Skip to main content
2025年6月15日20時35分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. インタビュー
安倍政権・日本国憲法・キリスト教

【インタビュー】クリスチャン政治学者・千葉眞ICU特任教授(8):殺人と戦争の二重道徳、キリスト者の役割

2015年4月15日12時08分 インタビュアー : 行本尚史
  • ツイート
印刷
関連タグ:千葉眞国際基督教大学(ICU)内村鑑三

千葉氏:それともう一つ、最後ですが、(千葉氏の論文である)「キリスト教における平和のスピリチュアリティ」(が入った)本が出ます(既刊『講座スピリチュアル学第3巻 スピリチュアリティと平和』)。また内村に戻ってしまいますが、日露戦争のときに彼は非戦論に変わるのです。日清戦争のときは義戦論だったので、彼も「塵灰(じんかい)に悔い改める」と言って、すごく反省していますが、非戦論に変わって、そのときに彼が言った言葉です。

(内村は)日清戦争の際には文明の論理を根拠に、その戦争を『義戦』として擁護した。しかし、実際の戦争の推移を見て、それが『欲戦』であり『略奪戦』であることを知り、深い反省と悔悟を表明した。そして日露戦争の際に内村は次のように述べて、非戦論の立場へと転向した。「余は日露非開戦論者であるばかりでない。戦争絶対廃止論者である。戦争は人を殺すことである。爾(しこ)うして人を殺すことは大罪悪である。爾うして大罪悪を犯して個人も国家も永久に利益を収め得ようはずはない」

こう考えて変わったのです。その中で内村も言及し、それから南原繁なんかも言及しますが、戦争絶対廃止論にこれはつながるわけです。そしてその理由として、「殺人の禁止」ということを言うわけです。「現代」は――内村の時代の「現代」というのは19世紀後半から20世紀の初めで、われわれの「現代」はそれから100年たつのですが――まだ「二重道徳」があるわけです。殺人に関する二重道徳の批判をやっている。「平常時の道徳において殺人は厳罰に処せられるべき行為である。しかし、他方、戦時の道徳では敵兵の殺戮(さつりく)が許容されるだけでなく、推奨されるという現実がある」。この現実とこの前提は、今日の国際関係論や国際政治学の主流であるリアリズムにとって今なお当たり前のことなのです。これは当然だと。しかも、リベラリズムのいくつかの立場も、この立場をやはり踏襲しているわけです。戦争を肯定しています。自衛戦争とか。

しかし、ある意味でこの二重道徳に対する違和感というものが、やはり特にキリスト者の中でずっと受け継がれてきたと思うのです。昔はメノナイトの人たちもそうだったし、クウェーカーの人たちは良心的兵役拒否ということを政府に認めさせました。「戦場で殺せない。殺人は罪だと思うので、私は戦争に行かない。その代わり他のサービスを社会にさせてくれないか」と言って、平和的な労役をたくさんやることによって、兵役を逃れるわけです。だから、キリスト教思想の平和主義陣営というのは、いつもこの二重道徳を批判してきたというふうに思うのです。

そして、私は(昨年の)7月1日に集団的自衛権(の行使容認)が閣議決定されたというときに、朝日新聞を読んでいたら、「声」の欄に、小学校の高学年ぐらいの子どもを持つお母さんの投書がありました。テレビでいろいろ集団的自衛権の話が出ていて、お父さんとお母さんが「いやだよね」とか「困ったね」とかいろいろ話していると、小学校の少年が「それ、どういうこと?」というのでいろいろ説明してあげたら、非常に悲しい顔をしたと。「僕は戦場に行って敵兵が僕を撃とうとしたら、撃たれて死んだ方がいいというふうに思うかもしれない。だから将来、日本が戦争になったら、戦争に取られたら、自分は死ぬしかないと思って非常に悲しい」ということを言ったらしいのです。だから、戦場であっても平時であっても、人を殺すということは、日本人の普通の良識というか、常識から言えば「それはできない」と。

右翼の人は大概言うわけです。「日本の若者は軟弱になった」と。「戦争に行こうという奴はいないよ」と、小林よしのりさんも漫画で描いていましたけれど。「みんなへっぴり腰になって戦う気をみんな失った」とか、そういうことは石原(慎太郎)元都知事も言っていましたが。「今の若者は何考えてんだ」とか。

しかし、私は逆に、これは戦後70年の日本の平和文化が生み出した良識であり、果実であると思うのです。これは世界に対して日本は誇るべきことで、「こんな野蛮な戦争に行って敵を撃つなんて私にはできませんよ」という感覚が、世界の良識になってほしいと。こういう日本人の、特に若い世代の共通感覚になりつつある、そういう二重道徳に対する反感が、結局戦争の違法化・戦争廃止への突破口になるポテンシャルを持っているのではないか。安倍さんがしゃかりきになって、「戦争に参加するぞ!」と言ったとしても、誰も行かなければいいわけで、自衛隊に入って災害救助はやるけれど戦争には行かないという人が出てきてもいいわけで、いろんなところから社会で揺さぶりをかけて、集団的自衛権(の行使容認)が閣議決定され、いろんな安保法制ができたとしても、そういうような世論と共通感覚を日本人たちが持っていれば、まだ希望はあるのかなと思うのです。

それも、特にクリスチャンがここにおいて大きな役割を果たし得るのではないかと思うのです。十戒の中で「汝、殺すなかれ」と言われていますし、新約聖書の中でそれは徹底されているので。

――今日はどうもありがとうございました。

千葉眞(ちば・しん):1949年、宮城県出身。1972年、早稲田大学政治経済学部卒業。1983年、プリンストン神学大学 Ph.D.(政治倫理学)。西欧政治思想史・政治理論専攻。国際基督教大学教養学部教授を経て2015年4月より同学部特任教授。内村鑑三研究会編による雑誌『内村鑑三研究』(教文館刊)編集委員。主な著書に『ラディカル・デモクラシーの地平』(新評論、1995年)、『アーレントと現代』(岩波書店、1996年)、『デモクラシー』(同、2000年)、『政治と倫理のあいだ』(共編著、昭和堂、2001年)、『平和運動と平和主義の現在』(共編著、風行社、2008年)、『「未完の革命」としての平和憲法』(岩波書店、2009年)、『Building New Pathways to Peace』 (Co-ed., University of Washington Press, 2011)、『連邦主義とコスモポリタニズム―思想・運動・制度構想―』(風行社、2014年)。

◼︎ 千葉眞ICU特任教授インタビュー:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)

関連タグ:千葉眞国際基督教大学(ICU)内村鑑三
  • ツイート

関連記事

  • クリスチャン憲法学者・深瀬忠一氏、安倍政権の「積極的平和主義」は「破滅的軍拡主義」に 時代は「国家の安全保障」から「人間の安全保障」へ(1)

  • クリスチャン憲法学者・稲正樹氏、「いま起こっていることを正確に認識して、それを押しとどめる行動を」(1)

  • WCC総幹事、安倍首相に書簡 憲法9条に関する見解伝える

  • 8・15 クリスチャン憲法学者・稲正樹教授が講演「憲法9条で真の平和を実現しよう」 戦争する国づくりに抗議

  • 教派超え平和憲法の危機考える 松浦悟郎司教迎え大阪の4教会が合同研修会

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.