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太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯

太平洋の橋―新渡戸稲造の生涯(6)台湾の復興を助ける

2019年11月20日13時43分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:新渡戸稲造

アメリカで静養するうちに、新渡戸は一つの著述を手がけることにした。10年前にベルギーの高名な学者ドゥプレー博士が日本の教育について質問し、「宗教教育を施さずして、道徳教育をどうやって行えるのか?」と尋ねたことがあったが、それ以来彼は、日本人の人格、家庭、社会生活を導いてきた優れた思想とは何か――を模索しながら、頭の中で一つの論理を組み立ててきたのだった。

新渡戸は、世界の人々に堂々と語れる日本の道徳について考え、それを「武士道」に求めた。武士道とは戦争をしたり、争ったりすることではなく、武士の心意気というものは極めて高い倫理性を持っていることを語った。つまり愛国心や、自分が仕える者に対する忠誠心、そして絶えず学び、道を極める探究心などである。

これは西欧のあらゆる哲学に優るとも劣らないものであることを彼は説明したのだった。彼は、この武士の倫理がキリスト教精神によって高められ、犠牲と奉仕、忠誠心などの形をとって道徳の手本となるべきことを説いた。

これが1900(明治33)年、アメリカで『Bushido』として出版されると、たちまち10版を重ねた。しかも、ドイツ語、フランス語、中国語などに翻訳された。この書は、平和主義者であるクエーカー派の日本人クリスチャンが書いたたぐいまれな道徳の書であるとして世界中が注目した。

それとともに「イナゾウ・ニトベ」の名も知らぬ者がないほど有名になったのだった。アメリカのルーズベルト大統領は感動し、親戚や知人にこの書を贈ったといわれる。

1901(明治34)年、帰国した彼を待っていたのは台湾総督府の民政長官である後藤新平からの手紙だった。

拝啓。私どもは台湾の開発にあたり四苦八苦しております。台湾は財政的に赤字続きで治安も悪化しております。土匪(どひ、抗日ゲリラ)の勢力が強く、町は荒れ、前任の総督たちはこれを治めきれずにおります。少し歩けば道路も狭く、汚水があふれ出し、アヘン吸引者たちがあちこちにたむろしている状態です。

児玉源太郎総督も頭を悩まし、われわれは相談し、台湾を復興させるには伝統的な産業である製糖業を台湾の経済の中心に据えるのが一番の得策という考えにたどり着いた次第です。

それには有能な人材を確保する必要があり、日本で最初の農学博士号をとった新渡戸稲造博士が最も適切であるということで意見が一致いたしました。つきましては、ぜひこの書状に目を通され、私どもに協力していただきたくお願い申し上げます。

後藤新平

新渡戸は、行政官になるつもりなどなかったので「自分の使命は青年や婦人に対する教育に身をささげることで、そのお話は他のふさわしい方にお願いしてください」と丁寧に断りの手紙を出した。しかし、児玉源太郎と後藤新平は諦めることなく再三説得の手紙をよこし、「台湾を見捨てないでください」とまで言ってきた。

「そうだ。教育だけが奉仕ではない。窮乏する台湾の事業を支え、復興を助けることも神のみこころかもしれない」。そう思い直した彼は、招聘(しょうへい)に応じることにした。そして1902(明治35)年、新渡戸は台湾総督府技師としてジャワ、フィリピン、オーストラリアなどを視察した後、総督府糖務局長に就任して製糖事業に身を投じることになった。

彼は、役人として労働者に仕事を与えたり、監督したりするだけでなく、自ら畑に出て現地の労働者と一緒に汗水たらして働いたのである。ある日、労働者の一人がこう言った。「わたしらの国は弱いから、強い日本の植民地になったんですね。日本で一番偉い人は誰ですか?」

すると、新渡戸は片手を彼の肩にかけて言うのだった。「日本でも世界でも、一番偉い人なんていないよ。人は偉くなりたいと思ったら、人のために奉仕しなくちゃいけないのさ」

新渡戸は台北に農事試験場を作り、台湾国内にいるサトウキビ栽培に経験の深い古老を招き、共同で品種改良を行った。そしてまた、ハワイからサトウキビの良種を購入して改良を続けた結果、非常な実績を上げた。こうして台湾は世界的な砂糖の産地となったのである。

*

<あとがき>

武士道に宗教的な意味を定義づけたのは、恐らく新渡戸稲造が初めてではないかと思われます。とてもユニークな発想です。心身共に疲労し、アメリカで療養中であった新渡戸は、日本においても世界においても堂々と誇れるような道徳はないものかと模索した末に、この武士道の中にそれを見いだしたのです。

彼は、武士の心意気というものを高く評価し、それは刀を振り回したり、殺生を繰り返すようなものではなく、もっと高い精神に裏打ちされたものであることを述べました。そして、それはキリスト教精神によって高められ、犠牲や奉仕、忠誠という形をとって道徳の手本となるべきものだと強調したのです。この著書『Bushido』は世界的に高く評価されました。

帰国した彼を待っていたのは、台湾総督府からの招聘でした。彼は総務局糖務局長に就任し、製糖事業に身を投じました。そして間もなく、台湾は世界的な砂糖の産地として復興を遂げたのです。

(※これは史実に基づき、多少のフィクションが加えられた伝記小説です。)
(記事一覧ページの画像:新渡戸記念館提供)

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:新渡戸稲造
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