Skip to main content
2025年6月16日19時18分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
孤児の父―ハインリッヒ・ペスタロッチの生涯

孤児の父―ハインリッヒ・ペスタロッチの生涯(3)民衆の幸せのために

2019年3月20日22時16分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷

ハインリッヒ・ペスタロッチは、小学校で初等教育を受けた後、ラテン語学校スコラ・カロリーナを経て、1761年から3年間コレギウム・フマニタスという大学の哲学クラスに通った。その頃一家はミュンスター通り23番地の「赤格子の家」に住居を移していた。

その後、彼は1763年にコレギウム・カロリヌム(チューリッヒ大学の前身)に入学した。しかしながら、彼の成績にはムラがあってかんばしくなかった。この頃になると、彼の性格の中でも極端な「不注意」という欠点が顔を出すようになり、一生涯つきまとって彼を苦しめた。

「私は最も優れた学生の一人でありながら、どんな劣った学生でさえやらないような過ちを、考えられない思慮不足からやってしまうのでした」と彼は後に回想の中で書いている。

だが、彼はこの大学で3人の優れた教授と出会った。ヨハン・ヤーコブ・ボートマー、ヨハン・ヤーコブ・ブライティンガー、そしてヨハン・ヤーコブ・シュタインブリェッヒェルである。中でも彼はボートマー教授の授業に夢中になり、やがて熱狂的に引かれるようになった。

ペスタロッチは、愛国心をかき立てられたのみならず、社会を改革し、民衆に幸せをもたらすために自分のすべてをささげようという理想の火を胸に燃やしていた。ボートマー教授は、ただ机の上の学問ではなく、その目を広く社会に向け、その知識を民衆のために役立てるべきことを学生に教えたのであった。

それから間もなく、ペスタロッチはコレギウム・カロリヌムを中退してしまった。彼は貧しい人々を救済するために直接奉仕をしたいという思いでじっとしていられなくなったのである。

彼が崇拝するボートマー教授は、「ゲルヴェ・ヘルヴェチア協会」という社会改革を目的とする政治結社を創立したばかりであったので、ペスタロッチは活動の足がかりを求めてここに入会した。1764年5月9日のことであった。

ヘルヴェチア協会はリマト河に面して立つ市庁舎のやや下手にあるゲルヴェ館(皮なめし業者の組合)を本拠地としていた。会員はすべてボートマー教授に心酔する学生たちで成り立っていた。

ボートマー教授は、何よりもルソーの著書『エミール』と『社会契約論』についての解説を熱っぽく語った。そして、それから間もなく、教授を中心として「社会研究会」が週1回開かれ、ここで社会の矛盾と不平等をいかに解決すべきか、また社会の片隅で泣く生活困窮者たちをいかに救済すべきかなどが熱心に討議された。この研究会でペスタロッチは、ヨハン・コンラート・ラーファーター、ヨハン・ハインリッヒ・フェースリ、そしてヨハン・ガスパール・ブルンチュリなど生涯の友人を得た。

ペスタロッチは、一同の熱意に触発されてペンを取り、「アギス」という小論文を書いて研究会で発表した。これは大いに歓迎され、自信を得た彼は1766年にヘルヴェチア協会の週刊誌「警醒者」に「希望」を投稿し、掲載された。

実はこの時、すでにペスタロッチの胸にはある決意が生まれていたのである。それは、ヘンク村で目にしたような悲惨な農民たちの生活を向上させるためにもっと勉強を積み、いつの日にか彼らに奉仕をしたいという強い思いであった。

しかしながら翌年1767年。ペスタロッチはある事件に巻き込まれ、その政治活動の機会を失うことになったのだった。少し前に、友人のラーファーターとフュースリは「被圧迫者の擁護および不正の処罰のための連盟」を立ち上げ、政府から目をつけられていた。彼らは、代官グレーベルに対する不正を告発し、調査するように政府に迫った。しかし、2人は逆に厳しい懲戒処分に処せられたのだった。

そして1766年12月。同じく協会の友人H・ミュラーの「農民会話事件」が起こる。これは、チューリッヒの軍隊がジュネーブに向かって侵攻を企てた際に農民の多くが反対し、ある農民が「もしそんなことになるなら、ジュネーブに向かって一歩を踏み出す前にこの体をずたずたに引き裂かれたほうがましだ。おれは行かないぞ」と話していたのをミュラーが文章にまとめて研究会で発表しようとした。

しかし、それ以前になぜかこの文章が公の目にさらされることになり、ミュラーは逮捕された。ペスタロッチも仲間と見なされて捕らえられ、1967年1月28日から3月1日まで拘留された。そして、裁判でミュラーは聖職者の地位をはく奪された上、終身国外追放の処分を受けたのであった。この事件は、ペスタロッチの生涯に暗い影を落とすものであった。

*

<あとがき>

ペスタロッチは、ラテン語学校を経て、「コレギウム・カロリヌム」に入学します。しかし、この有名な大学に籍を置きながらも、持ち前の並外れた不注意という欠点のために成績が悪く、ある教授は彼がわざと不真面目な態度をとっていると誤解をし、ことさら厳しい扱いをするのでした。

しかし、ペスタロッチはここでヤーコブ・ボートマーという優れた教授と出会います。この教授は貧困に苦しむ下層階級の者たちのことを常に心にかけ、「学問というものは机の上だけのものではなく、その知識を社会改良のために役立てるべきだ」と学生たちに教えており、ペスタロッチは大きな感化を受けます。

彼はヘンク村で見た惨めな農民の姿が心に焼きついて離れず、やがてこの大学を中退して、ボートマー教授の創設した「ゲルヴェ・ヘルヴェチア協会」という政治結社に入会します。そこで、生涯親交を続けることになる数人の友人と出会い、彼らと共に社会運動にのめり込んでいくのでした。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
  • ツイート

関連記事

  • ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(1)プロローグ―漂流する聖書

  • 戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(1)叫び求める声

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 花嫁(27)絶えず喜んでいなさい 星野ひかり

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.