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新日本語訳聖書記念連載

ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(18)「主われを愛す」

2018年12月19日18時25分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン

ヘボンが各教派の宣教師たちと聖書翻訳に心血を注いでいる頃、宣教師の妻たちは日本人の子どもたちを集め、子どものための聖書教育を行っていた。クララはすでに塾を開いて英語を教える傍ら、彼らに聖書の話をしたり、アメリカで覚えてきた賛美歌を一緒に歌ったりしていたが、そのうちミス・キダーが来日すると、彼女を中心として「日曜学校」が誕生した。

この日曜学校は大変な評判を呼び、各地から子どもたちがやってきた。欧米では、貧しい家の子どもたちを集めてすでに「日曜学校」が開かれており、その歴史は50年を超えていたが、日本ではこれが初めてであった。

クリスマスには、クララやミス・キダー、ブラウン夫人エリザベスなどを中心として、子どもたちが集まり、歌ったり、劇をしたりしたので、やがて彼らの親たちも教会に顔を見せるようになった。

日曜学校が喜ばれた一因には、賛美歌があった。日本の子どもたちが初めて覚えたのは「主われを愛す」(Jesus Loves Me)だった。彼らは友達や家族と合唱することがなく、またそれに適した歌もなかったので、賛美歌の合唱には大喜びで、オルガンに合わせて大声で歌った。

リフレインの所に来ると、子どもだけでなく大人も大声を上げて歌うのだった。実に、日曜学校が日本中にめざましい勢いで広がっていったのは、この賛美歌の力が大きかったのである。

賛美歌は、初めのうちはクララやミス・キダーが教えていたが、そのうち思いがけない指導者が現れた。奥野昌綱である。彼は洗礼を受けてからは、聖書翻訳の助手を務める傍ら、教会の働きにも熱心になっていた。彼は日曜学校を手伝っていたとき、Jesus Loves Me という賛美歌を聞き、心にひらめくものがあった。

(この素晴らしい賛美歌を、誰もが歌える日本語に訳し、大人も子どもも歌うことができないだろうか?)

この賛美歌は、来日した宣教師ジュリア・クロスビーがすでに片言の日本語で子どもたちに歌わせていた。奥野はその訳を日夜検討し、ようやく次のように改めた。

「イエスわれを愛す、聖書にぞ示す。帰すれば子どもたち、弱きも強い。ああ、イエス愛す。ああ、イエス愛す。ああ、イエス愛す。聖書に示す」

この訳はすべての人に歓迎された。

奥野が初めてヘボン家に来たときのことを、夫妻はなつかしく思い起こした。彼は整った顔立ちをして礼儀正しかったが、やせ細り、顔色が悪かった。彼は多くの悩みを抱えており、焦燥と絶望に打ちひしがれていたのである。

聞いてみると、妻子を他人に預けてきており、仕事も休む家もないのだという。彼は武士の出だったが、戦争に破れ、船も難破して一切を失い、失意のどん底にいたとき、ある人の話を聞いてヘボンを訪ねてきたのだった。ヘボン夫妻は彼を自宅に住まわせ、食事の世話をし、ヘボンの仕事の清書をしてもらうことにした。

奥野はヘボンの『和英語林集成』の再校の校正を助け、福音書の版下書きを手伝ううち、ヘボンの人格に心打たれ、翻訳に心血を注ぐようになった。そして、礼拝にも出るようになり、洗礼を受けてクリスチャンとなったのである。その後、別居していた家族も引き取り、ヘボン家で共に暮らすようになった。

また、彼はヘボンの翻訳した福音書が印刷所に入ったときも、横浜を歩き回って版木屋を探し、優れた職人稲葉治兵衛を探し当て、1枚1円の手間賃で木版を彫らせた。そしてその後、福音書の版下はすべて彼が書いたのである。

そんな時、彼は日曜学校の手伝いを頼まれて子どもたちを教えるうち、あの賛美歌 Jesus Loves Me と出会ったのである。その後、彼は皆の依頼で次々と美しい賛美歌の作詞者として多くの人に歓迎されたが、1873(明治6)年、63篇の賛美歌を選んで作詞し、『賛美歌集』として出版した。賛美歌の美しいメロディと奥野の優れた歌詞は、新しい表現を求める日本の若者の心をとりこにし、その中には山田美妙、薄田泣菫、島崎藤村などの文人がいた。

1876(明治9)年。ヘボン一家は山手に住居を移した。谷戸橋畔の旧住宅はバラの弟ジョンに譲られた。そしてその翌年。ヘボンの属するアメリカの長老教会、スコットランドの長老教会、そしてブラウンの属するリフォームド教会の3つが合体して「日本基督一致教会」が横浜に誕生した。

また、ヘボン夫人の塾から育ったバラ学校、ブラウンの神学塾、タムソン塾、カロザス塾がすべて統合されて、築地に「一致英和学校」が開設された。そして、大輪の花が次々と開花するように、宣教師たちの手によるキリスト教主義の学校が日本各地に出来たのであった。

*

<あとがき>

賛美歌「主われを愛す」(Jesus Loves Me)は、日曜学校で使う『こどもさんびか』の中にも入れられており、今や日本中に親しまれています。これはジュリア・クロスビーという宣教師が、初めて日本の子どもたちを集め、片言交じりで教えたもので、ヘボン夫妻もよく日曜学校で子どもたちと一緒に歌ったと記録されています。

今まで家族や友達と合唱した経験のない子どもたちは大喜びでオルガンに合わせて、大声を張り上げて歌いました。これを見た大人たちも、この賛美歌に親しみ、教会にやって来て子どもと一緒に大声を張り上げて歌ったのでした。実に、この賛美歌が日本の家庭や社会に与えた恩恵は測り知れないものがありましょう。

また、ヘボンの助手として聖書の翻訳事業を助けた奥野昌綱は、この賛美歌と出会ったことから、賛美歌の作詞をするようになり、新しい使命へと導かれたのです。これも出会いの不思議を物語っておりましょう。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン
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