「日本の皆さんに言いたい! 沖縄を見て!」米兵によるレイプ被害者のキャサリン・ジェーンさん

2016年6月3日23時42分 記者 : 守田早生里 印刷
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昨年5月に講談社から出版された『涙のあとは乾く』と、その英語原書『I am Catherine Jane: The True Story of One Woman’s Quest for Justice』を手にする著者のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさん=2015年7月21日、講談社本社ビル(東京都文京区)で

4月に沖縄県うるま市で発生した在日米軍属(元海兵隊員)による強姦殺人および死体遺棄事件に関し、2002年神奈川県横須賀市内で同じく米兵からレイプ被害を受けたオーストラリア出身で日本在住のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんが、本紙のインタビューに答えた。

インタビュー中、時折険しい表情で「日本の皆さんに言いたい! 沖縄を見て! 沖縄がどれだけ苦しい思いをしてきたか分かりますか?」と語り、また時に静かに涙を流しながら目を閉じ、「戦後71年間、レイプの犠牲になった全ての人たち、そして沖縄、日本のために祈っているの」と語った。

「断固抗議」と「再発防止」って一体何?

「また起きてしまった。何度同じ過ちを繰り返したらいいの! 彼女の命は救えたはず。レイプされなくても、死ななくても済んだはずよ」と、インタビューの冒頭、沖縄の事件に関し、こう発言した。

安倍首相は、先週、三重県伊勢市で行われた先進国首脳会議の前日、オバマ米大統領と会談。事件に対し断固抗議し、再発防止に努めるよう求め、米側は哀悼と遺憾の意を表明した。

ジェーンさんは、「安倍首相の言う『断固抗議』と『再発防止に努める』とはどういうことなの? 私は、米兵からレイプ被害に遭って、顔と名前を出して日本で活動している唯一の女性なのよ。外務省を通して、昨年、私の著書を首相にも渡したわ。いまだに『読んだ』という連絡は来ていない。考えてみて。道路にある点字ブロックはどうやって作る? 実際に視覚障がいのある人に歩いてもらって、確認しながら作るでしょう。私には、レイプされた人の気持ちが痛いほどよく分かる。政府の人たちがもし私の言葉に耳を傾けてくれるなら、私の本を読んで何かを感じてくれるなら、私は喜んで協力する。その『再発防止』のために、共に活動していきたい」と話した。

手記を出版

ジェーンさんは、レイプ事件の当日から、日本の警察の不当な捜査と取り調べ、その後の裁判の様子など、見知らぬ日本という国で、1人で闘った14年の記録を昨年『涙のあとは乾く』(講談社)にまとめ、手記として出版している。

ジェーンさんをレイプした犯人は、日本での裁判中に米軍が除隊を許可。本国に帰国した後、行方をくらました。ジェーンさんは、彼をたった1人で捜した。居場所を突き止め、米国で裁判を起こし、勝訴。和解金はたったの1ドル。お金のための裁判ではなく、正義のための裁判だった。

しかし、裁判にかかった費用は莫大な金額に上った。真冬でも電気代を節約するために暖房をつけることができなかった。時折、電気代の未払いで電気を止められたこともあったという。

世界中で横行しているレイプ犯罪

「沖縄では、たくさんの女性がレイプをされて傷ついているわ。私が『レイプ被害に遭いました』と話すと、『実は、私も米兵にレイプされたの』という人が何人もいるわ。私のメールには毎日のように、レイプされた女性からメールが来て、『ジェーンさん、どうしたらいいの?』と訴えてくる。いいえ、女性だけではないのよ。男性の米兵が男性をレイプするケースも起きている。もう、年齢、性別、国籍など関係なく、世界のどこかで、こうして私たちが話している間にもレイプ事件は起きているのよ」と話し、再び、涙を流した。

「私たちの手は、愛するわが子の頭をなでることもできるけれど、同じ手で人を殺(あや)めることもできるの。そして、手だけではなく体そのものが凶器になって、人の心と体を犯すのよ。魂を殺し、最悪の場合、命をもその手によって奪われることになる。うるま市で起きた事件のように。なんと恐ろしいことでしょう。あの恐ろしさは、経験した人にしか分からないかもしれないわね」とレイプの恐ろしさを話した。

