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史上最悪の単独テロ事件を描く映画の「多面性」と祈りの「共通性」(2)「ウトヤ島、7月22日」

2019年3月13日11時45分 執筆者 : 青木保憲
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関連タグ:ノルウェー
史上最悪の単独テロ事件を描く映画の「多面性」と祈りの「共通性」(2)「ウトヤ島、7月22日」+
©2018 Paradox

2011年7月22日午後3時17分、ノルウェーの首都オスロの政府庁舎近くで大きな爆発が発生し、8人が死亡した。さらに同日午後5時過ぎ、オスロから40キロほど離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生。わずか1時間余りの間に、69人の若者が命を落としてしまう――。

事件から7年が経った2018年、興味深いことに同じ題材でありながら、異なる視点で描かれた2つの映画が公開された。前回取り上げたのは、ネットフリックスで視聴できるポール・グリーングラス監督の「7月22日」。今回は同じ事件を扱いながら、まったく異なるコンセプトで作り上げた「ウトヤ島、7月22日」を取り上げてみたい。日本では、ちょうど今月8日から公開が始まったばかりだ。

監督はエリック・ポッペ。ノルウェー生まれのポッペは、「ヒトラーに屈しなかった国王」という作品で2017年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされている。そんな彼が本国の悲惨なテロ事件を映画化した。それが「ウトヤ島、7月22日」である。その作品は、グリーングラス監督の「7月22日」とは正反対の手法で出来上がっている。まずはそのことに注目したい。

上映時間97分のうち、72分がワンカット撮影である。ワンカット撮影にした理由は、何も分からないまま地獄のような状況に陥った若者たちと同じ体験を観客にしてもらうためだった、とポッペ監督は語る。72分とは、犯人である32歳(当時)の独身男性、アンネシュ・ベーリング・ブレイビクが最初の銃弾を発射してから、警察に捕まるまでの時間だ。

劇中、ブレイビクはチラリとしか映らない。また、銃が乱射されていることすら知らず、最悪の結果を招くにもかかわらず建物の中に避難してしまう若者たちの姿も背景で映している。一人の少女(この人物は架空の存在)の目を通して、ウトヤ島にいた若者たちがどんな緊張を強いられ、事態の打開を模索したのか、ということが途切れることなく描き出されている。

史上最悪の単独テロ事件を描く映画の「多面性」と祈りの「共通性」(2)「ウトヤ島、7月22日」
©2018 Paradox

映画はさながら4DX(椅子が揺れたり、においや水しぶきが観客にかかったりする体感型映画鑑賞法)のような見せ方をしている。若者たちと同じ緊張、苦しみ、絶望を感じてもらいたいということだろう。

そして最後に、ある展開が待っている。それによって、助かる者と殺される者が、まったく紙一重であったことが示される。彼らは進むべき道が分からず、また何が起きているのかも知らなかった。どうして自分が助かったのかも分からないほどの混乱の中にあったのである。生き延びた若者たちは、すべてにおいて混乱と前後不覚の状態でウトヤ島を後にする――。

劇中、BGMはおろか緊張や恐怖を駆り立てるような効果音すら挿入されていない。聞こえてくるのは、人々の声、服のこすれる音、そして遠くで、近くで鳴り響く銃声だけである。

映画は何のメッセージも伝えることなく、いきなり暗転して終わる。思わず「これは映画か?」と思わずにはいられないくらいの唐突さである。そして、この試みは成功したと言っていい。私は茫然自失のまま、しばし座り込むこととなった。それはまるで、やっと救命ボートに引き上げられた若者たちの様子とうり二つであったろう。

史上最悪の単独テロ事件を描く映画の「多面性」と祈りの「共通性」(2)「ウトヤ島、7月22日」
©2018 Paradox

両作品はその緊張感のあまり、手を握り締めながら鑑賞することになるのは間違いない。手を握り締めるというと、それは「祈り」の姿勢をも意味する。私は2作品を連続して鑑賞したが、観終わった後で異なる種類の「祈り」をささげていたことに気付かされた。

前者(「7月22日」)は、怒りと悲しみを抱きながらも、後半でトラウマを負った青年が自分を取り戻していく過程に入ると、彼ら傷を負った者たちが1日も早く癒やされるように、と願わずにはおれなかった。そういった意味では、他者への「とりなしの祈り」に近い感覚で手を握り締めていたと言えよう。

一方、後者(「ウトヤ島、7月22日」)は「とりなし」などという格好付けた余裕はない。劇中でも祈りをささげる若者の姿が出てくるが、「神様、私を助けてください!」という、叫びにも似た祈りをささげていたのだ。同じような体験は、スティーブン・スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」の冒頭での戦闘シーン以来である。呼吸するのもはばかられる緊張感があった。

史上最悪の単独テロ事件を描く映画の「多面性」と祈りの「共通性」(2)「ウトヤ島、7月22日」
©2018 Paradox

「とりなし」と「叫び」。両者を祈りの本質とすることが、聖書では随所に描かれている。気付かされたことは、この両作品を鑑賞する者は皆、同じような「祈り」を体感することになるのではないか、ということである。クリスチャンもそうでない人も、皆このような悲惨な事件に遭遇したり、それが一連の物語として語られたりするとき、抱く願いは同じであろう。

「傷を負った人が癒やされるように」という願いは、私たち人間の「祈り」となる。苦境に立たされ、「助けてください!」という叫びもまた、同じく私たちの「祈り」として、皆に分かち合うことができるものとなる。

人々が共に集い、同じ思いで手を取り合えるなら、そこに一致が生まれ、コミュニティーが誕生する。ここにこそ「映画化」の積極的な意味がある。

クリスチャンであれば、ぜひ未信者の人とこれらの作品を観に行ってもらいたい。事前にネットフリックスで「7月22日」を視聴し、そして「ウトヤ島、7月22日」を鑑賞したらいいだろう。きっと相手と共に「手を取り合って祈る」ことができる。そこから「対話」が生まれること請け合いである。(終わり)

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■ 映画「ウトヤ島、7月22日」予告編

■ 映画「ウトヤ島、7月22日」公式サイト

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

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