨状に向かい合い、大切な人を目の前で次々に失ってきた深堀リンさんは、「生きぬくことが原爆に立ち向かうことだった」と話す。深堀さんの証言では、原爆で破壊された浦上天主堂についても触れられている。本書のコラムには、浦上の上でさく裂した原爆によって浦上天主堂は倒壊、信徒約1万2千人のうち約8500人が爆死したといわれています、とある。深堀さんの証言の中にも、浦上の信徒たちと思える人たちが、石像のようにひざまずいて死んでいる姿が出てくる。本書の表題となっている「被爆マリア像」も、浦上天主堂で被爆したものだ。顔は痛ましくやけ、二つの瞳が黒い空洞となって、今は浦上天主堂の一角にある「被爆マリア小聖堂」に置かれている。

著者は、この「被爆マリア像」と3人目の証言者、片岡ツヨさんを重ねる。当時24歳だった片岡さんは、浦上天主堂のマリア像の前で結婚式を挙げることを夢見るカトリック信徒だった。だが、原爆の爆風は火のムチとなって片岡さんの顔を直撃。おしゃれも、結婚の夢も一瞬に砕け散った瞬間だった。それでも大らかな母の愛に支えられて生きていくことができたが、母の死後、寂しさに打ちひしがれている時、長崎を訪問したローマ教皇の「戦争は人間のしわざです」と言うのを聞き、大きな感銘を受けた。「こんな私でも平和の道具になれるやろか」という思いで、原爆記録映画『にんげんをかえせ』に出演する。

片岡さんが、ローマ教皇に招かれバチカンで教皇と謁見するシーンは圧巻。「原爆で体も人生もキズものにされたばってん・・・今は本当に 生かされたことに感謝しとるとよ」と著者に語る片岡さんの気持ちがここに表れている。片岡さんは、昨年12月に亡くなり、著者は、片岡さんが、今にも壊れそうなガラスのような体で生きてきたことを思い、「聖母とは遠くからほほえみかける人じゃなくて 人のおかした罪にもだえ苦しむ人をいうのかもしれない・・・」と、「被爆マリア像」を前にして片岡さんへ思いを馳せる。

やさしいタッチの絵でありながら、被爆者が、私たちに自分の傷ついた体と心をさらけ出して、未来の人類の平和のために語り続けているのだということが、ひしひしと伝わってくるこの作品。戦後70年の今年、誰が戦争を起こしたのか、どうすれば戦争をやめることができるのかを考える上での、最良な一冊となるだろう。

『被爆マリアの祈り』:西岡由香著、長崎文献社、2015年7月20日発行、定価1200円(税別)

関連タグ:原爆浦上天主堂
  • ツイート
▼関連記事を見る  ▼クリスチャントゥデイからのお願い

関連記事

  • 被爆70年の長崎でささげられた祈り キリスト者共同平和アピール発表

  • 長崎に原爆投下した機長、教皇に被爆地支援要請していたこと明らかに

  • 広島・長崎の被爆70年に思う 環境ジャーナリスト・川名英之

  • 戦争経験者に聞く戦後70年(4):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん

  • 原爆投下時刻に合わせ浦上天主堂で追悼ミサ、被爆経験者の神父語る「信仰は生、戦争は死の賛美」

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 米連邦最高裁「ロー対ウェイド」判決覆す、中絶の是非は各州の判断へ

  • バチカン銀行、21年の純利益は26億円 過去2年に比べ半減

  • 沖縄復帰50年 NCC、カトリック正平協が「沖縄慰霊の日」に声明、談話

  • 神様のご計画の中を歩んでいるか 加治太郎

  • 癒やしの信仰を拡大させよう 万代栄嗣

  • 米南部バプテスト連盟、新議長にバート・バーバー牧師 1期で議長交代は数十年ぶり

  • 世界宣教祈祷課題(6月28日):ポルトガル

  • 篠原元のミニコラム・聖書をもっと!深く!!(76)聖書と考える「タクシー運転手さん一番うまい店に連れてって!」

  • 壊れやすい土の器に宝が! 菅野直基

  • 福音は力である?(その3・最終回)

  • 米連邦最高裁「ロー対ウェイド」判決覆す、中絶の是非は各州の判断へ

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 神様のご計画の中を歩んでいるか 加治太郎

  • 癒やしの信仰を拡大させよう 万代栄嗣

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(3)子ども8人のビッグダディ

  • スマホが動くのも量子力学のおかげ? 東工大名誉教授を講師にサイエンスカフェ

  • 沖縄復帰50年 NCC、カトリック正平協が「沖縄慰霊の日」に声明、談話

  • ルカ福音書を読む(11)「してほしいことを人にもしなさい」―新約聖書の黄金律― 臼田宣弘

  • ハンガーゼロ、西南学院大が包括連携協定締結

  • バチカン銀行、21年の純利益は26億円 過去2年に比べ半減

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 必要なのは「キリストの基礎知識」 国分寺の教会が無料のオンライン聖書講座

  • 4K映像で再び劇場に!「ショーシャンクの空に」 キリスト教的世界観をベースに描き出された希望の寓話

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(3)子ども8人のビッグダディ

  • 【ペンテコステメッセージ】衰退し続ける教会の起死回生の決定打としての聖霊 手束正昭

  • ロシア正教会モスクワ総主教庁、渉外局長のイラリオン府主教を解任

  • ラムゼイ・ハント症候群告白のジャスティン・ビーバー「イエス様が僕と共にいてくれる」

  • トルコで巨大な地下都市跡発見、最大7万人居住 迫害下の初期キリスト教徒らが建設か

  • ニューヨーク便り(6)米国の大学で学びながら考えた「日本でクリスチャンが少ない理由」

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(2)教会は地方創生の鍵

編集部のお勧め

  • 【対談企画】参議院全国比例区立候補予定者・金子道仁牧師ってどんな人?(1)日本のチャーチスクールを救いたい

  • 被害者が加害者になる連鎖を断ち切るには? 「記憶の癒やし」のラプスレー司祭が講演

  • 必要なのは「キリストの基礎知識」 国分寺の教会が無料のオンライン聖書講座

  • 教会でウクライナ支援コンサート、現地で難民支援するハンガーゼロのスタッフが報告

  • ひとり子を十字架につけられる程の愛 小坂忠

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 論説委員・編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2022 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.