Skip to main content
2025年9月15日10時30分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 書籍
神学書を読む

神学書を読む(3)戦国時代とキリシタン史から現代の宣教のヒントが見えてくる!?①『戦国と宗教』

2016年10月6日11時28分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:隠れキリシタンフランシスコ・ザビエル
これだけは読んでみたい神学書(3)戦国時代とキリシタン史から現代の宣教のヒントが見えてくる!?①『戦国と宗教』+

戦国時代の宗教を考える

日本の戦国時代、宗教がどんな影響を人々に与えたかを考察する良書である。そして、私たちが日本史の教科書などで学んでいた「常識」が、実はそうではない可能性を示唆するという意味では、とても革命的な1冊である。

ここでいう「宗教」とは、当時の真言宗と外来のキリスト教である。この2つは出自も展開も全く異なることから、あまりその連関を問われることがなかった。しかし本書では、戦国大名や民衆が戦(いくさ)に対して神仏に祈願する習慣を持っていたことから、深い関わりがあったことを示している。

さらに白眉なのは、キリスト教の伝来とその後の展開に関する3章、4章の記述である。どうしてキリスト教が日本に伝えられたのか? なぜキリシタン大名が生まれたのか? そしてどうして織田信長はキリスト教を擁護し、逆に豊臣秀吉はこれを禁じたのか? このあたりは某バラエティー歴史番組も驚きの展開が待っている。

そもそもカトリック教会および国家が世界に目を向け始めたのは、プロテスタント教会が生み出され、自分たちの土地や既得権益が侵され始めたことに端を発している。彼らは新たな市場を求めて、インドや中国などへ「宣教」という名の侵略を開始する。その際、この急先鋒(せんぽう)となり、カトリック教会のお墨付きをもらって世界展開をしたのはポルトガルであった。当時、ポルトガルは欧州列強の中で先んじて世界展開をカトリック教会と共に遂行していた。

やがてフランシスコ・ザビエルが日本にやって来る。彼はカトリック式の宣教政策を推し進めるため、京の都へと上っていく。しかし、当時の日本に有力な「王」が存在しないことを知った彼は、やがて西へ帰り、周防国(山口県)で大内義隆から布教と領民の改宗について許可を得る。ここから本格的に日本宣教が始まったとされている。

本書はこのあたりの一般的な歴史的出来事をなぞりながら、歴史的な出来事が「どうして」起こったのかについて、文献などから分かりやすく解説している。私たちはこの「どうして」について各方面から説明を受けることになるが、その中で一番よく耳にするのは、織田信長が「新しいもの好き」だったから、キリスト教を受け入れたことで、他の武将たちもこれに従わざるを得なかった、というものだ。

しかし、この定説を本書は見事に覆す。そしてキリシタン大名が誕生することになった経過も、単にカトリック神父たちの献身的な働きだけではなかったことを喝破(かっぱ)している。日本の戦国大名側にとっても彼らと結び付くことに利があったのである。カトリック勢力と結び付くなら、その背後にいるポルトガルや欧州列強諸国と友好関係を持つことができる。これこそキリスト教が各地で優遇された要因であったと本書は語る。つまり「持ちつ持たれつ」の関係が築かれてこそ、日本のキリスト教は産声を上げることができたのであった。

「天道」概念=「キリスト教の神」?

さらに、読んでいる電車内で私が思わず「ええ!」と声を上げてしまったのは、日本人がキリスト教を受け入れたのは、もともと日本人が抱いていた「天道」という思想がキリスト教の神概念と多くの点で一致していたからである、という件(くだり)。作者はあっさりと次のように説明している。

「ところでこの天道の観念は、当時の戦国大名をはじめ、日本人には極めて一般的な観念であった。言い換えれば、日本人がキリスト教の神を理解し、共感することは、それほど困難ではなかったことが予想される」

ちなみに「天道」とは、超越的なこの世の摂理、力のことを意味していた。人々が良いことを行うなら「天道が祝福し」、悪しきことを行うなら、「天道が罰を与える」とされている。また、自分にとって幸運な出来事に出くわしたとき、人は「天道が私を導いてくれた」と捉え、不都合な出来事に出くわしたときは、「天道が私に反省を促している」と捉えていたという。つまり、キリスト教は決して目新しい宗教として浸透したのではなく、むしろなじみ深い日本側の考え方があってこそ、根付くことができたというのである。

