Skip to main content
2025年7月12日10時33分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 教会
東日本大震災(3・11)

【3.11特集】震災3年目の祈り(最終回):被災した教会が「青空礼拝」~心労、うつ病、牧師が再起する時

2014年5月15日16時52分 記者 : 佐藤憲一
  • ツイート
印刷
関連タグ:東日本大震災
【3.11特集】震災3年目の祈り(最終回):被災した教会が「青空礼拝」~心労、うつ病、牧師が再起する時+
目の前に美しい海が広がる東北の港町

海に近いその教会は、たちまち津波の濁流に飲まれた。警報を聞いた吉田牧師(仮名)は、すぐに教会から裏山へと避難していた。「外出していた家族もちょうど帰ってきて、一緒に行動できたことは幸いでした」。津波に押し流される町の様子を、住民の誰もが山の上から見ているしかなかった。

地震発生直後、気象庁はこの地域の津波の高さを3mと予報。町はそれを防災放送で伝えた。間もなく気象庁の津波予測は10mに引き上げられたが、すでに停電していた町は情報の訂正ができなくなっていた。3mの津波なら上の階への避難で大丈夫だろうと人々は考え、実際には10m近い津波が押し寄せて、多くの死者・行方不明者を生むことになった。

すさまじい土けむりとともに、海が壁のようになって迫って来る光景を裏山から見た記憶はある。しかし、吉田牧師は津波が教会を襲った瞬間を憶えていない。「見逃したのか、見ていて記憶から消し去ったのか、それもよくわからないのです」。気がつくと人々の無事を祈っていた。この町の牧師として責任と使命を感じた。

水が引くのを待って、避難した山から町へと下りた。瓦礫と泥でひどい状態だった。押し流されてきた車が向かいの家に突き刺さっている。教会堂の流失は避けられたが、内壁には人の背丈を越えた水位の跡がくっきりと残っていた。「戻った時は泥水がまだ膝までありました」。自宅やビルに取り残されて動けなくなっていた人たちも多かった。深い泥に足をとられながら、吉田牧師は地域の人とともに騎馬戦のように組み合って人々を救助した。

次の仕事は、教会周辺に押し寄せた瓦礫を片付け、会堂に溜まった大量の泥をかき出すことだった。途方もない時間がかかることが予想でき、人出はいくらあっても足りなかった。「講壇も聖餐卓も散乱して泥に埋もれ、グランドピアノは3本足を見せてひっくり返っていました」。そんななか、各地から徐々にボランティアが駆け付けてくれるようになる。多い時には50人ほどが集まり、泥を洗い流した会堂の床に雑魚寝で泊り込んで作業を続けた。

■ 教会の前で喜びの「青空礼拝」

被災からおよそ1週間経った3月20日、教会の前に椅子を並べて「青空礼拝」を開くことができた。「忘れられない、すばらしい礼拝でした」と吉田牧師。「なにも準備できない状態でしたが、信徒とボランティアの皆さんの、ここに集まれてうれしいという喜びと明るさであふれていました」。薪ストーブで暖をとりながら、ギター伴奏の賛美歌に声を合わせた。今こそ御言葉を語り、主の声を聞きましょうと励まし合った。

3・11の後、津波によるすさまじい被害と遺族たちを目の前にして、言葉を語るはずの牧師でさえその多くが言葉を失った。が、吉田牧師は「はじめから被災現場の真ん中にいると、むしろ語りたくなる」と言う。「そこに人が生きて、そこに神様がおられることを実感するからです。被災直後は、自分の言葉でないものがあふれ出てくるような感覚がありました」

一方で、教会の立て直しについての話し合いが重ねられた。会堂の修復を急がなければと言う人もいれば、「開かれた青空礼拝」が好ましいと思う人もいた。それぞれの微妙な意識の差が、時に摩擦を生むことがあった。牧師にとっては休日のないストレスも大きかった。緊張と使命感で保たれていた吉田牧師の気力を蝕み始めていた。体調を崩しがちになり、鬱(うつ)の症状に苦しむまでになる。

