ベストセラーとなり、2014年には映画化された『天国は、ほんとうにある』。その主人公であるコルトン・バーポさんが、臨死体験をしてから22年後の今、メディアのインタビューに応じ、当時の出来事が彼の人生と信仰をどのように形成したのか、また現在の思いについて語った。
2003年、当時まだ3歳だったコルトン君は穿孔(せんこう)虫垂炎で緊急手術を受けた。手術後、コルトン君は幽体離脱を体験。別々の病室で祈る両親や必死で働く医師らを見た後、目の前が突然変わり、天使の歌声に包まれ、イエスに慰められたというのだ。
コルトン君の体験談で最も印象的なのは、天国を訪れ、生まれて間もない妹に会ったことである。父親のトッドさんと母親のソニアさんは共に、流産した妹について、コルトン君に話したことはなかった。
コルトン君は言った。「こんな小さな女の子が駆け寄ってきて、僕にギュッと抱きついてきたんだ」
「後になって、その子は自分が誰なのかを教えてくれたんだ。その子は僕の妹で、自分の家族が天国に来たと大喜びしていたんだ」
コルトン君の家族はこの話に驚いたが、詳細が明らかになるにつれ、それが真実であることを確信するようになった。また、この物語は世界中の何百万人もの人々を魅了し、子どもを亡くして悲しんでいる人々や、死んだ後のことについて不安を感じている人々に慰めをもたらした。
5月に26歳になったばかりのコルトンさんは今、夫であり、父親であり、電気技師であり、賛美担当の牧師でもある。子どもは最近誕生したばかりで、この第一子の誕生により、コルトンさんは信仰と人生の目的に対する視点をより深めている。
「初めての父親になる準備ができたところです」。コルトンさんは、米キリスト教テレビ局「CBN」との最近のインタビュー(英語)でそう語り、幼少期に死に遭遇してからこれまでの人生を振り返った。
コルトンさんは、講演会などで天国の体験を話し続けているが、自身の信仰は、この一度だけの特別な出来事に支えられているわけではないと強調した。
10代の頃の転機を振り返り、神との関係を深め、日常生活の中で信仰を実践するよう召されていると感じた日々を次のように話した。
「高校生の頃、神が私にチャレンジしてきたことを覚えています。『君は、一度だけの体験を頼りにする必要はないんだ。私は君と人生を共にしたい。今日、私は君の人生の一部になりたいのだ』と」
「そこまで到達するのに時間がかかりました。でも、今見て分かるように、私は自分の信仰に真摯(しんし)に向き合っています」
『天国は、ほんとうにある』で一躍有名になったにもかかわらず、コルトンさんは謙虚さと霊的な真実さの重要性についてしばしば語り、地に足を着けた信仰の歩みを続けている。
「信仰は私にとって非常に核心的なものです。私が何をしていようと、イエスに栄光と誉れをささげるために人生を生きていないのであれば、それは真に価値あるものではありません」
コルトンさんは、これまでの道のりを振り返りつつ、信仰は目的地ではなく継続的なプロセスであり、神の導きが今の自己形成に役立っていると話す。
「天国に行って戻ってきたからといって、私が誘惑と罪から解放された天使のような人間だということにはなりません。それとは程遠い状況ですが、感謝なことに、神は私に誠実で忍耐強い方です」
今、父親としての一歩を踏み出し、牧師としての務めも継続中のコルトンさんは、3歳の時の出来事それ自体に加えて、その体験がどのように信仰を深めていく人生の礎となったかを分かち合うことに全力を注いでいる。