人気クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」のメンバーらは5日、1月に脱退した元リードボーカルのマイケル・テイト氏(59)に性的暴行と薬物乱用の疑惑が浮上したことを受け、声明(英語)を発表した。
「昨夜、マイケル・テイトに関する薬物乱用と不適切な性的行為の報道を読み、私たちの心は粉々に砕かれました。マイケルはいまだこれらの告発に言及していませんが、告発が暗に示すことだけでも私たちには絶望的です」
テイト氏に関する疑惑は、調査ジャーナリストのジュリー・ロイズ氏が主宰する「ロイズ・レポート」が4日夜に報道した。2年半にわたる調査に基づいた報道で、ロイズ・レポートの記事(英語)によると、テイト氏は2004年から14年にかけ、少なくとも3人の若い男性に性的暴行を加えたとされる。
ニュースボーイズのメンバーであるジェフ・フランケンシュタイン、ジョディ・デイビス、ダンカン・フィリップ、アダム・アギーの各氏は声明の中で、自分たちの立場を次のように明らかにした。
「まず何よりも、私たちの心は、勇気を持って自らの経験を話してくれた被害者の皆さんと共にあります。もしあなたも被害者であるのであれば、ぜひそのことを打ち明けてほしいと思います。私たちは、いかなる形態の性的暴行も絶対に容認しません」
「私たち4人は、夫であり、父親です。4人の間には14人の子どもがいます。私たちが神を賛美する音楽に人生をささげてきた間、妻や子どもたちは多くの犠牲を払ってきました。今回の報道に、私たちは恐怖と悲しみ、そして怒りを感じています。多くの点で、私たちと私たちの家族は、この15年間、だまされてきた気分です」
テイト氏は、同じく人気のあるクリスチャンロックバンド「DCトーク」で活躍した後、09年にニュースボーイズに加わった。しかし今年1月、突然に脱退を表明した。テイト氏の脱退は当時、祈りと内省に基づく個人的な決断だと説明されていた。アギー氏は5月、米キリスト教メディア「クリスチャンポスト」とのインタビュー(英語)で、テイト氏がメンバーに突然脱退する意向を伝え、「自分自身に集中する」とだけ述べたと明かしていた。
「彼が去ったことは分かっていますし、辞める理由を多少は教えてくれました。ただ、自分自身に集中すると言っただけです。それ以上話し合わなかったので、他には何も知りません。彼が近いうちに何らかの声明を出すことを願っていますが、それもまた彼次第です。このことがもう少し早く明らかになってほしかったと思いますが、私たちにはどうにもできません。私たちは、その中でもなるべく良いものを引き出そうとしたでしょうが。彼の今後の活躍を願います」
しかし、メンバーらは今回の声明の中で、テイト氏が「二重生活」を送っていたことを認めていたと明らかにした。
「1月にバンドを脱退した際、テイトは私たちと私たちのマネージャー側に『二重生活を送っていた』と告白しました。しかし、それがここまでひどいものだと想像もしていませんでした」
ニュースボーイズは、内部調査や法的措置を講じるかどうかについては明言しなかったが、声明の最後には、4人それぞれの名前が記されている。

ロイズ・レポートは、テイト氏よりも10~20歳以上年下だった男性3人が、テイト氏から性的暴行を受けたと告発する内容を詳細に報じている。3人はそれぞれ、04年、10年、14年に、別々にテイト氏と出会った。当時はいずれも22歳で、性的グルーミング(手なづけ)をされ、性的暴行を受けたとされる。
3人はいずれも、アルコールを伴う状況下で性器を触られるなどの不適切な身体接触をされており、うち1人は、ニュースボーイズのツアーバス内でコカインとみられる薬物を勧められたとも述べている。
ロイズ・レポートは性的暴行の被害者については匿名で報じる方針のため、3人は記事中では仮名で登場している。いずれも当時は警察に被害を届け出なかったものの、さらなる被害者が出ないように声を上げたと主張している。
3人のうち2人は、当時若手のクリスチャン歌手として活動しており、大先輩であるテイト氏と親しくなる中で、テネシー州ブレントウッドにあるテイト氏の自宅で被害に遭った。もう1人は、ニュースボーイズの元スタッフで、ツアー中にツアーバス内で被害に遭ったとされる。
ロイズ・レポートはまた、テイト氏がニュースボーイズ在籍中に過剰なアルコール摂取や薬物乱用を繰り返していたことを示す複数の情報源も引用している。
ロイズ・レポートはこの他、テイト氏が1月に脱退を発表したのは、キリスト教人気テレビ番組の元司会者で、後にゲイであることを公表したアザライア・サウスワース氏が、自身のティックトックで、テイト氏がゲイであることを暴露する動画を公開した翌日だったと伝えている。この動画は25万回再生された後、「暴力的過激主義」だとしてティックトックにより削除されている。
ニュースボーイズは、グラミー賞に4回ノミネートされた経験があるほか、米国ゴスペル音楽協会(GMA)が主催するドーブ賞では4回の受賞経験がある人気クリスチャンロックバンド。人気を博したキリスト教映画「神は死んだのか」シリーズへの出演でも知られている。
テイト氏は9日現在、公にコメントを発表しておらず、SNSの更新も、ニュースボーイズからの脱退を発表した1月の投稿を最後に途絶えている。