【インタビュー】カリスマタクシー運転手・下田大気さん 直木賞作家の息子として生まれて

2015年1月5日14時31分 インタビュアー : 守田早生里 印刷
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異色の直木賞作家・志茂田景樹氏の次男で、「カリスマタクシー運転手」として話題の下田大気(ひろき)さん。どこか父親の景樹氏を思わせる笑顔が素敵だ。

すらっとした、どこか人を笑顔にするような温かな雰囲気を持ち合わせた男性。どこかで見たことがあるような・・・ないような・・・。いや、この顔に派手なタイツと虹色の髪の毛を付つけてみたら?そうだ!数十年前、テレビで見ない日はなかったほど人気だった異色の直木賞作家・志茂田景樹氏にそっくりだ。

昨年末、御茶ノ水クリスチャン・センター(東京都千代田区)内にある東京プレヤーセンターで毎週木曜日午後7時から行われている「ザアカイの家」で証しをしたのは、志茂田景樹氏の次男・下田大気(ひろき)さん。「テレビで拝見するお父様そっくりですね」と声を掛けると、嫌がる素振りをひとつも見せず、「よく言われます」と微笑んだ。

現在38歳の大気さんは近年、「カリスマタクシー運転手」として、多くのメディアに出演。その半生をつづった『タクシー運転手になって人生大逆転』(角川新書)は、タクシー運転手として働いている人々や、人生の岐路に立たされ、まさに「大逆転」をしたいと願う若者の間で大きな反響を呼んでいる。

父・景樹氏は、テレビ画面で見た通りの型破りな、大気さんの言葉を借りれば「ぶっ飛んだ」父親であった。大気さんが小学生のときに、そんな夫と男の子二人の子育てに追われていた母親は、救いを求めるように教会へ。クリスチャンになった。その後はその破天荒な夫、やんちゃ盛りの二人の男の子のために、日々祈り、孤軍奮闘していた。

幼いころ、父親と遊んだ記憶はほとんどないと語る大気さん。「キャッチボールの相手は、いつも壁だった。壁は、『ゴロ』しか返してこない」と、詩を通してその寂しさを表したこともあった。12歳のとき、好奇心から友達と原付バイクを盗んだ。小学生の男の子が好奇心でやったこととはいえ、窃盗に変わりはない。すぐに警察のお世話になった。父親の景樹氏は、意に介せず、怒ることも諭すこともしなかった。一方、しっかり者で、何事にも動じない母親に初めて泣かれた。

このことがきっかけで、大気さんも教会へ足を運ぶことになった。その後、高校生のときに受洗。それでも、「あの時は聖書は読んでいたけど、ほとんど意味が分からなかった。教会に行けば母親も機嫌が良いので、『損はない』といった気持ちで教会へ行っていた」と当時のことを振り返る。

だが、大気さんの「好奇心」はあらゆる方向へ向かうこととなる。中学生のときに競馬を覚え、高校生のときにはパーティ三昧。この頃、父・景樹氏はメディアに引っ張りだこだった。中学生のときには、学校で友達に父親の奇抜なファッションのことをバカにされ、「オヤジは、ウケを狙ってるわけじゃない!着たいと思った服を着ているだけだ!」と言い返し、口論になった。景樹氏は、大気さんの著書の中で「わかってくれているなと感じた」と語っている。

バブル絶頂の高校時代。麻布十番、銀座、川崎・・・、大気さんの行動範囲、交友範囲はどこまでも広がる。はやりの「クラブ」で、景樹氏が「お立ち台」に乗って、扇子をヒラヒラ振り回し、踊っている姿を見かけたこともあった。母の気持ち露知らずの父子であった。そんな折も、神をひたすら信じ、祈る母の姿を大気さんは見ていた。

高校時代には、俳優デビューもしていた。デビュー作は、矢沢永吉さん初主演作という大舞台であったが、子役上がり、実力派の新人俳優、女優がうごめくこの世界で、毎日パーティ三昧だった高校生がのし上がって行けるはずもなかった。「『親の七光り』を恥ずかしいと思ったことはなかったですね。むしろ、『他の家庭と違ってラッキー』なんて当時は思っていました」と話す。

高校卒業後、「起業家」を目指し、数々の事業に手を出すが全て失敗。ギャンブル癖が抜けず、一獲千金を狙ってなけなしの金を賭博に使ったこともあった。結果、多額の借金を負い自己破産。

しかし、大気さん32歳のとき、転機が訪れた。以前お世話になっていた社長に電話をかけた時だった。社長の周りにはいつも有名芸能人がいて、運転手付きの高級車を乗り回していた。その社長がタクシー運転手として日銭を稼いでいるというのだ。リーマンショックの煽りを受け、事業に行き詰まったその社長は、「家族を養うためにはしょうがない」とタクシー運転手になっていた。

【インタビュー】カリスマタクシー運転手・下田大気さん 直木賞作家の息子として生まれて
進藤龍也牧師が主宰する「ザアカイの家」で証する大気さん

大気さんはこの話しをきっかけに、「今度こそ人生のやり直しをしたい」とタクシーの運転手になることを心に決めた。研修を経てすぐに勤務は始まる。十代から遊び尽くした歌舞伎町は、抜け道も、渋滞の時間帯も、そこに集まる人の範囲もパターンもよく分かっていた。入社3、4カ月で業界トップクラスの売上となり、周囲からは「何か憑(つ)き物が憑いてる」と言われたこともあった。

「僕にしてみれば、当然といえば当然。日々祈り、聖書を読み、神様により頼んだ生活を送っていただけですね。『憑き物』と世間は言うけれど、それはイエス様なんですよね。タクシーの運転手は、お客様を乗せているとき以外は、ほとんどが一人。休憩中には聖書を読み、運転しながら祈り、業務をこなす。そうすると、不思議と『良いお客さん』が舞い込んでくる」と大気さんは話す。

現在は、タクシー運転手の派遣事業、コンサルティングなどを中心に活躍している大気さん。「僕のような『ダメダメ人間』でも変わることができたのは、イエス様のお陰。僕がどんなに悪行三昧だったときにも、母は祈っていてくれました。僕は今、このタクシー業界の中で神様の栄光を表す者として立たされていると感じています。僕のところには、毎日たくさんの相談が寄せられています。彼ら一人ひとりのために祈っている。いつか、彼らもイエス様の愛に触れる日が来るような気がするんです」と力強く語る。

「お父様も喜んでいらっしゃるでしょう?大気さんの変わり様を見て、クリスチャンになる準備ができたのでは?」と尋ねると、「そうですね。母はずっと父のために祈っている。昔から今も変わらず祈っています。私も兄も祈っています」と優しく微笑んだ。

大気さんは、「ザアカイの家」を主宰する進藤龍也牧師と今後、伝道パートナーとして、さまざまな形で活動していく予定だという。これから先、神様の計画がどこにあるのか・・・大気さんのさらなる活躍を期待してやまない。

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