「共におられる神」感じてこそ エキュメニカル功労者賞に「東北ヘルプ」

2015年5月8日11時29分 記者 : 新庄れい麻 印刷
+「共におられる神」感じてこそ エキュメニカル功労者賞にNPO法人東北ヘルプ 団体事務局長が講演
日本エキュメニカル協会理事長の松山與志雄牧師(右)から表彰状を授与される、東北ヘルプ事務局長の川上直哉牧師=4月29日、カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)で

日本エキュメニカル協会(松山與志雄理事長)がエキュメニカル運動に貢献した個人や団体に贈る「エキュメニカル功労者賞」の今年の受賞団体に、NPO法人東北ヘルプ(仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク)が決まった。東北ヘルプは、東日本大震災直後から超教派のネットワークを用いて被災地支援を進めてきたNPO。その授与式が、同協会が「エキュメニズムの日」として定める4月29日、カトリック麹町聖イグナチオ教会(東京都千代田区)で行われた集いの中で行われ、東北ヘルプ事務局長の川上直哉牧師(日本基督教団仙台市民教会)が、「宗教者自身がそれぞれの立場を認識し、キリスト者は『共におられる神』を感じることこそ、エキュメニズムの核心ではないか」と訴えた。同協会は、1969年から日本におけるエキュメニカル運動の研究や促進などを目的に活動。94年から毎年、同賞を贈っている。

集いは、テゼの祈りと黙想をささげて開会。テゼの祈りとは、フランスのテゼ村にある超教派のキリスト教男子修道会「テゼ共同体」で祈られている祈り。聖書の言葉を引用した短い歌詞をシンプルなメロディに乗せて繰り返し歌い、歌の合間に神への祈りの言葉を唱えるスタイルを取り、現在ではエキュメニカルな祈りとして世界中に広まっている。この日は、このテゼの祈りを日本各地で開催している「黙想と祈りの集い準備会」の世話人代表、植松功氏の導きのもと、「貧困、飢え、ネパールの地震で苦悩する人々に支えを」「各国の政治家のために」「争いの中にいる人々に和解を」「地上の全ての教会に喜びと新しいいのちを」「自然が破壊から守られるように」「暗闇、絶望の中にいる人々に光を」という共同祈願を、参加者が長い沈黙の時を通して神にささげた。

「共におられる神」感じてこそ エキュメニカル功労者賞にNPO法人東北ヘルプ 団体事務局長が講演
講演する東北ヘルプ事務局長の川上直哉牧師

授与式に臨んだ川上牧師は、「東北ヘルプの成立と現況」と題して講演。最初に、「震災を通して、日本のキリスト者のエキュメニズムは一気に進んだ」と回想し、震災以降のエキュメニカルな動きは2つに分けられ、その1つは「キリスト教の教会間の壁が乗り越えられたこと」、もう一つは「エキュメニカルをもっと広い意味で捉えた場合、諸宗教間に連帯が生まれたこと」と語った。

この中で、他宗教との連帯について、川上牧師は、被災地での曹洞宗の僧侶たちとの関わりを例に挙げ、「地域に密着し、地元の有力者たちと根強い関係を持つ仏教関係者たち。一方で、日本全国、世界各国につながりを持つキリスト教関係者。それぞれの持つ強みが違うからこそ、協力することによって支援の現場で大きな力を発揮したのだと思う」と振り返った。一方、その中から生まれ出た連帯感については、「同じ山を違う道から登っていると感じるのとは違う」と言い、「信じている神は違うけれど、宗教には共通点もある、という大同小異の考え方で協力しているのではない」と強調。仏教関係者とキリスト教関係者の双方がそれぞれに「全く違う相手だ」と認識した緊張感の中にあってこそ、信頼関係が築かれていった経緯を話した。

川上牧師によると、宮城県には、40年の歴史を持つ「宗教法人連合協議会」があり、震災時にも協力して行動を起こそうと声が上がったが、実働に移すことはできなかった。これについて川上牧師は、「お互いに宗教は関係なく仲良くしましょう、何かをしましょうという考え方では何もなしえなかったということだ」と述べ、「目の前にいる困っている人に駆け寄った者同士が協力した。それが牧師と和尚だっただけだ」と、エキュメニズムを目的にしたのではなく、震災という危機を通して結果として連帯が実現したことを説明した。

「共におられる神」感じてこそ エキュメニカル功労者賞にNPO法人東北ヘルプ 団体事務局長が講演
日本エキュメニカル協会理事長の松山與志雄牧師

キリスト教系の大学でキリスト教学の講師を務める川上牧師は、「学生に、聖書の神とは一体何者なのか、分かりやすく伝えるにはどうしたらよいのかと模索し続けている」と、学生と接する上での悩みも吐露。これまで学生とやり取りをした中で、一番受け入れられやすかったのは旧約聖書の「モーセに現れた神」で、エジプトでの奴隷生活に苦しめられているイスラエルの民の叫びを聞いた神が、彼らを解放するためにモーセを呼び出した場面だと明かした。「その時、神がモーセに語ったのは『あなたと共にいる』という言葉。『(常に人々と)共にいる』神であることが人々に示された場面であることが学生の心に響いたのだと思う。被災地におけるエキュメニズムの核心も、この神の本質にあるのではないか」と語った。

川上牧師によると、宗教者がその立場で被災者にできることは限られていた。牧師は祈り、賛美歌を歌い、礼拝を執り行う。和尚はお経を唱え、死者を弔う。しかし、川上牧師は、自分自身も含めて宗教者たちが「自分では何もできない、これ(祈り、あるいはお経を唱えること)しかできない、という実感を共有したときに初めて、『共におられる神』の存在を伝えることができそうだ、という確かな手ごたえを感じた」と話す。何をすることもできない、非合理的な者であるにもかかわらず自分が存在することができているのは、神の奇跡。これを踏まえ、川上牧師は「『そこにいてよい』という神の声がある。それこそが神が共におられることの証明ではないか」と参加者に呼び掛け、最後に「礼拝、儀式の持つ力は大きい。これからも、被災地で喜びをもって神に礼拝をささげ続けたい」と締めくくった。

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