24時間被害者相談センターを

日本には、行政が運営する24時間の性被害相談センターがない。これにもジェーンさんは驚いたのだという。病院でも、彼女がレイプをされたかどうかなどの検査はされなかった。まして、彼女の心の傷をケアしてくれる場所など、どこにも見つからなかった。

「火事が起きたら消防署に電話するでしょう。耳が痛かったら耳鼻科、歯が痛かったら歯医者に行くでしょう。レイプをされて、今すぐ誰かに相談したいときは、どこに電話したらよいの? レイプされたときの屈辱感、痛み、悲しさ、怒り、不安、嘆きはどこにぶつけたらいいの?」

「私の場合は、薬を盛られて、知らないうちに男に連れられてレイプされていたの。私が一生懸命叫んでも、訴えても警察は聞いてくれない。私はただの『レイプされたと言い張っている』オーストラリア人だったのよね。それをどこにどうやって相談したらよいか、誰も教えてくれなかったわ」と当時を振り返る。

レイプ犯罪はゼロにすべき

「今回殺害された女性の名前も、今でこそ多くの日本人が知っているけど、数年後にはみんな忘れているでしょうね。71年間、声を上げられなかった女性たちがどれだけいるかしら? 言いたくても言えなかった・・・家族にすら言えない人だっているのよ。みんな、私に『今まで、何人の人が沖縄でレイプ被害に遭っているのですか?』と聞くけど、たった1人の被害者でも多すぎると思わない? そうでしょう?」と話す。

日米地位協定について

ジェーンさんは、米軍のレイプ犯罪をなくすためには、日米地位協定を変えるべきだと訴えている。特に同協定16条には「日本国において、日本国の法令を尊重し、及びこの協定の精神に反する活動、特に政治的活動を慎むことは、合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の義務である」とある。

この中で、ジェーンさんは「在日米軍は、日本国の法令をrespect(尊重)するのではなく、obey(従う)べき。日本にいる誰もがそうであるように、その国の法律にobey(従う)べきでしょう。『尊重』などと言っているから、それを無視してレイプ犯が堂々と国外に逃亡することが可能になってしまうのよ。たった1語だけ変えればいいの」と話す。

「日本の皆さんに言いたい! 沖縄を見て!」米兵によるレイプ被害者のキャサリン・ジェーンさん
「地位協定」(Status of Forces Agreement)の頭文字(SOFA)を椅子のソファになぞらえて作ったキャンペーンカード

沖縄基地問題

沖縄では、基地の建設反対運動が盛んに行われている。「沖縄は、悲しんでいる。苦しんでいる。それを叫びに変えているのよ。彼らは、アメリカ人が嫌いなのではないの。繰り返し起こる犯罪に、もううんざりして、彼らができる唯一のことが『出て行け!』と叫ぶことなのだと思うわ」

「誰かがこの悪の連鎖を止めなければ、彼らは安心して沖縄に住むことができない。私は彼らのためにも、この悪の連鎖を止めるために働きたいと思っているわ。神様が私に力をくれるの」と述べた。

Everything is possible with God!

ジェーンさんは、レイプ被害者のための24時間相談センター設立に向け、クラウドファウンディングを募り、着々と準備を進めている。「政府がやらないなら、私がやるわ! お金も何もないけど、私には100パーセントの信仰があるわ。Everything is possible with God!(神様が共にいてくだされば、全てが可能になる)」と笑顔で話した。

「被害者は沈黙を破って、真実を明かすことをためらってはいけないと思うの。さまざまな事情で話せない人もいるでしょう。それでも被害者は最低限、癒やされなければならないと思うわ。誰かがそばにいて、サポートしてあげられればいいと思う。被害に遭った女性は、特に女性からのサポートを必要としているの。『誰かが、私のことを気にしてくれている』と思うだけでも癒やされるものよ」とセンターの必要性を訴えた。

彼女を支援するための窓口は、ウォリアーズ・ジャパン(メール:warriors.japan*gmail.com、*を@に変える)、またはクラウドファウンディングのウェブサイト(英語のみ)。

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