バイデン氏、勝利演説で聖書や賛美歌を引用 「米国は今、癒やしの時」

2020年11月9日16時33分 印刷
+バイデン氏、勝利演説で聖書や賛美歌を引用 「米国は今、癒やしの時」
ジョー・バイデン氏=2月15日、米ラスベガスで(写真:Gage Skidmore)

米国の次期大統領候補ジョー・バイデン氏は現地時間7日夜(日本時間8日午前)、地元の東部デラウェア州ウィルミントンで勝利演説(英語)を行い、聖書や賛美歌からも引用しながら国民に一致を呼び掛け、「すべての米国民のための大統領」になることを誓った。

「私は分断ではなく、一致を追い求める大統領になることを誓います。(共和党支持の)赤い州と(民主党支持の)青い州を見るのではなく、(一致した国である)合衆国のみを見る大統領です。全国民の信頼を胸に、皆さんすべての信頼を勝ち取るために、心を込めて働きます。私は、それこそが米国だと信じています。それは国民のためであり、それが私たちの政権が行うすべてのことです」

一方、現職のドナルド・トランプ大統領は敗北を認めておらず、不正な投票があったとして幾つかの州で訴訟を進める構えだ。しかしバイデン氏は演説で、自身の勝利は「明確」であり「圧倒的」なものだと語った。

「今夜、トランプ大統領に投票したすべての人が抱いている失望を私は理解します。私自身も何度も負けましたが、今は互いに機会を与え合いましょう。辛辣なレトリックはしまい、冷静になり、もう一度互いに向き合い、話を聞く時が来たのです。そして前進するためには、相手を敵として扱うのをやめなければなりません。彼らは私たちの敵ではありません。彼らは米国人です。彼らは米国人なのです」

その上でバイデン氏は、旧約聖書のコヘレトの言葉(伝道者の書)を元に、「何事にも時があります。建てる時、刈り取る時、種をまく時、そして癒やす時があるのです。米国は今、癒やしの時です」と続けた。

「この時代の大いなる戦いにおいて、米国民は、良識の力、公正の力、科学の力、希望の力を結集するよう、私たちに呼び掛けています。ウイルスを制御する戦い、繁栄を築く戦い、 家族の健康を守る戦い、人種的正義を成し遂げ制度的な人種差別を根絶する戦いのために」

バイデン氏は、2015年に脳のがんである脳腫瘍のために亡くなったデラウェア州元司法長官の長男ボー氏についても触れた。

「皆さん、私は選挙戦の最後の数日、私と私の家族、特に亡き息子ボーにとって多くの意味を持つ賛美歌について考えました。それは私を支え、米国を支えていると信じている信仰を表しています」。バイデン氏はそう言い、新型コロナウイルスによって愛する人々を亡くした多くの米国人の悲しみに触れつつ、旧約聖書のイザヤ書40章31節をモチーフにした賛美歌「鷲(わし)の翼」の一節を引用した。

彼(神)は鷲の翼に乗せてあなたを導き上げ、夜明けの息吹の上であなたを抱く、太陽のようにあなたを輝かせ、御手の内にあなたを抱く。

「私たちは今、共に鷲の翼に乗り、満たされた心と確かな手、米国また互いに対する信頼、国に対する愛、また正義に対する飢え乾きを持って取り組むよう、神と歴史が私たちに呼び掛けている仕事に乗り出します」。バイデン氏はそう言い、「私たちは、私たちがそうなれると知っている国になろうではありませんか。一致した国、力ある国、癒やしのある国へ」と述べ演説を結んだ。

バイデン氏の勝利演説を受け、米国内のキリスト教指導者や共和党議員も相次いでコメントを発表した。

サミット教会(ノースカロライナ州ダーラム)の牧師で、米最大のプロテスト教派である南部バプテスト連盟(SBC)のジェームズ・デビッド・グリアー議長はツイッター(英語)にコメントを投稿。「バイデン氏と私たちの国のために、私と共に祈ってください。知恵と正義と真実のために祈ってください。私は、彼が正義と正しさをもって導くところにおいて、成功があることを祈ります」と述べた。

SBC倫理宗教自由委員会のラッセル・ムーア委員長は自身のサイト(英語)で、バイデン氏のために祈るよう呼び掛け、「あなたが誰に投票しようと、今こそ国のために、そしてホワイトハウスと両議会で新たに選出された指導者のために祈る時です」と訴えた。