このような天と地が引っくり返る(私にはそう思えた)新説が後半には怒涛(どとう)のごとく列挙されている。値段にして820円(+税金)、わずか200ページの新書だが、そこに込められている内容はとても滋味豊かである。

さらに、1つ提案したいことがある。それは本書を読んで、その真実性を議論するだけではもったいないため、ぜひこれを基にした宣教論を皆で話し合ってはいかがであろうか。例えば、私たちが当たり前として受け止めていた事柄として、「日本人にキリスト教はなじみがないもの」というものがある。

しかし、本書によると、日本側にはキリスト教を受け入れたい理由(ポルトガルとの関わり)、また受け入れてもいいと思える要因(天道という思想)が存在していたことが判明している。それなら現代の宣教論はどうか? これらの前提に立って宣教を再構築することが求められているのではないだろうか。

そういった意味で、本書は歴史書であるとともに、神学的な示唆に富んだ実践神学のタネ本として用いることができるといえるだろう。

神田千里著『戦国と宗教』(2016年9月、岩波新書)

<<前回へ     次回へ>>

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

関連タグ:隠れキリシタンフランシスコ・ザビエル
  • ツイート

関連記事

  • 分断差別の歴史を超えて和解へ 『生き抜け、その日のために 長崎の被差別部落とキリシタン』(1)

  • キリシタン屋敷跡から出土した人骨が語る、宣教師シドッチの信仰

  • 隠れキリシタン口伝の祈り歌「オラショ」原曲 今年もバチカン国際音楽祭のミサで披露

  • 弾圧・原爆を越え、400年の信仰の歴史持つ長崎・浦上 今年オープンの「浦上キリシタン資料館」を訪ねて

  • 戦国時代の日本人はどのようにキリスト教に出会ったのか? CD・DVD『日本人の精神構造を探る』今月末完成

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • キリスト教に回心したウィキペディア共同創設者、所属教会を発表

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 新しい発見 佐々木満男

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(11)抗黙示思想と今この時のトーブ 臼田宣弘

  • ワールドミッションレポート(9月15日):アンギラ 静かなる島に迫る変化と教会の使命

  • シリア語の世界(32)シリア語聖書の人名・地名小辞典 川口一彦

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • 「苦しみ」と「苦しみ」の解決(12)「苦しみ」から「光」へ 三谷和司

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • 「世界で最も優しい裁判官」 フランク・カプリオさん死去、敬虔なカトリック信者

  • 米保守派活動家で熱心なクリスチャンのチャーリー・カーク氏、イベント中に射殺される

  • 石破茂首相が退陣表明、15年ぶりのクリスチャン首相

  • 「信教の自由を脅かす」 旧統一協会の解散命令巡り特別集会、西岡力氏らが登壇

  • 牧師を辞めた理由は? 元牧師730人を対象に調査 現役牧師や信徒へのアドバイスも

  • ウェールズ聖公会、首座主教にレズビアンの女性主教選出 保守派からは強い批判の声

  • 「聖書を読まなかったら、今の自分はない」 元ヤクザの進藤龍也氏と山崎純二氏が対談

  • 「信仰の実践としてのスピリチュアルケア」 オリブ山病院で第3回臨床牧会教育

  • 花嫁(32)愛というレンズで 星野ひかり

  • イエスの統治を祝う祭典「ジーザス・レインズ」が10周年 ラップ賛美など新しい試みも

編集部のおすすめ

  • 「20世紀のフランシスコ・ザビエル」 聖心女子大学で岩下壮一神父の特別展

  • 「罪のない赤ちゃんを殺さないで」 東京でマーチフォーライフ、中絶の問題を訴え

  • 教育改革が「日本のリバイバルにつながっていく」 牧師の金子道仁参院議員が講演

  • いのちの言葉聖書学校、日本語クラス2期生7人が卒業

  • 淀橋教会で新主管牧師就任式・祝賀会 金聖燮牧師が6代目に

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.