フランスのカトリック教会では今年の復活祭(イースター)に、過去20年余りで最多となる1万人以上の成人が洗礼を受けた。昨年比45%の増加で、未成年者を含めると、受洗者は1万7800人を超えた。
フランス・カトリック司教協議会が、復活際前に毎年行っている洗礼(入信)志願者の調査(フランス語)によると、今年の洗礼志願者は、成人が1万384人、11~17歳の未成年者が7400人余りだった。成人の洗礼志願者は、調査を開始した2002年以来最多となった。同協議会は、「洗礼志願者全体に占める若者の割合が増し、今や過半数を占める」として、その特徴を指摘している。
「成人の洗礼志願者のうち、学生や若い社会人から成る18~25歳のグループが42%を占めており、26~40歳のグループを上回っている。また、今年は青少年の洗礼志願者が再び急増している。24年と25年の2年連続で記録がある教区では、33%の増加が認められる」
フランスのカトリック系週刊誌「ファミーユ・クレティエンヌ」(フランス語)は3月初旬、復活祭前の約40日の期間「四旬節(レント)」の始まりを告げる「灰の水曜日」のミサに出席者が急増していることを報じていた。
フランス北部リールのサンユベールト教会で主任司祭を務めるブノワ・ド・シネティ神父は、同誌の取材に次のように語っていた。
「私たちは出席者数の記録を更新しました。私たちが執り行った3つのミサには、これまでよりも多くの信者が集まりました。夜には、(リールの中心的教会である)サンモーリス教会に千人近い信者が集まりましたが、その多くは初めて参加した若者たちでした」
フランスは、カトリック教会との長く複雑な歴史を持つ。何世紀にもわたり、十字軍に多数の兵士を送り、多くの著名な教会を建設するなど、カトリック教会の防波堤としての役割を果たしてきた一方、18世紀のフランス革命以降は、政治や社会においてカトリック教会の影響力を制限する動きをしてきた。
昨年12月には、2019年4月の深刻な火災により内部の大半が焼失し、5年以上にわたり閉鎖されていたパリのノートルダム大聖堂が再開し、国内外の多くの要人たちが記念式典に出席した。フランス政府は、国の象徴である同大聖堂を再建する取り組みに力を入れ、150カ国・地域の約34万人から寄せられた8億8800万ドル(約1270億円)以上の資金が修復に費やされた。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は昨年11月、修復が完成したノートルダム大聖堂の見学会に出席した人々に次のように語っていた。
「皆さんは灰を芸術に変えたのです。ノートルダム大聖堂の炎は国の傷でした。皆さんは、意志、労働、そして献身によって、その傷を癒やしたのです」