Skip to main content
2025年10月17日10時23分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 社会
戦争経験者に聞く戦後70年戦後70年

戦争経験者に聞く戦後70年(4):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん

2015年8月7日16時47分
  • ツイート
印刷
関連タグ:原爆
戦争経験者に聞く戦後70年(4):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん+
市原憲二郎さん(79)。手術は今までに5回。今年に入って3回の入退院を繰り返している。

カトリック信者で教育熱心だった母、無神論者ではあったが教会に行くことやミッションスクールに通わせることに反対しなかった父。そんな両親の元で育った市原憲二郎さん(79)。日本では陸軍の青年将校が政府要人を暗殺したクーデター「2・26事件」、世界ではヒットラーがオーストリアと協定を結ぶなど、戦争のにおいが漂い始めていた1936年、市原家の次男として長崎で生を受けた。

「子どもたちには教育を!」と、女学校を卒業していた明治生まれの母は、市原さんたちに惜しみなく教育を受けさせた。「召天する直前、私が母と最後に交わした言葉は、『憲ちゃん、しっかり勉強しなさいよ』でした」というほどの教育熱心ぶりだった。それとともに、日曜日には必ず子どもたちを教会へ連れて行った。市原一家と親交の深かった外国人宣教師たちは、市原さんにとって「先生」でもあり、「遊び相手」でもあった。「宣教師の家にある螺旋(らせん)階段で遊ぶのが楽しくてね。私は、先生の家に行くのが大好きでした」と当時のことを楽しげに語る。

1941年に太平洋戦争が勃発すると、市原さんの生活も徐々に変化していった。長崎市内でも空襲が何度もあった。そのたびに防空壕(ごう)に入り、空襲が収まるのを待った。戦況が悪化し、終戦が近くなった頃、外国人宣教師たちは皆、祖国へ帰っていった。「あの階段でもう遊べないのか・・・、あの先生にもう会えないのか・・・、と寂しかったのを今でも覚えています」と話す。

戦争経験者に聞く戦後70年(5):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん
被爆60年記念誌の編集会議の様子。右下から3人目が市原さん。

1945年8月9日、市原さんが9歳になったばかりの夏。セミの声が鳴り響く暑い夏の日だった。その日、兄は学徒動員で軍需工場に既に出勤していた。父も仕事場に向かい家を後にしていた。自宅にいたのは、祖母、母、姉、幼い妹2人、そして市原さんだけだった。

突然、強い光が辺り一面を包んだ。強烈な光に驚き、市原さんは母に抱かれて机の下に潜り込んだ。爆風で直下型地震と思えるほどに家は大きく揺れた。今まで聞こえていたセミの声もなくなった。世の中のすべての生物が死に絶えたかと思うほどの静寂だった。爆心地からわずか3・8キロの自宅で被爆した瞬間だった。家の中にいた家族はとりあえず無事だった。父親もほどなくして帰宅。家族の無事に安堵(あんど)したが、爆心地から1・8キロほどの距離の軍需工場に行っていた兄が帰ってこない。その日の夕方、市原さんは父と兄を捜しに向かった。

道すがら、「水をください」と言いながら、丸焦げになった人を何人も見た。言葉では言い尽くせないような惨状を「これでもか」というほど見せつけられた。爆心地から約2キロの所までたどり着いたが、父親は突然「引き返そう」と告げた。「あまりにも悲惨な光景を、幼い9歳の少年に見せるべきじゃないと思ったのでしょう」と市原さんは言う。

戦争経験者に聞く戦後70年(5):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん
千葉県健康友の会連合会の定期総会で話す市原さん

翌日になって、兄は下着一枚という姿で家に帰ってきた。市原さんは、「兄は傷ついた同級生を助けだし、飛び出していた内臓を手づかみで腹に収め、自分の服でグルグルに巻いて、郊外の農家まで運び、助けを依頼して帰ってきたのです」と力なく話した。

その時のトラウマからか、現在に至るまで当時のことを多く語らない市原さんの兄。「70年もたっているのに、あの日のことを思い出すのは苦しいのでしょうね。よく皆さん、『ノーモア・ナガサキ』と非核団体の方などが言うでしょう。あれを私たち被爆者風に訳させてもらうなら、『もう、まっぴらごめん!』という意味なんですよ」と市原さんは話す。

戦争経験者に聞く戦後70年(5):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん
原水爆禁止日本協議会の「国民平和大行進」出発式で

原爆が投下された1年半後、それまで元気だった母が急死。内部被ばくによる病に倒れたのだった。その後、市原さんも数々の病に襲われた。甲状腺悪性リンパ腫、胃ガン、肺結核、結核しんなど、体には5回ほどメスを入れた。母の遺言通り、勉学にいそしんだが、病がそれを阻んだ。高校生の時、「生きることの答えはすべて聖書にある」と思い、プロテスタントの教会で受洗。大学時代には学生運動にも参加した。ブルーの旗に十字架を刻み、クリスチャンの学生運動にも参加した。

