ナッシュビルからの愛に触れられて(姉妹編)チャリティ・ロックハート(3) 青木保憲

2020年5月15日21時12分 コラムニスト : 青木保憲 印刷
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チャリティ・ロックハートさんとピアニストのドリーン・アイビーさんとのコラボ

2013年以来、毎年日本に来られ、京都祇園のクラブでの仕事の傍ら、日曜日は常にどこにでも駆けつけてくれ、素晴らしいパフォーマンスを披露してくれたチャリティ・ロックハートさん。彼女の「ものすごい」ステージは言うまでもないが、常に苦慮していたのは奏楽者の問題であった。

毎回、誰かに奏楽をお願いし、その度ごとにコンサートに関わるすべてのことの打ち合わせを行わなければならない。かなりこの作業は大変なものであった。何しろ、まず楽曲を決め、それに合わせて楽譜を用意し、ピアニストとのリハ、それからクワイアとのリハ、それが必要になってくる。そのすべてを私が取り仕切ることになった(というか、私しか他にいないので・・・)。

会場となるロケーションも転々とした。京都の結婚式場から伝統的なキリスト教会のチャペル、そして学校施設でもコンサートを行うことがしばしばであった。それはそれで確かに楽しく、エキサイティングな機会となる。だが、継続的に積み上げられていく、という感覚はなかった。これは何とかしなければならない。そんな思いが毎年、回を重ねるごとに私の心に押し迫ってきていたのであった。

もうこの頃には、JAG(Japan Association for Gospels)は立ち上がっており、毎年彼女の来日を楽しみにしているファンの方も付き始めていた。奏楽者と場所の問題、これを何とか解決しなければ、と真剣に思うようになっていった。

2017年7月、まず奏楽者の問題が日の目を見た。以前、クリスチャントゥデイでも紹介したピアニストのドリーン・アイビーさん(関連記事はこちら)が来日したことである。彼はこの時の体験が忘れられず、何と翌年には日本への永住を決めて、(勝手に!)やってきてしまったのであった!

初来日となるアイビーさんとチャリティさんとのコラボは、京都の伝統的なミッション・スクールの一つであり、100年以上の歴史を持つ平安女学院、そして付属のアグネスチャペルで実現した。この時のコンサートは伝説になったと言っても過言ではない。

毎回そうだが、チケットは料金を取らない。その代わり、コンサート終了後に彼らのためにカンパ(自由献金ともいう)をお願いしている。つまり「完全出来高投げ銭制度」なのである。だから、誰がどれくらいやってくるかについては、文字通り「神のみぞ知る」の世界である。そして神を信頼する私たちは、当然この条件でコンサートを行うことをよしとしてきた。

その日は朝からとても蒸し暑い日であり、午後5時開場を予定していた。中に入っていくと、各席に教会案内やチラシがすでに並べられてあった。「これだけ人がやってくる、と期待しているのか」と思うと、毎回だが胃のあたりがキュッとなる。特にこの会場は、単に「コンサートをしたい」と言ってもなかなか許してもらえない「敷居の高い」場所である。一体どれだけの方が来られるのだろうか?

しかしこの不安は全くの杞憂であった。4時前から、人が続々と並び始め、その列は100メートルを超え始めたのである。その時点で、皆さんをこのまま1時間も外で待たせることはできないと判断し、急きょリハ中にもかかわらず、入り口を開放したのである。続々と中に入ってくる方々。アグネスチャペルの牧師先生にお伺いしたところ「全く知らない方々がほとんど」ということだった。

そしてなんと開始時間の1時間弱前には、250〜300席がすべて埋まってしまったのであった。さらにコンサート自体は、3時間近くに及ぶ一大コンサートとなった。そのハイライトは、チャリティさんとアイビーさんとのコラボであった。

チャリティさんは「私たちはペンテコステ教会で生まれ育ってきました。毎週、こんなスタイルの礼拝を3時間から4時間やるんです」と言い、いきなりブラックゴスペルのリズムを取り始めたのだった。それに見事に対応していくアイビーさんのピアノ。そこに生み出された雰囲気は、まるで螺旋階段をするすると上り詰めていくような、そんな高揚感と、私たちが手拍子するだけでは追い付かない、2人だけの独特のリズム(少なくとも私にはそう感じられた)によって、熱いものが聴衆の胸の中に込み上げてくる不思議な感覚が共存するようになっていったのである。

その夜の「投げ銭」が、史上最高金額を記録したことは言うまでもない。

さて、この時以来、チャリティさんは常にアイビーさんを伴奏者に指名するようになった。そして2018年の時もそうだが、彼女の求めにアイビーさんは気軽に応じてくれた。

2019年、私が大阪八尾のグレース宣教会にお世話になるようになり、その7月にまたチャリティさんをお呼びすることになった。その当時、アイビーさんは姫路に居を構えておられたが、このコンサートに飛び入り参加し、上述したような「ペンテコステスタイル」を2人で醸し出すことで、一気に人々の耳目を集めることとなった。その後、アイビーさんはグレース宣教会の音楽宣教師となり、現在に至っている。

そして2020年、前回もそのことに触れたが、再来日を計画していたチャリティさんだったがコロナウイルスの影響で延期となってしまった。しかし彼女は、日本のゴスペルクワイアとのコラボを心から願っており、ついにユーチューブでオンラインクワイア指導動画を作成し、毎週配信を始めている。こちらがその動画である。

またアイビーさんも自身のユーチューブサイトを開始し、「ピアノサロンon the web」と命名し、全国各地からリクエストを募集している。サイトはこちら

このように、ナッシュビル以外の米国友人たちとも交流が広がり、現在に至っている。次回は再びナッシュビルの話題に戻り、JAGのその後の歩みを詳述してみたい。

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青木保憲

青木保憲(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院を卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科卒(修士)、同志社大学大学院神学研究科卒(神学博士、2011年)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(2012年、明石書店)。

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