日本人に寄り添う福音宣教の扉(45)良いものは確かに良い 広田信也

2018年5月3日21時11分 コラムニスト : 広田信也 印刷
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中国北京でモーターショーが開催されている。内燃機関で圧倒的な後れを取っていた中国だったが、現地の自動車メーカーや新興ブランドが、EV(電気自動車)など電動化車両を多数出展して巻き返しを図っている。

長年、ディーゼルエンジンの研究開発に携わってきた私としては、若干残念な傾向だが、世の中の流れは、経済が拡大する方向に向かう以上、ある程度の電動化は避けられないのだろう。

私がトヨタ自動車に入社した1980年は、ガソリン乗用車が三元触媒システムにより、排気浄化にめどが立った年だった。「ガソリンでできたのだからディーゼルでもできるだろう」と簡単に考えて始めた仕事だったが、それから40年近い年月が過ぎてしまった。

結局、期待されているような技術は開発できなかったように思う。化学プラントのような複雑な装置を提案しては、社内だけでなく世界中の多くの技術者を困らせてきたが、関係者たちがさまざまな苦労をして実用化してくれたように思う。

いつ頃からかクリーンディーゼルと呼ばれるようになったこの技術はいまだ開発途上であり、出願特許の多さはその未熟さを示しているといってもいい。

複雑な技術で構成されていることもあり、ディーゼル乗用車は高価な製品になってしまったが、それでもその動力性能の良さを認める人は多く、日本では今になって少しずつ台数が増えてきている。

先日、最近のディーゼル乗用車を体験してみたくなり、あるドイツメーカーの営業所に出向き、試乗を申し出てみた。さすが高級車を扱うだけあって、高速道路の試乗まで体験し、実に楽しい時間を過ごすことができた。

数年前に古いディーゼル乗用車を手放した私だが、もう一度自分のものにしたくなってきた。もちろん、長距離の高速走行に向いているディーゼル車が、今の私のライフスタイルに合っているわけではない。そんな無駄使いは許されないだろう。しかし、良いものは確かに良いのである。

トヨタを退職後、私の仕事はディーゼルエンジンの開発から福音宣教へと変わった。まったく違う分野である。しかし、不思議なことだが、仕事の質がよく似ていると日頃感じている。

素性の良いディーゼルエンジンを残すために毎日続けてきた思案が、素性の極めて良い福音を日本に根付かせるための思案に変わったのである。

福音とは、他の宗教の伝える教義とはまったく異なっている。約2千年前にユダヤの地で実際に起こった1つの史実に基づいている。

旧約聖書に約束されたキリストが、人の罪、汚れ、死に至る苦しみを身にまとい、十字架にかけられ、死んで葬られ、3日目によみがえり、永遠のいのちの保証が与えられたのである。

福音の素性の良さは、人にとって最も有り難い「いのちの保証」が、歴史の動かすことのできない史実として示されていることにある。いわゆる、高い性能を示す確かな実験データのようなものである。

そしてもう1つの素性の良さは、その史実を認めることが、特に「死」に直面した弱さを抱える人々に実際的な慰めと励ましを与えることである。

私は、福音宣教に携わるようになり、「死」に直面した人の悲しみや痛みのただ中に出向くことが多くなった。とても担いきれない「死」の現実を前にして、聖書の伝える福音の素性の良さだけが支えになることがよく分かるようになった。

人にとって「死」は避けられない障壁ではあるが、福音は、確かにその壁を乗り越えさせる力を持っている。性能が極めて高いのである。

ディーゼル乗用車を体験するには試乗をしてみればいい。性能の高さは、体験すれば誰でも認めることができる。しかし、高価な買い物をすることになっても誰も助けてはくれない。

しかし、福音は弱さを抱える人にとっては、無料で手に入る極めて高価なプレゼントのようなものだ。もらった人は実に有り難く感じるだろう。福音宣教は、本当にやりがいのある仕事だとつくづく思う。

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広田信也

広田信也(ひろた・しんや)

1956年、兵庫県生まれ。1980年、名古屋大学工学部応用物理学科卒業、トヨタ自動車(株)入社。1981年、トヨタ自動車東富士研究所エンジン先行開発部署配属。2011年の定年退職まで、一貫してクリーンディーゼル新技術を先行開発。保有特許件数500件以上。恩賜発明賞、自動車技術会論文賞などを受賞。1985年、キリスト教信仰入信。2016年現在に至るまで教会学校教師。1988~98年、無認可保育所園長。2011年、関西聖書学院入学。2014年、同卒業。ブレス・ユア・ホーム(株)設立。2016年、国内宣教師として按手を受ける。

ブレス・ユア・ホーム

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