「仮設住宅の寝床の中で、泣いている自分に気づいて目が覚めることがありました。わけがわからず、涙が出ることが続いた」。何を見ても何を聞いても涙が出たという。「涙を押し止めて、前を向いて進もうという気持ちはありました。しかし、休みが必要なことも確かだったようです」。牧師の働きを休む決意をした。病気であることを強く訴えない限り、牧師が休むことは許容されないという空気も感じていた。

吉田牧師は、被災直後の「自分の言葉でないものがあふれ出てくる感覚」について思い返していた。考える中で、それは「存在の言葉」だったのではないかと気づく。「何かを説明するためではなく、聖書を説くのでもなく、神様はここにいる、私はここにいるという声。その言葉があってこそ、私たちは生かされる。私たちを慰め、励まし、だから私たちはこれまで生きてこれたのではないか、そう感じるのです」

数カ月の休養を経て、吉田牧師は再び講壇に立った。完全な回復とは言えない体調ではあるが、「そんな自分を用いる神を信じて」人々に語りかけている。3年目のこの春、会堂の改修工事もすべてが完了する。

■【3.11特集】震災3年目の祈り:
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)(11)(12)(13)(14)(15)(16)(17)(18)(最終回)

※ シリーズ「震災3年目の祈り」は今回で終わります。被災地での教会の働きや信徒の方々の証など今後も取材を続けます。ぜひ情報をお寄せください。

関連タグ:東日本大震災
  • ツイート

関連記事

  • 日基主催・東日本大震災国際会議宣言文 原発事故の根源に「罪」

  • 【3.11特集】震災3年目の祈り(18):キリスト教会学校が地域の子育て拠点に~岩手県・千厩小羊幼稚園

  • 【3.11特集】震災3年目の祈り(17):今なお「語れない人」と向き合うために~二本松教会・佐原玲子牧師

  • 日本福音ルーテル、東日本大震災の救援活動を終了 『活動記録』として3年間の活動を記録

  • 被災地で震災関連の自死と離婚が激増 聖公会の支援センタースタッフが報告

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • 米テキサス州洪水、死者100人超える キリスト教サマーキャンプ参加の少女ら多数犠牲

  • Gゼロ時代の津波石碑(4)芥川を自死に至らしめた「ぼんやりした不安」と2つの遺書 山崎純二

  • 中国・臨汾で2つの「家の教会」の牧師や信者らに有罪判決 最大拘禁9年2カ月

  • 見捨てない神 穂森幸一

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(226)葬儀文化を受け継ぎ、教会がエンディングを支える時代が来る 広田信也

  • 約3年ぶりに死刑執行、日本カトリック司教協議会社会司教委員会と矯風会が抗議

  • 初めの愛に戻りなさい 佐々木満男

  • 第一のことを第一にする人生の祝福 菅野直基

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(7)共同体の重視 臼田宣弘

  • 米テキサス州洪水、死者100人超える キリスト教サマーキャンプ参加の少女ら多数犠牲

  • 学校法人聖学院、新理事長に田村綾子氏

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 紛争地の宗教者らが参加、第3回東京平和円卓会議 赦しの重要性、即時停戦など呼びかけ

  • 約3年ぶりに死刑執行、日本カトリック司教協議会社会司教委員会と矯風会が抗議

  • 聖書から事実を引き出す学び「IBS」を分かりやすく説明する講座 7月12日から

  • 中国・臨汾で2つの「家の教会」の牧師や信者らに有罪判決 最大拘禁9年2カ月

  • 初めの愛に戻りなさい 佐々木満男

  • 米テキサス州洪水、死者100人超える キリスト教サマーキャンプ参加の少女ら多数犠牲

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 学校法人聖学院、新理事長に田村綾子氏

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(8)「建物の話」 三谷和司

  • 米国の福音派牧師は半数近くが兼業している 調査で判明

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • 聖書から事実を引き出す学び「IBS」を分かりやすく説明する講座 7月12日から

  • 紛争地の宗教者らが参加、第3回東京平和円卓会議 赦しの重要性、即時停戦など呼びかけ

  • 約3年ぶりに死刑執行、日本カトリック司教協議会社会司教委員会と矯風会が抗議

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.