地域に仕えた人格者だが「人工呼吸器譲って死亡」は間違い 友人神父らが真相語る

2020年3月26日17時17分 記者 : 井手北斗 印刷
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ジュゼッペ・ベラルデッリ神父(写真:カズニーゴ礼拝堂のフェイスブックより)

新型コロナウイルスの感染被害が深刻なイタリア北部ロンバルディア州で、カトリック司祭のジュゼッペ・ベラルデッリ神父(72)が15日、感染により死亡した。信徒や地域から広く愛された神父で、その最期については、信徒たちが購入した人工呼吸器を若い人に譲って亡くなったなどと伝えられた。この話は、英公共放送BBCも報道し、日本でもツイッターでトレンド入りするなど大きな反響を呼んだ。しかし、長年親交のあった神父や信徒によると、確かにベラルデッリ神父は地域に仕え、人々から愛された人格者ではあったが、最期に関する話は事実ではないという。

ベラルデッリ神父が担任した教会で聖具管理係を務め、16年来の友人であるジュゼッペ・フォレスティさんが、カトリックメディア「クラックス」(英語)に語ったところによると、ベラルデッリ神父は人工呼吸器を装着されたときにはすでに容態が悪化しており、人工呼吸器に耐えることができず、使用を拒否したのだという。

クラックスは、ベラルデッリ神父が亡くなった病院に問い合わせたが、プライバシーの関係から死の詳細について情報は得ることができなかった。また報道では、人工呼吸器を譲って亡くなったという話は、同州カズニーゴの聖ヨセフ老人ホームの医療従事者の話による、として伝えられていたが、クラックスが老人ホームで働く2人に確認しても、共に詳細は知らず、知っていたのは報道された内容だけだったという。

一方、フォレスティさんは、この報道について「フェイクニュース」ではなく、「半分フェイクニュース」だと言い、ベラルデッリ神父が地域から尊敬された人格者であったことを語った。「ベラルデッリ神父は特別な人だと言えます。彼はこの地域全体のために自分を犠牲にした人です」「ベラルデッリ神父は賜物の人であり、偉大な信仰の人でした」。フォレスティさんはそう言い、ベラルデッリ神父の人徳をたたえた。

ベラルデッリ神父と20年来の友人であるジュリオ・デッラビーテ神父は、カトリック系の「CNA通信」(英語)の取材に対し、ベラルデッリ神父は機会があれば集中治療室の自分の場所を若い人に譲っただろうと話しつつ、「しかし、実際何があったかははっきり言えないのです。幾人かのジャーナリストは、彼のために購入された人工呼吸器があり、それを他の人に譲ったと書きましたが、そういうわけではないのです」と語った。

CNA通信によると、ベラルデッリ神父の最期にまつわる話は、同州クルゾーネの地元紙「アラベララ」(イタリア語)が22日に伝え、翌23日に拡散した。CNA通信も、聖ヨセフ老人ホームで働く女性に取材しているが、ベラルデッリ神父は老人ホームではなく病院で亡くなっていることから、女性は、他のスタッフも神父の最期については知らないのではないかと語った。またこの女性は、ベラルデッリ神父の教会の信徒でもあるが、信徒たちはこの数週間、新型コロナウイルスのため隔離状態にあり、人工呼吸器のための募金呼び掛けも聞いたことがないと語った。

アラベララ紙によると、ベラルデッリ神父は1947年8月21日、同州フォンテーノで生まれた。1973年に司祭に叙階され、幾つかの任地を経て、2006年から同州カズニーゴで主席司祭を務めていた。新しい任地に移った後も、神父を探して前の教会の信徒たちが訪ねてきて助けを求めるほど愛されていたという。

ベラルデッリ神父が長年司祭を務めた同州フィオラーノ・アル・セーリオのクララ・ポリ元市長は、「彼はどんな人の話でも聞いてくれる司祭でした。彼はどのように傾聴するか分かっている人でした。誰であったとしても彼なら助けてくれると頼ることができたのです」と、アラベララ紙の取材に語っている。

健康上の問題を抱えつつも、笑顔で地域の人々のために最期まで職務を果たしたベラルッデリ神父。感染拡大を防止するため、葬儀は行われなかったが、亡くなった翌16日正午には、地域の人々が家のベランダからベラルデッリ神父に拍手を送って追悼したという。

クラックスによると、イタリアではベラルデッリ神父を含め、これまで約60人の司祭が新型コロナウイルスの感染により死亡している。

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