やがて結婚したが、被爆による後遺症で子どもを授かることはなかった。「これは本当に悔しいというか、妻に何てお詫びしたらよいか分からなかった。私は被爆者なので、もともと妻の親戚からは猛反対されていた結婚だったのです。原爆は、被爆者の体を苦しめ、精神的にも苦しめたのです」と市原さん。

戦争経験者に聞く戦後70年(5):「汝の敵を愛せ」 長崎で被爆した市原憲二郎さん
福島第1原発事故後に街頭で脱原発を訴える市原さん

定年後、被爆者の苦しみを伝えようと「語り部」として、千葉県被爆者の会「友愛会」に入会。米国でも教会を中心に10回以上講演を行った。ワシントンで行った講演会では、市原さんの話が終わると、何百人もの聴衆が一斉に立ち上がり、市原さんに謝罪した。「この光景は今でも忘れることができません。涙がこぼれました。しかし、私は彼らに話したのです。私は、あなた方を恨んではいない。当時の米国政府を憎んだことはあったかもしれない。でも、報復に終わりはない。あなた方だって、パールハーバーの奇襲攻撃を聞いて日本を恨んだでしょう。お互いさまです。本物の愛とは、『赦(ゆる)す』こと。イエス様の愛、そのものなのです。母から学んだ聖書の教えは、『汝(なんじ)の敵を愛せ』でした。あなたがたは敵ではない、私の兄弟姉妹なのだから、なおさら愛さなければならないのです」と当時を振り返った。

「今の日本を見ていると、何のためにわしらが70年間、『戦争は二度と繰り返さんでくれ!』と叫んできたか分からなくなる。わしらだけであんな思いをするのは十分だ」と、枯れそうな声で力強く話した。

戦後70年の夏、もう一度原点に立ち返って、「先人たちの声」に真摯(しんし)に耳を傾けたい。

<<前回へ     次回へ>>

■ 戦争経験者に聞く戦後70年:(1)(2)(3)(4)(5)

関連タグ:原爆
  • ツイート

関連記事

  • 戦後70年の広島から(1):国家とキリスト教・被爆証言の継承・平和の行進と祈り 70回目の8月6日前に広島にキリスト者集う

  • 「もう一つの戦後70年」 広島で被爆死した米兵ジョン・ロング・ジュニアさん

  • 広島・長崎の被爆70年に思う 環境ジャーナリスト・川名英之

  • 原爆について教皇「人類史上、最も恐ろしい惨事」

  • 「死の同心円」から「平和の同心円」へ 8月9日に被爆70年長崎原爆記念礼拝

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • キリストの心と思いが与えられている恵み(5)妥協せず、信仰を働かせる 加治太郎

  • 「アジア太平洋伝道会議」2027年に開催決定 50カ国・地域から2500人が参加へ

  • 花嫁(35)古い人を脱ぎ捨てて 星野ひかり

  • シリア語の世界(34)ウルファ(トルコ南東部)の洪水について(1) 川口一彦

  • イスラエルとハマスが和平合意、生存人質20人全員解放 キリスト教界から歓迎の声

  • 栄光への脱出の道 穂森幸一

  • ビリー・グラハム伝道協会とサマリタンズ・パース、福音主義財務責任協議会を脱退

  • グラミー賞受賞のクリスチャンソングライター、飛行機事故で死亡

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

  • グラミー賞受賞のクリスチャンソングライター、飛行機事故で死亡

  • ビリー・グラハム伝道協会とサマリタンズ・パース、福音主義財務責任協議会を脱退

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • 中国当局、政府非公認教会の著名牧師ら約30人を拘束 米国務長官が非難声明

  • イスラエルとハマスが和平合意、生存人質20人全員解放 キリスト教界から歓迎の声

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 加速する聖書翻訳、3日に1つのペースで新しい言語訳の聖書が誕生

  • 「日本イスラエル・クリスチャン交流会」が発足、世界62カ国に広がる議員ネットワーク

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • チャーリー・カーク氏の妻、殺害者を赦す 「キリストはそうしたし、夫もそうする」

  • 米メガチャーチ牧師、当時12歳の少女に性的虐待 罪認め6カ月収監へ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 「ジーザス・ムーブメント」指導者チャック・スミス氏のディボーションブック邦訳出版

  • 日本キリスト教病院協会第5回総会 人材確保や人材育成などを討議

  • 英国国教会トップのカンタベリー大主教に初の女性、ムラリー主教の任命を国王が承認

  • 「ザ・チョーズン」がギネス記録、イエス・キリストの生涯描いた長編連続ドラマ

  • イラク人難民のキリスト教徒、フランスでライブ配信中に殺害される

  • 中国東部で教会活動に対する大規模取り締まり、キリスト教徒70人以上拘束

  • やなせたかしさんの妻・小松暢さんはクリスチャン、朝ドラ「あんぱん」きっかけに判明

編集部のおすすめ

  • 「神の言葉を全ての人に」 日本の聖書普及事業150年で記念式典・レセプション

  • 教団・教派超えて神の平和求める 戦後80年で「日本国際朝餐祈祷会」初開催

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.