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新日本語訳聖書記念連載

ヘボンと日本語訳聖書誕生の物語(17)新約聖書の日本語訳完成す

2018年12月5日20時59分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン

1872(明治5)年。山手町39番地のヘボン家の診察室に東京と横浜在住の宣教師たちが集まり会議を開いた。主な案件は、「聖書翻訳の合同作業の結成」「教派によらない日本基督公会の主旨徹底」「日本人宣教師の養成」などであった。そして、これらの事柄を通して「聖書の日本語翻訳」という大事業をどのように進めていくかが真剣に議論された。

ヘボンは合同作業グループの名を「翻訳委員会社中」と名づけた(社中とは仕事仲間を意味する)。また差し当たって新約聖書翻訳のためのメンバーを「横浜委員会」と名づけた。

委員会は各宣教団の中から1名ずつ、C・ウィリアムズ、J・パイパア、R・S・マクレー、W・ライトらに出席を要請。当面の役員にヘボン、ブラウン、D・C・グリーンの3人が指名された。この3人にはそれぞれ日本人助手として、ヘボンには奥野昌綱、ブラウンには高橋五郎、グリーンには松山高吉がついた。

ヘボンは奥野昌綱との出会いの中に神の不思議な摂理を感じていた。奥野は前年1871(明治4)年にヘボン家を訪れて以来、キリスト教書の印刷のために全力を尽くした。彼は自分で版下を書き、木版屋と交渉して版木を彫らせた。また、編集や清書、原稿の推敲に際してもヘボンのそばを離れることなく、彼を助けた。実際、この奥野がいなかったら、ヘボンはあのように美しく、なめらかな聖書の翻訳はできなかったと思われる。

翌年1873(明治6)年2月24日。喜ばしいニュースがもたらされた。それは、日本中の人々を、そして外国から来た宣教師たちをあれほど苦しめた「キリスト教禁止令」の高札がついに降り、信教の自由が認められることになったのである。

翻訳委員会の作業は順調に進められていった。そのうち、ブラウンが健康を害し、しばしば寝込むようになってからは、会場をブラウン家に移し、ほとんど毎日のように集会が持たれた。

この集会の記録は、正確に記された。書記のグリーンは、上質の洋紙のノートにペンで記し、ゴムのナンバーリングでページを打った。この記録は1773(明治6)年3月25日からほぼ100日にわたって忠実に記されていった。

1879(明治12)年。ようやく新約聖書の日本語訳完成の兆しが見えてきた。しかし、あと一歩という時に、ブラウンが倒れた。腎臓結石と前立腺肥大であり、残された命も少ないことを感じつつ、彼は帰国した。

彼に去られ、ヘボンは肩の荷が急に重くなるのを覚えたが、クララや委員会のメンバーたちに励まされ、最終の業務の締めくくりを果たすことができたのであった。

翌年1880(明治13)年4月。東京築地の新栄教会で、14教派の代表者が出席して「新約聖書の日本語訳」完成を喜びつつ祝賀会が開かれた。席上、ヘボンは完成までの経緯を苦労談を交えて語り、多くの人に支えられてこの偉業を達成できたことを感謝した。これを聞いた人々は、四福音書をはじめ、多くの部分がほとんどヘボンの手によって訳されたことにあらためて驚嘆したのだった。

「私は、日本文化の驚くべき進歩を大いに喜ぶとともに、今こそ日本国民にとって聖書が必要であること、そして今後は一日も早く旧約聖書の翻訳をも完成させ、新・旧併せて聖書が日本人の手に抱かれる日が来ることを切に望んでおります。実に、聖書を学ぶことによって日本人はその英知を磨かれ、さまざまな方面において才能を開花させ、文化的に一層の発展を見せてくれることを私は信じてやまないのです」。ヘボンは述べた。

ところで、この翻訳完成の陰には日本人女性たちの献身もあり、彼女たちのわざも高く評価された。奥野昌綱の娘ひさ、山内季野らは裏方として事業を支えてきたのであり、その日々は忍耐と苦労の連続であった。

「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、人には恵みあれ」。聖句を口ずさみながら、彼女たちは涙をこぼしたという。この1節が訳されるためには、まさに血を吐くような努力を重ねてきたことを思うのだった。

新約聖書の日本語翻訳は、日本国内に大きなセンセーションを巻き起こした。この美しく、優雅な文体は詩人の上田敏を感動させ、「これは明治文学に多大な影響を与える驚異的な文学上の偉業である」と評論家の木村毅をして絶賛せしめた。ブラウン家の跡地には、戦火を潜って傷ついた「新約聖書和訳記念の地」と書かれたプレートが今も残されている。

*

<あとがき>

出会いというものの中には、しばしば奇跡が働きます。ヘボンと奥野昌綱との出会いがそうでした。奥野は、キリスト教書の印刷のために全力を尽くし、自分で版下を書き、木版屋と交渉して版下を彫らせました。また、編集や清書、原稿の推敲に際しても力を尽くしたのです。

奥野がいなかったら、ヘボンはあのように美しく、なめらかな聖書の翻訳はできなかったでしょう。また、この事業の裏方として、奥野の娘ひさをはじめとする日本人女性の努力がありました。

完成も間近という時に、ブラウンが腎臓結石と前立腺肥大という大病に侵され、帰国してしまいました。彼はすでに心の中で自分の命が残り少ないことを自覚していたようです。

心に痛みと悲しみを覚えつつも、ヘボンは協力者に支えられ、残る作業を完成させました。そして、1880(明治13)年4月、「新約聖書の日本語訳」が初めて日本人の手に取られることになり、築地の新栄教会で祝賀会が開かれたのでした。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で日本動物児童文学奨励賞を受賞。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝のWeb連載を始める。その他雑誌の連載もあり。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ジェームス・カーティス・ヘボン
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