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孤児の父―ハインリッヒ・ペスタロッチの生涯

孤児の父―ハインリッヒ・ペスタロッチの生涯(3)民衆の幸せのために

2019年3月20日22時16分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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ハインリッヒ・ペスタロッチは、小学校で初等教育を受けた後、ラテン語学校スコラ・カロリーナを経て、1761年から3年間コレギウム・フマニタスという大学の哲学クラスに通った。その頃一家はミュンスター通り23番地の「赤格子の家」に住居を移していた。

その後、彼は1763年にコレギウム・カロリヌム(チューリッヒ大学の前身)に入学した。しかしながら、彼の成績にはムラがあってかんばしくなかった。この頃になると、彼の性格の中でも極端な「不注意」という欠点が顔を出すようになり、一生涯つきまとって彼を苦しめた。

「私は最も優れた学生の一人でありながら、どんな劣った学生でさえやらないような過ちを、考えられない思慮不足からやってしまうのでした」と彼は後に回想の中で書いている。

だが、彼はこの大学で3人の優れた教授と出会った。ヨハン・ヤーコブ・ボートマー、ヨハン・ヤーコブ・ブライティンガー、そしてヨハン・ヤーコブ・シュタインブリェッヒェルである。中でも彼はボートマー教授の授業に夢中になり、やがて熱狂的に引かれるようになった。

ペスタロッチは、愛国心をかき立てられたのみならず、社会を改革し、民衆に幸せをもたらすために自分のすべてをささげようという理想の火を胸に燃やしていた。ボートマー教授は、ただ机の上の学問ではなく、その目を広く社会に向け、その知識を民衆のために役立てるべきことを学生に教えたのであった。

それから間もなく、ペスタロッチはコレギウム・カロリヌムを中退してしまった。彼は貧しい人々を救済するために直接奉仕をしたいという思いでじっとしていられなくなったのである。

彼が崇拝するボートマー教授は、「ゲルヴェ・ヘルヴェチア協会」という社会改革を目的とする政治結社を創立したばかりであったので、ペスタロッチは活動の足がかりを求めてここに入会した。1764年5月9日のことであった。

ヘルヴェチア協会はリマト河に面して立つ市庁舎のやや下手にあるゲルヴェ館(皮なめし業者の組合)を本拠地としていた。会員はすべてボートマー教授に心酔する学生たちで成り立っていた。

ボートマー教授は、何よりもルソーの著書『エミール』と『社会契約論』についての解説を熱っぽく語った。そして、それから間もなく、教授を中心として「社会研究会」が週1回開かれ、ここで社会の矛盾と不平等をいかに解決すべきか、また社会の片隅で泣く生活困窮者たちをいかに救済すべきかなどが熱心に討議された。この研究会でペスタロッチは、ヨハン・コンラート・ラーファーター、ヨハン・ハインリッヒ・フェースリ、そしてヨハン・ガスパール・ブルンチュリなど生涯の友人を得た。

ペスタロッチは、一同の熱意に触発されてペンを取り、「アギス」という小論文を書いて研究会で発表した。これは大いに歓迎され、自信を得た彼は1766年にヘルヴェチア協会の週刊誌「警醒者」に「希望」を投稿し、掲載された。

実はこの時、すでにペスタロッチの胸にはある決意が生まれていたのである。それは、ヘンク村で目にしたような悲惨な農民たちの生活を向上させるためにもっと勉強を積み、いつの日にか彼らに奉仕をしたいという強い思いであった。

しかしながら翌年1767年。ペスタロッチはある事件に巻き込まれ、その政治活動の機会を失うことになったのだった。少し前に、友人のラーファーターとフュースリは「被圧迫者の擁護および不正の処罰のための連盟」を立ち上げ、政府から目をつけられていた。彼らは、代官グレーベルに対する不正を告発し、調査するように政府に迫った。しかし、2人は逆に厳しい懲戒処分に処せられたのだった。

そして1766年12月。同じく協会の友人H・ミュラーの「農民会話事件」が起こる。これは、チューリッヒの軍隊がジュネーブに向かって侵攻を企てた際に農民の多くが反対し、ある農民が「もしそんなことになるなら、ジュネーブに向かって一歩を踏み出す前にこの体をずたずたに引き裂かれたほうがましだ。おれは行かないぞ」と話していたのをミュラーが文章にまとめて研究会で発表しようとした。

しかし、それ以前になぜかこの文章が公の目にさらされることになり、ミュラーは逮捕された。ペスタロッチも仲間と見なされて捕らえられ、1967年1月28日から3月1日まで拘留された。そして、裁判でミュラーは聖職者の地位をはく奪された上、終身国外追放の処分を受けたのであった。この事件は、ペスタロッチの生涯に暗い影を落とすものであった。

*

<あとがき>

ペスタロッチは、ラテン語学校を経て、「コレギウム・カロリヌム」に入学します。しかし、この有名な大学に籍を置きながらも、持ち前の並外れた不注意という欠点のために成績が悪く、ある教授は彼がわざと不真面目な態度をとっていると誤解をし、ことさら厳しい扱いをするのでした。

しかし、ペスタロッチはここでヤーコブ・ボートマーという優れた教授と出会います。この教授は貧困に苦しむ下層階級の者たちのことを常に心にかけ、「学問というものは机の上だけのものではなく、その知識を社会改良のために役立てるべきだ」と学生たちに教えており、ペスタロッチは大きな感化を受けます。

彼はヘンク村で見た惨めな農民の姿が心に焼きついて離れず、やがてこの大学を中退して、ボートマー教授の創設した「ゲルヴェ・ヘルヴェチア協会」という政治結社に入会します。そこで、生涯親交を続けることになる数人の友人と出会い、彼らと共に社会運動にのめり込んでいくのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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