同盟「教会と国家」委員会、集団的自衛権行使否認を求める声明を発表

2014年6月20日15時13分 記者 : 内田周作 印刷

日本同盟基督教団の「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は、安倍晋三首相に宛てた「憲法解釈変更による集団的自衛権行使否認を求める声明」(16日付)を発表した。

これまでの政府解釈は、集団的自衛権の行使は許容される必要最小限度の自衛権の行使の範囲を超え、憲法上許されないとしているが、同教団は今回の声明で、こうした解釈を継承するべきだと主張。「自国が攻撃されていないのに他国を武力攻撃する集団的自衛権自体が許されないのであれば、それが限定的に行使できるなどという範囲を定めることは無用な議論」と指摘している。

また、アフガニスタンで支援活動を行っている日本人からは、「自衛隊が来ることによって、現地の対日感情が悪化し、そこで活動している日本人の危険がかえって高まる」という声があることを例に挙げ、「集団的自衛権行使容認によって『抑止力が高まり、紛争が回避され、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなる』、という首相の説明と正反対の事態になる可能性もある」としている。

一方、実際に集団的自衛権の行使により戦争に突入し、死者が出た場合、戦死者の顕彰に関する問題が発生するとして、これについては「各地の護国神社、または靖国神社への合祀ということが予想され、それを望まない人々の、思想及び良心の自由と信教の自由が犯され、国も宗教活動を行う」可能性があるとして、危惧を示した。

声明全文は下記のとおり。

2014年6月16日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿

〒151−0072東京都渋谷区幡ヶ谷1−23−14
日本同盟基督教団「教会と国家」委員会
委員長 柴田智悦

憲法解釈変更による集団的自衛権行使否認を求める声明

私ども日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は、安倍首相が私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告を受けて語られた基本的方向性において、歴代政権が禁じて来た集団的自衛権行使を認める憲法解釈変更を検討して行く、と明言されたことに対して以下の理由で反対し、集団的自衛権行使を容認しないよう強く求めます。

まず、「集団的自衛権」という概念は国連憲章(1945年10月24日発効)において初めて登場したものです。そもそも国連憲章では、加盟国によるあらゆる武力行使を禁止し、一切の戦争を違法とし、集団安全保障によって国際の平和を維持する、としています。そして、「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」(第51条)と、暫定的に自衛権行使を認めました。しかし、これはあくまで例外的措置であり、自衛権は国家が当然もっている権利と考えられているわけではありません。さらに、安全保障理事会が決定する軍事的行動については、「署名国によって各自の憲法上の手続に従って批准されなければならない」(第43条3)と定められ、加盟国の憲法が尊重されていますから、あくまでその国の憲法に則った判断が重要なのです。

そして、自衛権とは武力行使による自衛ということですから、軍備と交戦権を認めず、武力行使と戦争を放棄した、憲法第9条の下において「許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されないと考えている」(1981年5月29日、政府答弁書)、というこれまでの政府解釈を継承するべきです。そして、自国が攻撃されていないのに他国を武力攻撃する集団的自衛権自体が許されないのであれば、それが限定的に行使できるなどという範囲を定めることは無用な議論です。 このような、歴代内閣によって守られて来た国の最高法規である憲法の解釈が、一内閣によって変更されるのであれば、それは近代立憲主義を否定することになります。

しかも、首相がパネルを用いて説明された、米輸送艦による邦人輸送の例などは、起こりえない想定だと元防衛官僚の方が指摘しています。また、アフガニスタンで医療・灌漑支援を続けている方は、自衛隊が来ることによって、現地の対日感情が悪化し、そこで活動している日本人の危険がかえって高まる、と指摘しています。それは、集団的自衛権行使容認によって「抑止力が高まり、紛争が回避され、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなる」、という首相の説明と正反対の事態になる可能性もある、ということです。首相は、双方の事態を総合的に見て説明をされるべきです。

さらに、集団的自衛権行使により武力による交戦、つまり戦争になるならば、相手国にも、当然、自国にも殺傷者が出ることになります。そうしますと、国のために亡くなった戦死者をどのように顕彰するかという問題が生じ、各地の護国神社、または靖国神社への合祀ということが予想され、それを望まない人々の、思想及び良心の自由と信教の自由が犯され、国も宗教活動を行うことになり、こうして憲法第19条、及び第20条に反する行為がなされることになります。かつて日本は、靖国神社を精神的支柱とし、天皇を中心とする国家神道体制を作り上げ、軍国主義によって国全体を戦争へと導きました。その反省に立って「日本国民は」「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定」したのです(憲法前文)。そして、その日本国憲法において、基本的人権を規定し、主権在民主義、国際平和主義、民主主義を採用しました。ですから、再び戦争の惨禍を起こすことになるような憲法解釈は、この憲法の条規に反しており、従って効力を有しないのであり(憲法前文及び第98条)、この憲法をないがしろにするような政府は、主権者である国民としてとても受け入れるわけにはいきません。

私ども日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は、日本とアジアと世界に仕える教団を目指し、アジア諸国に対する侵略戦争加担への悔い改めに立ち、この世界に平和を作り出す使命を果たすべく日々励んでおりますが、集団的自衛権行使が閣議決定による憲法解釈によって容認されるような事態になるならば、このような世界の平和を願う者たちの声が踏みにじられることになるのです。

以上の理由から、「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」(憲法第99条)安倍内閣に対し、この憲法を遵守するとともに、憲法解釈に変更を施すことによってこの国を再び戦争の惨禍に巻き込むことになる集団的自衛権行使を容認しないことを強く求めます。

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