Skip to main content
2025年5月17日12時19分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム

トランプ大統領の一般教書演説 そこから見えてくる米国の2018年

2018年2月2日14時56分 執筆者 : 青木保憲
  • ツイート
印刷
関連タグ:ドナルド・トランプアメリカ福音主義(福音派)移民
トランプ大統領の一般教書演説 そこから見えてくる米国の2018年+
米連邦議会で一般教書演説をするドナルド・トランプ大統領=1月31日(写真:ホワイトハウス / Shealah Craighead)

第45代米大統領ドナルド・トランプ氏が1月31日、連邦議会で「一般教書演説(State of the Union Address)」を行った。米国では「予算教書」「大統領経済報告(経済教書)」と合わせて三大教書と呼ばれ、一般教書演説は毎年1月最終週の火曜日に、大統領が上下院議員向けに国の現状について演説を行うことが慣例化している。同時にこれは、国内外の主要な政治的課題に対する大統領とその運営チームの見解を述べる機会でもある。さらに、大統領個人としても、過ぎし1年間で自分がどれほど頑張ってきたかを議員たち(当然テレビ中継されるため、結果的には全世界に)アピールする場とも言い換えることができる。トランプ氏にとっては、ここできちんと米国民に自己アピールしておくことで、今秋行われる中間選挙に弾みをつけたいはずだ。

実は、大統領は議会出席権を持っていない。合衆国憲法の規定では書面で「教書」を議会に送付することが認められているだけである。しかし慣例として、議会による特別な招待を受けて作成した本人(当然、どんな内容にするかはスタッフと協議している)が口頭で「演説」といった形で披露することになっている。このあたりのバランス感覚がいかにも米国らしいと思わされる。

最近の小中学校でよく行われる「到達度自己診断」が、国を挙げての年中行事になったと考えると分かりやすい。ネットなどではすでに、今回の教書全文が開示されているし、日本語にも翻訳されている。おそらく世界のほとんどの言語に訳され、あっという間に全世界へ拡散していったことだろう。

この教書の内容をチェックすることで、米国がどこへ向かおうとしているのか、国の為政者(大統領)が米国をどこへ向かわせようとしているのか、がおぼろげに見えてくることになる。今回はその中身をひもときながら、米国の2018年を予想してみたい。

一般教書演説の面白さは、米国民なら誰でも知っている卑近な話題を取り上げ、そこに関連した人々を会場に招待することで、話の信ぴょう性を高めようとすることにある。「論より証拠」とでも言うべきか。

今回は、昨年8月の大型ハリケーン「ハービー」によるテキサス州ヒューストンの壊滅的な破壊を取り上げている。被害に遭った人々を救助するために尽力した下士官の活躍を述べ、本人を紹介。同じようなパターンで、カリフォルニア州の火災で人命救助に活躍した消防士も紹介された。最後にラスベガスの銃乱射事件にもコメントし、これらの悲劇にもめげず、国のために尽くすことの尊さを訴えた。「合衆国が強さを示せるのは、米国民が強いからだ」と冒頭の言葉を締めくくる。個々人と連邦の強い絆をアピールすることが狙いのようである。

次いで披露されるのは、この1年間のトランプ氏の実績である。自分で自分を褒めるというのだから、少し日本では抵抗を感じるところだろう。しかしこれは大統領にとって、人々が評価する基準を示すものである。決してないがしろにはできない。主にアピールされたのは以下の項目だ。

  • 240万もの新しい雇用を創出したこと。
  • 米国史上最大規模の減税を行い、それが中産階級や中小企業に多大な支援となったこと。

「オバマケア」への言及は、彼の公約でもあったため、特に強調されたということができる。年収5万ドル以下の世帯への大幅な減税を行ったことで、「悲惨なオバマケア(disastrous Obamacare)」の核心を廃止できた、とトランプ氏はアピールした。さらに「米国を信じ、熱心に働くなら、あなたはきっと何か夢をかなえることができる」と続け、「新しい米国の誕生の瞬間だ」とすら言いきった。

