日本における難民の現状をもっと知ろう 難キ連がチャリティーコンサート

2015年5月28日10時26分 記者 : 坂本直子 印刷
+日本における難民の現状をもっと知ろう 難キ連がチャリティーコンサート
難民認定が下りないまま日本で暮らす人々の話に聞き入る参加者=23日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で

難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)は23日、「喜びと平和につながる働きを」をテーマにしたチャリティーコンサートを、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で行った。難キ連は、難民・移住労働問題に取り組むキリスト者のネットワーク。チャリティーコンサートは、日本における難民の現状を多くの人に知ってもらうことを目的に開かれ、今回で10回目。用意された170席はほぼ満席となり、難民問題に深い関心を寄せるチェロ奏者のベアンテ・ボーマン氏夫妻が出演した。

コンサート冒頭にあいさつに立った難キ連運営委員長の渡辺英俊氏は、昨年、日本では約5000人が難民申請したのに対し、難民と認定されたのは11人だけだったことに触れ、その原因として政府の難民受け入れについての制度設計の誤り、申請者に難民認定の立証責任を負わせていることなどを挙げた。海外では昨年、韓国では94人、ドイツでは約1100人、フランスでは約9000人、英国では約9500人、米国では約2万1000人を難民として受け入れており、日本の難民受け入れの少なさが浮き上がる。渡辺氏は、日本政府がこの数の少なさをもっと恥ずかしく思うべきだと強調し、「人道オリンピックがあれば金メダルを取れるように日本のレベルを上げてほしい」と話した。

日本における難民の現状をもっと知ろう 難キ連がチャリティーコンサート
難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)運営委員長の渡辺英俊氏。横浜・寿地区にある「カラバオの会」の代表でもあり、長年にわたり難民や外国人労働者のために活動を続けている。

この日のコンサートでは、元東京交響楽団首席チェリストのベアンテ・ボーマン氏が、ルリ子夫人のピアノ伴奏で、バッハ作曲のものをはじめとするチェロの名曲を披露した。宣教師で神学校教師でもあるベアンテ氏は、バッハが楽譜に「神の栄光のため」といつも書き記していたことを紹介し、この日のコンサートもそのような気持ちで臨みたいと話した。また、コンサート中には、日本に助けを求めるてくる難民にとって、日本が平和な場所となり、少しでも安らぎと喜びを得ることができるように、と祈った。

内戦のため、祖国スペインからフランスへ亡命したチェロ奏者で作曲家のパブロ・カザルスの「鳥の歌」も演奏。カザルスがこの曲をニューヨークの国連本部で演奏したとき、「私の故郷のカタルーニャの鳥は、ピース(平和)、ピース(平和)と鳴くのです」と語ったエピソードを紹介し、本当の平和が実現すれば難民問題も解決できると語った。また、戦争は人々の欲望が引き起こすものであり、欲望は聖霊による力がなければ打ち勝つことはできないと言い、カーミュ・サン=サーンスの「白鳥」を演奏した。

ルリ子夫人は、「チャリティー」という言葉の語源はもともと聖書にあると説明。コリントの信徒への手紙一13章でさまざまな形でつづられている「愛」は、まさにチャリティーだと言い、コンサート最後には参加者と共に「アメイジング・グレイス」を賛美した。

日本における難民の現状をもっと知ろう 難キ連がチャリティーコンサート
演奏するベアンテ・ボーマン氏(中央)とルリ子夫人

ロビーでは、人道支援を行う諸団体のミニバザーも行われた。バザー出展団体の一つであるNPO法人PEACEは、ミャンマーの少数民族を支援する団体。活動を手伝う難民認定申請中のミャンマー人女性は、9年前に日本に逃れてきたという。今はアルバイトで生活をしているが、難民認定されれば生活も安定すると言い、将来はミャンマーの人たちを助けたいと話す。

途上国の子どもたちを支援する「カトリック3Ms支援の会」は世界の雑貨を販売し、難民不認定を受け現在裁判中のコンゴ人男性マッサンバさんを支える「コンゴ難民マッサンバさん支援の会」は、手作りの品々を展示、販売した。それぞれの収益は全て難民や途上国の子どもたちへの支援活動に用いられるという。

チャリティーコンサートに参加した30代の男性は、ベアンテ氏の演奏を聴くのはこれで2回目だが、胸に染みる演奏だったと感想を述べた。また難民問題については、「他の先進国に比べ、日本の受け入れ制度がかなり遅れていることを知り、心苦しく思った」と語った。

日本における難民の現状をもっと知ろう 難キ連がチャリティーコンサート
ロビーで行われたミニバザーの様子。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の協力により世界の難民の写真も展示された。

難キ連事務局長の佐藤直子さんは、「まず、難民について知ってもらい、関心を持ってもらいたい」と話す。難民申請者は、難民不認定の段階でほとんどが超過滞在者(不法滞在者) となってしまうため、退去強制令により入国管理局の収容施設(施錠部屋)に収容されてしまう。意義申し立てをしても、却下されればそれと同時に収容されることになるという。また、たとえ仮放免されても、入国管理局は在留資格のないまま日本で暮らす人たち(非正規滞在者)をいつでも収容できるという姿勢を崩さないという。

この日参加した別のミャンマー人女性も、成田空港で難民申請不受理となり、そのまま収容施設に収容され、現在は仮放免中だという。佐藤氏は、「非正規滞在者になってから難民申請した人々の救済が私たちの急務です」と話す。難キ連では、収容施設への定期的な面会活動も行っており、収容者のために支援と祈りを呼び掛けている。

難民家族、外国人労働者への支援についての詳細・問い合わせは、佐藤さん(携帯:090・6012・8252、メール:nankirensato@jcom.home.ne.jp、難キ連ホームページ)まで。

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