「政府やイデオロギーが私たちにとって偶像となっている場合、危険は常に終末的で実存的なものとなります」とムーア氏。「もし私たちがまず神の国を求めるならば、私たちは神に、私たちの指導者たちから善がもたらされるよう求めることができます。彼らが無責任であれば責任を持つように、また彼らが責任ある行為をするのであれば称賛があるようにと。この世の人々がどうであれ、私たちは、有利になるか不利になるかを初めに考えるのではなく、このような人々のために祈るのです」とつづった。

コーナーストーン・バプテスト教会(テキサス州アーリントン)のドワイト・マッキシック主任牧師はツイッター(英語)に次のように投稿した。「この地が、ウイルス、不義、人種差別、エリート主義、階級主義、性差別、家族の断絶、人命軽視から癒やされますように。それが今起こっている場においても、まだ起こっていない場においても。謙遜と聖性、健康と全体性、そして喜びがこの地に戻りますように。主を神とする国は祝福されるのです」

トランスフォーメーション教会(ノースカロライナ州シャーロット)のダーウィン・L・グレイ主任牧師はツイッター(英語)で、クリスチャンは「メシア的な希望と期待をいずれの大統領にも、民主党にも共和党にも置いてはいけない」と警告。「そうすれば毎回、失望することになるでしょう。時代に流されてはいけません。あなたが虜(とりこ)にされていいのはキリストだけです」と語った。

プレストンウッド・バプテスト教会(テキサス州プラノ)のジャック・グラハム牧師はツイッター(英語)で、「何百万人もの胎児を中絶することを許し、後悔も悔い改めもなく、神の道徳的な法を破り続ける限り、米国が癒やされ得ることはありません」と述べた。

2016年の大統領選でトランプ氏と共和党の指名獲得争いをしたジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事はツイッター(英語)で、バイデン氏の勝利を祝福し、次のように語った。「大人になってからは、大統領のためにずっと祈ってきました。あなたとあなたの成功のために祈ります。今は深い傷を癒やすときです。多くの人が、あなたがこの道を導くことに期待しています」

共和党の大統領候補として2012年の大統領選で戦ったミット・ロムニー上院議員はツイッター(英語)で、「妻アンと私は、次期大統領のジョー・バイデン氏と次期副大統領のカマラ・ハリス氏に祝福の言葉を贈ります。私たちは2人が善意の人であり、称賛に値する人格者であることを知っています。これからの日々、これからの年々において、神が彼らを祝福してくださるよう祈ります」と語った。

しかし、プロライフ(反中絶)団体の「生まれる権利を守る全米委員会」(NRLC)はクリスチャンポストに寄せた声明で、妊娠中絶権擁護全国連盟(NARAL)や全米最大の中絶事業体である全米家族計画連盟(PPFA)が、バイデンとハリスの両氏を支持していることを指摘し次のように問題視している。

「ジョー・バイデン前副大統領を支持する発表の中で、NARALは、バイデン・ハリス政権が中絶への『アクセスを拡大』するだろうと指摘しています。バイデン氏は中絶大統領になるでしょう。彼はオンデマンドで可能な中絶を推進し、プロライフの法律や政策を覆すことを公約に挙げています」

民主党内でのプロライフ運動を推進する非営利団体「米国の命のための民主党員」(DFLA)のクリステン・デイ事務局長は、バイデン氏の勝利について「決して中絶規制やハイド修正条項を撤廃するような極端な中絶政策を受け入れることを強制するものではない」と言う。

「民主党は、バイデン氏の経歴と人間性に十分な信頼を寄せた有権者が、プロライフの立場にもかかわらず投票してくれたことに感謝し、配慮すべきです。民主党はまた、極端な中絶(推進)の立場が、特に南米や中米の議会、また投票数の少ない選挙戦でマイナスの影響を与えたことに留意すべきです」とデイ氏は言い、大統領選と同時に行われた連邦議会選では、DFLAが支持したプロライフの立場の議員81人が当選したことに言及した。

※この記事はクリスチャンポストの記事を日本向けに翻訳・編集したものです。一部、加筆・省略など、変更している部分があります。

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