この後は、退役軍人への手厚いケアをどれほど心砕いて行ってきたかが語られ、次いで自動車産業復興のために、国内に工場を移転させる働き掛けがうまくいっていることを語った。

ここまでの在り方は、今までの歴代大統領とあまり差を感じさせない。雇用の創出と経済状況の向上を訴えることはある意味常套手段であり、「トランプ大統領だから」と思わせるものはあまりない。しかしその後に続く、移民政策を語る段になると、一気に「トランプ色」が濃くなってくる。

移民法に4つの柱を据え、これを改革するつもりであるとトランプ氏はアピールする。これを「21世紀の移民制度」として導入するつもりだ、とまで彼は語る。

第一の柱は、幼少期に両親によって米国へ連れて来られた180万人の違法移民に市民権を与える道を拡大すること。しかし教育を受け、仕事を真面目にするという要件を満たし、善良で道徳的な人であることが求められる、と釘を刺した。つまり無条件ではなく、国家としてチェックをするということであろう。

第二の柱は、「南の国境に壁を造る」こと。これに関しては有名なことだろうから、これ以上の説明はいらないだろう。

第三の柱は、無作為にグリーンカード(永住権証明書)を渡すのではなく、社会に貢献できる人、米国を愛し尊敬する人に優先して永住権を与えること。ここでも政府のチェック機能強化が語られている。

第四の柱として語られたのは、移民してきた者たちがその親戚を安易に米国へ呼び寄せることを禁ずるということである。配偶者や未成年の子どもに限定し、直系家族のみを呼び寄せられることにするという方策のようだ。

この辺りは、「アメリカ・ファースト」を訴えてきた大統領らしい主張である。つまり今後も移民や永住権をめぐる諍(いさかい)いが起こり得ることが予想される。

最後に取り上げたトピックスはやはり外交問題であった。

トランプ氏は「弱さが紛争への確実な道であり、かつてないくらいの力を持つことによって防衛する」と語り、防衛予算の上限を撤廃するよう、議会に働き掛けていくことを宣言した。また、核兵器に関しても「核兵器がない世界」は確かに望ましいが、それは「魔法の瞬間」であって、現実的でないと訴える。これもまたオバマ前大統領の方向性とは異ることをアピールするものである。

その後、イスラエルの首都としてエルサレムを認定したことをあらためて宣言し、国連で米国の主張に反対が多かったこと挙げ、「反対を訴えた国にも毎年何十億ドルもの支援を行っているのに・・・」とぼやきを入れる。

続いて、イランの核合意問題、北朝鮮の核ミサイル問題などに触れ、これらの問題も「米国」という視点からどう捉えるべきかを述べた。

トランプ大統領の一般教書演説 そこから見えてくる米国の2018年
一般教書演説が行われた米連邦議会(写真:ホワイトハウス / D. Myles Cullen)

このような一般教書演説は、米国内に対してであると同時に、世界各国に対して米国がどう向き合っていくかを語るという意味で、ある程度米国の方向性をうかがい知ることができる。

やはり、これらの中に宗教的な要素が少ないのは近年の特徴と言えよう。確かにトランプ氏は、統計上白人福音派の支持を得たことになっている。しかしそこには宗教性を上回る現実的な経済事情があったことは明らかであり、そのことがこの一般教書演説にも反映されていると言えよう。

同時に分かるのは、必死になってトランプ氏が「一つのアメリカ」を紡ぎ出そうとしている様子である。選挙戦ではあれほど分裂と争いを呼び込んだ(とメディアでは思われている)にもかかわらず、やはり「大統領」という立場からは、人々の和解や融合を説き、その「扇の要」たらんとしていることが分かる。オバマ前大統領の「実利」を全否定するような言い回しは、「もはや民主党ではない」「従来の政党政治ではない」というアピールが込められているように思われる。

先日、NHKの「クローズアップ現代」でトランプ政権と福音派の関係が取り上げられた。エルサレムへの首都移転を決断したトランプ政権と、その推進をバックアップする米国福音派という構図であった。しかしその捉え方は、1980年代以降に台頭した宗教右派へのまなざしとまったく変わっていない。あれから40年近くが経過しているにもかかわらず、福音派へのメディアのまなざしは変わっていないようだ。そしてトランプ氏と福音派との本当の距離感をきちんと説明できる視点は、いまだ確立していない。

