神学書を読む
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神学書を読む(30)仲正昌樹著『悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える』
6月に入って以来、暗いニュースが続く。例えば5歳の女の子が虐待死させられた事件。親は「指導」の一環と称して「ゆるしてください。もうしません」と女の子に反省文を書かせていた。また、新幹線で鉈を振り回し、無差別に人々を殺傷した事件が発生した。
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神学書を読む(29)宮崎賢太郎著『潜伏キリシタンは何を信じていたのか』
本書の著者、宮崎賢太郎氏は長崎県で長年「隠れキリシタン」を研究してきた第一人者である。「難しい話を分かりやすく語れるのがプロ」とはよく言ったもので、本書の構成は見事にこのプロ意識を感じられるものとなっている。
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神学書を読む(28)聖書正典化の歴史がこの1冊でよく分かる! 『聖書の成り立ちを語る都市』
さて、皆さんは以下の文言をどう受け止めるだろうか。ロバート・R・カーギル著『聖書の成り立ちを語る都市 フェニキアからローマまで』の終章の書き出し部分である。カーギル氏は米国の考古学者、聖書学者である。
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神学書を読む(27)土井健司監修『1冊でわかるキリスト教史 古代から現代まで』
歴史書を通して歴史を学ぶことは最も基本であり、大切なことである。だが読み手にとって最も厄介なのはその分量、平たく言えばページ数である。忙しい社会人や専門外の大学生が読むのに「適している」ものは何か、と考えるなら、私は迷わず本書をお勧めする。
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神学書を読む(26)黒崎真著『マーティン・ルーサー・キング 非暴力の闘士』
今年2018年は、マーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺されてから50年となる。各地では記念式典が行われ、またキング牧師に関する書籍やコメントが米国のみならず世界各地で発信されている。しかしこれは単なる「キング礼賛本」ではない。
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神学書を読む(25)島田裕巳著『ジョン・レノンは、なぜ神を信じなかったのか』
時代順に並べられたアーティストたちが、それぞれどのようなスタンスでキリスト教と向き合ったかが紹介され、その例証として発売されたアルバムや収録されている楽曲が挙げられる。しかし、私が面白いと思ったのは、彼らの生い立ちである。
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神学書を読む(24)小原克博著『一神教とは何か―キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために』
三宗教の解説書、入門書は巷にあふれている。しかし、小原氏はこの三宗教の関係性について問う。さらに宗教界の独自性だけでなく、おのおのの教えが実社会にどのような影響を与えているか、という意味での「間」を問う。
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神学書を読む(23)若松英輔著『内村鑑三 悲しみの使徒』
クリスチャンなら、内村鑑三のことを聞く機会が多いだろう。私の周りの方は、皆が彼を好いている。本書は、内村の信仰列伝ではない。むしろ、歪(いびつ)な性格の故に周囲がかなり人間関係に苦慮せざるを得なかったことを赤裸々に語る告白本である。
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神学書を読む(22)出村和彦著『アウグスティヌス「心」の哲学者』
宗教改革500周年。当然、プロテスタントは活気づく。しかし、カトリックが歴史的に意味をなさなかったというわけではない。両陣営とも、「三位一体」や「恩恵」という概念を受け入れている。その根幹を築き上げたのがアウグスティヌスである。
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神学書を読む(21)森本あんり著『宗教国家アメリカのふしぎな論理』
本書は、私が(勝手に)二分してきた神学の概念的側面と実学的側面、それを見事に組み合わせて、現代における「正統」の概念と実際を考察している。具体的には「宗教国家」である米国を取り上げ、その特徴を「富と成功の福音」「反知性主義」と整理して詳述している。
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神学書を読む(20)白取春彦著『この世に「宗教」は存在しない』
哲学、宗教などの専門家として、このような分かりやすい本を次々とお書きになっていることは、すごいことである。特にキリスト教に関しては、私たちが彼の主張から学ぶべきことが多くあるように思われる。
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神学書を読む(19)『キリスト教は「宗教」ではない 自由・平等・博愛の起源と普遍化への系譜』
わずか200ページ余りの新書であるにもかかわらず、読み通すのに2週間かかった。著者はフランス在住の比較文化史家であり、カトリック信者でもある。この視点が本書を他のキリスト教史とは異なる存在に押し上げている。
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神学書を読む(18)藤本満著『歴史―わたしたちは今どこに立つのか―』
本書は「わたしたちと宗教改革」シリーズ第1巻として発刊された。今年(2017年)がルターの宗教改革から500年ということもあり、さまざまな「宗教改革本」が出版されている。その中で本書は白眉だと言っていい。
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神学書を読む(17)冷泉彰彦著『予言するアメリカ 事件と映画にみる超大国の未来』
本書は、プリンストン在住のフリージャーナリスト、冷泉彰彦氏の新刊である。トランプ政権誕生を踏まえ、どうしてそのような米国になっていったのか、を映画というフィルターを通してつまびらかにしようとする意欲作である。
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神学書を読む(16)ジョン・C・マクスウェル著『「人の上に立つ」ために本当に大切なこと』
世界累計1800万部を越える超ベストセラー作家にして、リーダーシップの大家、ジョン・マクスウェル。彼がかつて牧師であり、その牧会理念に基づいて「リーダーシップ」を語り出したことをどれくらいの方がご存じだろうか?
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神学書を読む(15)来住英俊著『キリスト教は役に立つか』
ストレートなタイトルである。テレビドラマの影響か、「~役に立つ」はちょっとした流行語なのかもしれない。本書は、キリスト教的世界観をカトリック的視点から、誰でも理解できるように解説してくれている。組織神学的トピックスがほぼ網羅されているのも秀逸である。
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神学書を読む(14)渡瀬裕哉著『トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体』
著者の渡瀬氏は、初めからトランプ優勢を伝え、しかもその分析も丁寧に行っている。特にセンセーショナルな言葉が飛び交う最近のメディアに対する辛辣(しんらつ)な批判は秀逸である。
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神学書を読む(13)深井智朗著『プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで』
自分の教派がカトリックでもギリシャ正教でもない、ということは分かっていても、そのルーツがルターに行き着くということに今一つリアリティーを感じられない方もおられるだろう。本書はそういう方にこそ手に取ってもらいたいものである。
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神学書を読む(12)佐藤優著『悪魔の勉強術 年収一千万稼ぐ大人になるために』
まず、タイトルにだまされてはならない。「悪魔の―」となっているが、中身は至って実践的な大学生向け指南書である。しかも「神学」という概念をここまで敷衍(ふえん)して実学とリンクさせている書物は近年お目にかかったことがない。
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神学書を読む(11)島田裕巳・和田秀樹著『宗教と精神科は現代の病を救えるのか?』
タイトルからして刺激的である。宗教の目的、そして精神科の目的。これらに共通するのは、苦しんでいたり悩んでいたりする人間を「救い」へと導くことである。
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