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ヨハネ福音書を読む

ヨハネ福音書を読む(最終回)「愛弟子」―イエス様の復活(4)― 臼田宣弘

2024年9月18日13時28分 コラムニスト : 臼田宣弘
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関連タグ:ヨハネによる福音書臼田宣弘
ピーター・キャンディッド「最後の晩餐」(デンマーク・ハデルスレフ大聖堂所蔵)
ピーター・キャンディッド「最後の晩餐」(デンマーク・ハデルスレフ大聖堂所蔵)。愛(まな)弟子がイエス様の胸に寄りかかっている。

愛弟子について

今回は、21章21~25節を読みます。ここには愛(まな)弟子のことが書かれていますので、最初に彼のことについて考えることにします。この福音書の20章までを書いたのがこの愛弟子であって(24節)、その福音書のタイトルが「ヨハネ」であることから、伝統的にこの愛弟子とはヨハネであり、さらにそのヨハネとは、12弟子の1人であるゼベダイの子ヨハネであろうといわれてきました。しかし、今日の聖書学においては、この説はあまり受け入れられていません。

牧師が説教においてヨハネ福音書を語る場合に、「ゼベダイの子ヨハネがこういう思いでこの箇所をこのように書いた」とすることは、私は差し支えないと思いますし、またそのように説教で聞いても違和感は持ちません。けれども、聖書学的には通常、愛弟子はゼベダイの子ヨハネではないとされていますので、本コラムでは、この弟子のことを、福音書が書いているままに「イエスの愛されていた弟子」、すなわち「愛弟子」と書いてきました。

では、愛弟子は一体誰なのでしょうか。イエス様によみがえらされたラザロが有力視される場合があります。そうかもしれません。しかし最終的には、「分からない」というのが聖書学における答えです。けれども、それでよいと思います。「神様の愛」をモチーフとしているこの福音書において、イエス様に愛されていることを具現している人物ということが示されているならば、それで十分だと思います。

ペトロの弱さ

20 ペトロが振り向くと、イエスの愛しておられた弟子が付いて来るのを見た。この弟子は、あの夕食のとき、イエスの胸元に寄りかかったまま、「主よ、あなたを裏切るのは誰ですか」と言った人である。21 ペトロは彼を見て、「主よ、この人はどうなるのでしょうか」と言った。22 イエスは言われた。「私の来るときまで彼が生きていることを、私が望んだとしても、あなたに何の関係があるか。あなたは、私に従いなさい。」

最初に、引き続きペトロが登場します。ここは、ペトロの人間的な弱さを伝えていると思います。彼がイエス様に対して、3度「私があなたを愛していることは、あなたがご存じです」と言い、殉教が予告された直後、振り向いたところに愛弟子がいたので、「この人はどうなるのでしょうか」とイエス様に問うたのです。愛弟子のことが気になってしまったのです。

私とイエス様の関係は確立された。そして、私はイエス様から教会の牧会を委託されたが、それは私の牧会する教会が成長することを意味しているのだろう。そして、イエス様と同じく殉教するとまで言われた。では一体あの弟子はどうなるのだろうか。伝道者としての彼は成功するのだろうか。彼もまた殉教するのだろうか――。そんなことを、ペトロは思ったのではないでしょうか。「この人はどうなるのでしょうか」という言葉は、他人のことが気になってしまう、ペトロの弱さを具現しているのです。

イエス様はそのようなペトロに、「私の来るときまで彼が生きていることを、私が望んだとしても、あなたに何の関係があるか。あなたは、私に従いなさい」と言われます。それは、他人を気にするな、あなたはあなたの道を歩めばよいのだ、ということでしょう。

弱さを抱えたペトロでありましたが、イエス様のそうした言葉に励まされつつ、初代教会の指導者として活動していったということでしょう。そして、初代の教皇として、名前が残されているのです。そこに、神様の御業の大きさを感じずにはいられません。

愛弟子の神格化

23 それで、この弟子は死なないという噂(うわさ)がきょうだいたちの間に広まった。しかし、イエスは、彼は死なないと言われたのではない。ただ、「私の来るときまで、彼が生きていることを、私が望んだとしても、あなたに何の関係があるか」と言われたのである。

しかし、イエス様の言葉はペトロだけでなく、初代教会の兄弟たちにも影響を及ぼします。「それで、この弟子は死なないという噂がきょうだいたちの間に広まった」とあります。愛弟子に対する「不死の噂」が立ったのです。

前回、21章はペトロの殉教が主題になっているとお伝えしました。ペトロは殉教したけれど、愛弟子は生き続けて宣教活動を続けたというのが、歴史の事実であろうと思います。愛弟子は、イエス様から母親を任されたこと、競走でペトロに勝っていることなどの記載から、初代教会において、その指導力においてペトロを凌駕していた人物であると考えられています。想像するに、相当なカリスマ的な指導力を持っていたのではないでしょうか。

