ベイルート爆発で現地教会も大被害 壁崩れ、窓吹き飛びガラス散乱

2020年8月6日17時40分 記者 : 井手北斗 印刷
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扉が吹き飛んだ聖ゲオルギオス大聖堂内の様子(写真:同大聖堂のフェイスブックより)

レバノンの首都ベイルートの港で4日、大規模な爆発が起こった。米ニューヨーク・タイムズ紙の報道(5日付、英語)によると、これまでに少なくとも135人が死亡、約5千人が負傷した。爆発後に撮影された衛星写真からは、付近の建造物が吹き飛ばされて跡形もなくなり、更地となってしまった様子が確認できる。75万人が住む爆心地から3キロ以内の地域には、建造物の破片などが飛来し、住宅や車などを破壊。レバノン国内の穀物の85パーセントを貯蔵する穀物サイロも被害を受け、残った穀物も食べられる状態ではないという。爆発による振動は、マグニチュード3・3の地震に相当する規模だった。

レバノンのデイリー・スター・レバノン紙(英語)などによると、レバノン政府は5日、2週間の緊急事態宣言を発令。旧宗主国であるフランスのエマニュエル・マクロン大統領は6日、ベイルートを訪問し、フランスからレスキュー隊員55人を派遣するほか、25トンの衛生用品、医療機器、移動式診療所など500人分の治療が可能な設備を航空機3機分輸送することを決定した。米国もマイク・ポンペオ国務長官がレバノンへの緊急支援を発表。その他の国々も支援に乗り出している。

ベイルート最古のキリスト教の会堂で観光スポットにもなっているアンティオキア正教会(アンティオキア総主教庁)の聖ゲオルギオス大聖堂も爆発の被害を受けた。5日には、大聖堂の扉が吹き飛び、木片やガラス片が散乱した聖堂内の写真をフェイスブックに投稿。2200人以上がシェアし、被災者のために祈るコメントなどが200件以上寄せられた。

ベイルート爆発で現地教会も大被害 壁崩れ、窓吹き飛びガラス散乱
木片やガラス片が散乱した聖ゲオルギオス大聖堂内の様子(写真:同上)

米ニュージャージー州のアンティオキア正教会北米大主教座は5日、ウェブサイト(英語)にメッセージを掲載。「今、世界中でレバノンの首都ベイルートの上空に昇るキノコ雲の動画が見られています。8月4日の爆発のことです。人々は恐怖に逃げ惑い、家屋は破壊され、多くの人の命が絶たれ、また人生が崩壊しました。ベイルートのセントジョージ病院は無力で暗闇の中で被災者の手当てをしています」と伝えた。同大主教座のジョセフ府主教も4日に公開書簡(英語)を出しており、次のように述べている。

「ベイルートの恐ろしい爆発のことを知り、自分にとってそれは強い衝撃と畏怖でした。私はすぐにベイルート大主教区に連絡し、エリアス府主教と主教や大主教区の信徒たち、またベイルートの諸教会の安否を確認しました。神に感謝します。府主教は被害を受けておらず、主教たちも皆無事でした。しかし大主教区の本部、諸教会、またセントジョージ病院においては同じように言うことはできません。私たちの教会と機関の多くが、また主教や信徒の住居の多くが破壊的な被害を受けました」

ジョセフ府主教は、レバノンが経済的に危機的な状況にあることを挙げ、少額であっても可能な限り献金に協力してほしいと呼び掛け、「どうか、私たちの大主教区と悲劇的なレバノンの爆発の被災者たち、世界中で苦しみ、必要のある人々のことを祈りに覚えてください」と訴えた。

アンティオキア総主教庁はウェブサイト(アラビア語)などで4日、総主教イオアン10世がベイルートのエリアス府主教に連絡し、府主教から市内の教会や諸団体の被害状況について知らせを受けたと発表した。エリアス府主教は病を負った人々の癒やしや、死者が安らかに眠りに着くこと、遺族らの慰め、被害を受けたすべての人々のために祈りを要請した。

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イエズス会難民サービス(JRS)のベイルート事務所内の様子(写真:ジェームス・マーティン司祭のツイッターより)

ベイルートにも事務所がある「イエズス会難民サービス」(JRS)の米国支部は5日、ウェブサイト(英語)で、ベイルートとレバノンの人々との連帯を表明し、ベイルートの難民支援のための献金を呼び掛けた。ベイルートにあるJRS事務所は被害を受けたものの、スタッフは皆無事だったという。JRSは継続してベイルートの難民に寄り添い、彼らの必要に応えていくとし、家族や友人を失った人々のために祈りを呼び掛けた。

イエズス会のジェームス・マーティン司祭は6日、ベイルートのJRS事務所から送られてきた写真をツイッター(英語)に投稿。ほとんどの窓が割れた教会、扉が外れ、ガラスや椅子が散乱したJRS事務所内の様子を伝え、支援を呼び掛けた。

ベイルート爆発で現地教会も大被害 壁崩れ、窓吹き飛びガラス散乱
会堂の壁が崩れたシティーバイブル教会内部の様子(写真:同教会のマルワン・アボウルゼロフ牧師のツイッターより)

爆心地から歩いて数分の距離には、福音派のシティーバイブル教会もあった。同教会のマルワン・アボウルゼロフ牧師は6日、ツイッター(英語)で教会の被害を報告。壁が崩れ、窓が吹き飛び、天井の部材が落ち、散乱した教会内部の様子を伝えた。アボウルゼロフ牧師は「被害は大きなものでした。これが礼拝中に起きなかったことにとても感謝しています」と述べ、「この町を助けるにはたくさんの働きが必要になります。私たちのために、これから町のために仕える人たちのために祈ってください」と呼び掛けた(関連記事:「共に祈ってください」 ベイルート爆発、爆心地に最も近い教会の牧師が祈り呼び掛け)。

■ アボウルゼロフ牧師が破壊された教会内で被害を説明する動画(英語)

米国務省の「信仰の自由に関する国際報告書」(2019年版、英語)によると、レバノンのキリスト教人口は32・4パーセント。そのうち、東方典礼カトリック教会の一派であるマロン典礼カトリック教会が最も多くを占め、次にギリシア正教が多いとされているが、メルキト・ギリシャ典礼カトリック教会、アルメニア正教、アルメニア典礼カトリック教会、シリア正教、シリア典礼カトリック教会、アッシリア東方教会、カルデア典礼カトリック教会、コプト正教、カトリック教会、プロテスタント各派も存在している。

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