一般教書演説のようにトランプ氏の生の声を聴ける機会を一つ一つ捉え、それをこうやって考察していくこと。今はこれしかないように思われる。米国の2018年はやはり、内向きの力がさらに支配的になるのだろう。まさか本当に壁を造ることはしないだろうが、かつてのような「アメリカンドリーム」を求めて人々がやってくる新天地とは決してなり得ないだろう。

◇

青木保憲

青木保憲

(あおき・やすのり)

1968年愛知県生まれ。愛知教育大学大学院卒業後、小学校教員を経て牧師を志し、アンデレ宣教神学院へ進む。その後、京都大学教育学研究科修了(修士)、同志社大学大学院神学研究科修了(神学博士)。グレース宣教会牧師、同志社大学嘱託講師。東日本大震災の復興を願って来日するナッシュビルのクライストチャーチ・クワイアと交流を深める。映画と教会での説教をこよなく愛する。聖書と「スターウォーズ」が座右の銘。一男二女の父。著書に『アメリカ福音派の歴史』(明石書店、12年)、『読むだけでわかるキリスト教の歴史』(イーグレープ、21年)。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:ドナルド・トランプアメリカ福音主義(福音派)移民
  • ツイート

関連記事

  • トランプ氏就任1年:米国人の大半「信頼していない」も、多くのクリスチャンは大統領のために祈り

  • 米福音派指導者ら、ホワイトハウスの大統領執務室でトランプ氏と祈り 「シオンの友賞」を授与

  • エルサレム首都認定、トランプ政権の決断とその波紋 どうして米国はイスラエルを重要視するのか(1)

  • トランプ氏のエルサレム首都認定 クリスチャンの間でなぜ違う反応?

  • 横田早紀江さんを囲む拡大祈祷会 夫の滋さんの受洗とトランプ米大統領との面会について報告

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 世界では神を信じている人の方が多い 85カ国・地域9万1千人を対象に大規模意識調査

  • 聖書普及事業150年記念式典・レセプションの申し込み受け付け始まる

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(222)心を癒やす祈りと賛美 広田信也

  • ドイツの大聖堂で「世界最大の聖書のページ」展示 グーテンベルク生誕625年記念で

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

  • 不公平な愛 菅野直基

  • 「司牧と行政の両方に深い知識と経験」 日本司教協議会会長、新教皇誕生でメッセージ

  • ワールドミッションレポート(5月17日):パキスタン 南部パンジャブ州のサライキ語話者のために祈ろう

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • カリフォルニア州のビーチで7752人が受洗、米国史上最大規模の合同洗礼式

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 「司牧と行政の両方に深い知識と経験」 日本司教協議会会長、新教皇誕生でメッセージ

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • 四半世紀ぶりに欧州で大規模伝道会議、今月末にベルリンで 牧師ら約千人が参加

  • 世界では神を信じている人の方が多い 85カ国・地域9万1千人を対象に大規模意識調査

  • 新教皇を選ぶコンクラーベ、いつ、何回目の投票で決まる? 181日間に及んだケースも

  • 次期ローマ教皇の有力候補4人

  • 新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、教皇名は「レオ14世」 初の米国出身者

  • ローマ教皇フランシスコの死去に対する日本国内の他教派の反応

  • 聖墳墓教会の床下発掘調査で貴重な発見、ヨハネ福音書の記述を裏付ける証拠に

  • 映画「空中の権威」が日本語字幕で視聴可能に 現代クリスチャンに警鐘鳴らす作品

  • 21世紀の神学(27)プロテスタント教会側から見るローマ教皇 山崎純二

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • フランスのカトリック教会、復活祭に成人1万人以上が受洗 昨年比45%増

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

編集部のおすすめ

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 後藤健二さん没後10年、追悼イベントで長女が映像メッセージ 「誇りに思っている」

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.