カリスマ的な指導者は、時として神格化され、死なないと思われるようです。世界平和統一家庭連合(統一協会)の創設者・故文鮮明氏は、信者から「死なない」と思われている場合があったようです(書評『カルトの花嫁―宗教二世 洗脳から抜け出すまでの20年』参照)。また、昭和天皇が亡くなる前、容体が悪化した際に「こんなことはあり得ない」と言っていた人の報道を見たことがあります。昭和天皇は、「死なない」と思われていたのではないかと思えるのです。

私は、愛弟子が強いカリスマ性を持っていたので、彼に対して上記のような「死なない」という噂が立ったのではないかと考えています。それで、21章の著者によって、イエス様がペトロに言われた言葉が再現され、愛弟子が「死なないと言われたのではない」ということが強調されているのではないかと思います。

前回、私が「20章までの原ヨハネ福音書に、何らかの理由でペトロの殉教の出来事を反映させる必要性が出てきたので、21章が『ペトロの殉教』という主題で執筆され、付加されたのではないか」と考えていることをお伝えしました。その「必要性」とは、ことによると、愛弟子の不死の噂が広まったため、イエス様が言われたことを正確に伝え直して、その噂を否定しなければならなかったという事情だったのかもしれません。21章の執筆者は、「人間は神とは違い、死なないなどということはない。人を神格化してはいけない」という意味を込めて、イエス様の言葉をきちんと解釈して伝え直しているのだと思います。

愛弟子の証し

24 これらのことについて証しをし、それを書いたのは、この弟子である。私たちは、彼の証しが真実であることを知っている。

ここで、ヨハネ福音書の20章までの「原ヨハネ福音書」を書いたのが、愛弟子であったことが明らかにされます。彼は、初代教会の中でも、「ヨハネ共同体」といわれる教会の指導者であったと思われます。そして、その教会の中で伝承されていたイエス様の伝承を中心にして、ヨハネ福音書をまとめたのでしょう。さらにそこに、愛弟子の神格化を憂慮する者が、ペトロの殉教を背景に見つつもイエス様の言葉にさかのぼり、21章を書いて付加したということになるのではないでしょうか。

さらに、「私たちは、彼の証しが真実であることを知っている」という言葉が添えられています。これは19章35節の「それを目撃した者が証ししており、その証しは真実である。その者は、あなたがたにも信じさせるために、自分が真実を語っていることを知っている」に酷似しています。恐らく、19章35節の著者も21章の著者と同一であり、愛弟子の証しが真実であることを後に付加したものと思えます。これらについては、本コラムを「ヨハネ書簡集を読む」に継続させ、1ヨハネ書5章をお伝えする際に再考察したいと思います。

本コラムを終えるにあたって

25 イエスのなさったことは、このほかにも、まだたくさんある。私は思う。もしそれらを一つ一つ書き記すならば、世界もその書かれた書物を収めきれないであろう。

2023年4月19日に執筆を始め、基本的に毎週水曜日に掲載していただき、当初の予定では1年で終わるつもりでした。しかし、予想していた以上に、ヨハネ福音書は「大き過ぎ」ました。同時に、深い魅力を持った書であると思いました。それは25節にあるように、この書が、ここに書き記されていない多くのことを背後に持っており、それを負っているからだと思います。

ヨハネ福音書は、書き記されていない部分を、読者の想像力で補うことをさせてくれると感じました。ですから、読み返すたびに違った感想を持つことは、当然なことだと思います。ヨハネ福音書の大きなモチーフの一つである「永遠の命」について答えを見いだせたでしょうか。「神様の愛」ということが一つの答えであるように思えました。ヨハネ福音書は、「永遠の命」というモチーフと、「神様の愛」というモチーフが、一つに溶けて流れているようにも思えます。

私は、そうしたことを探っていくために、さらにこの福音書を読んでいきたいと思います。そして、そこにつなげるために、ヨハネ福音書と同じ共同体の文書であるといわれている、1ヨハネ書、2ヨハネ書、3ヨハネ書に関するコラムを、「ヨハネ書簡集を読む」と題して続けることにします。毎月、第2・第4水曜日の掲載を予定しています。(終わり)

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◇

臼田宣弘

臼田宣弘

(うすだ・のぶひろ)

1961年栃木県鹿沼市生まれ。80年に日本基督教団小石川白山教会(東京都文京区)で受洗。92年に日本聖書神学校を卒業後、三重、東京、新潟、愛知の各都県で牧会。日本基督教団正教師。2016年より同教団世真留(せまる)教会(愛知県知多市)牧師。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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