クリスチャン憲法学者・深瀬忠一氏、安倍政権の「積極的平和主義」は「破滅的軍拡主義」に 時代は「国家の安全保障」から「人間の安全保障」へ(1)

2014年5月30日18時39分 インタビュアー : 行本尚史 印刷
+クリスチャン憲法学者・深瀬忠一氏、安倍政権の「積極的平和主義」は「破滅的軍拡主義」に 時代は「国家の安全保障」から「人間の安全保障」へ(1)
札幌市内の喫茶店でインタビューに応える深瀬忠一・北海道大学名誉教授

「安倍政権と日本国憲法、そしてキリスト教」というテーマで、クリスチャンで憲法学者の深瀬忠一・北海道大学名誉教授(86)にお話をうかがった。札幌市内で行ったこのインタビューで、深瀬氏は自身のこれまでの半生、信仰や思想、学問、教育、そして実践としての自衛隊に関する憲法訴訟との関わりを振り返った上で、安倍政権の「積極的平和主義」は結局は「破滅的軍拡主義と呼ぶべきだ」と強く批判した。そして、「今や世界の趨(すう)勢は国家の安全保障から人間の安全保障へ」と移ってきていると指摘し、「平和的生存権を侵すことは許されない。平和憲法がコモンセンスになると信じて努めている」と語った。インタビューでの深瀬氏による発言の主な内容は次の通り。

■ 軍国少年時代、聖書との出会い

私の出身は高知でありまして、不思議なことに自由民権運動とはつながりがあるんですね。終戦までは私の親父が軍人の任地で朝鮮北部におり、私が11歳か12歳でありました。軍国主義の時代でしたから、東京陸軍幼年学校に入ろうということで、受験をいたしました。十数名が受けておりましたが、私一人が通って、東京で陸軍士官学校まで教育されました。徹底した軍人教育を受け、したがって軍国少年で、軍国主義を信じきっておりました。

それが敗戦になり、陸軍士官学校をやめることになり、ちょうど最古兵で少尉になる直前でしたけれど、もう軍人職業はやめ、高知に復員いたしました。当時の大・中小都市はみんな焼き払われており、高知も焼け野原になっていました。高知にはスコットランドの兵隊が占領してきました。バグパイプの兵隊が焼け野原を行進してきました。占領されていったいどうなるんだろうか、もう軍事的には全くダメ。それから精神的にも行方はわかりませんで、たまたまYMCAの組織がいろいろあって、そのYMCAの将校に目をつけられ、いろいろとキリスト教を教えてもらいました。

高知でキリスト教に接して、その時に最初に出会ったのが聖書であります。もう一冊の本は『フランス革命論』という、カーライルの本だったんですね。エドマンド・バークの『フランス革命の省察』という本がありますが、バークの本を読んでいたら私の考えも違っていたかと思いますが、カーライルの革命を擁護する本を読んだために、フランス革命を勉強すれば、これは日本の行くべき道がわかるかもしれないと思った。わからなくなった神様と、それからの日本の行方ということを思って戦後出発した人間であります。当時18歳だったと思いますが、もしあと敗戦が3カ月遅れていたら、関東平野の戦場で米軍上陸の真っ先に立たされ死んでいたと思いますが、東富士演習場で演習をやっておりました。

それで、高知に復員した時に、中沢洽樹という旧約聖書学者の家庭集会でバイブル(聖書)に接し、英語の勉強を始めました。当時英語なんて全然知りませんでした。幼年学校では3年間ロシア語しか教えていなかったのですが、フランス革命を勉強するためにフランス語を知らなくちゃいかんということで、勉強を徹底的にやり直そうと考えた私は、受験勉強も英語を勉強して、当時フランス語を教えていると聞いていた旧制一高を受験しました。受験勉強として一番厳しかったけれども、うまく入りまして、一高、それから東大と、中央集権官僚制の勉強をしたのが、戦後の勉強の徹底的なやり直しでした。というのは、戦前の勉強が徹底的な軍人教育だったから、あの軍人教育を根本的に考え直すには、やっぱり本当の神様がいるのか、どなたであるのか、それからどういう道を行けばいいのかということを手探りするつもりで一高に入ったわけです。

そこで、幸いにしていい先生がいっぱいいて、川口篤というフランス語の先生から私は一番影響を受けたんですけど、その間に世界の名著と言われる名著を、夜寝るのも忘れて読んだのを憶えておりますが、世界的な視野を得ることと、今まであまりに狭い勉強しかしていなかったという反省をした。それから神様がいらっしゃるのかという勉強に、渋谷の近くに日本基督教団美竹教会という教会がありまして、美竹教会の浅野順一という旧約聖書学者の大先生に目をつけられて、毎朝、旧約聖書に基づくキリスト教を教えていただいた。それが美竹教会で洗礼を受けることになり、それがクリスチャンになった私の出発であります。

その後もう50年以上になりますけども、キリスト教信仰に導かれて今日まで生きてきた、そのことに信仰と夢があるということは全く変わりはございません。基本的に変わりはございませんが、50年というこの大変な変革の戦後世代の過渡期を戦争と平和を考えながら、従って軍事大国の破滅を実感し、かつ「天皇は神である」という、神権で天皇が統治をしているという信仰がまちがいであるということに気が付いたのであります。

したがって、現御神(あきつみかみ)の天皇は神様ではなく人間であるということがはっきりしたし、また、世界の情勢は国際協調に向かいつつあることがわかった。私は高知で中沢洽樹先生の影響もあって、札幌のキリスト教の精神、とりわけ内村鑑三の非戦・軍備撤廃主義の影響を非常に強く受けまして、今日でもその基本に変わりありません。そして同時に、世界の趨勢は国際連合を中心とした国際協調主義の方向に進むべきであるということを、一高で、さらに東大においても、学んだ次第であります。(続く

■ クリスチャン憲法学者・深瀬忠一氏インタビュー:(1)(2)(3)

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