Skip to main content
2025年6月16日16時38分更新
クリスチャントゥデイ
メールマガジン サポーターのご案内
メールマガジン サポーターのご案内
Facebook Twitter
  • トップ
  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
  • 記事一覧
  1. ホーム
  2. 論説・コラム
  3. コラム
戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯

戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(5)一粒の種が落ちる

2017年10月26日11時03分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
  • ツイート
印刷
関連タグ:フランシスコ・ザビエル

9月半ばのことだった。ポルトガル船が平戸に着き、ザヴィエル宛ての手紙が何通か保管してあるという知らせが届いた。そこで彼は取りあえずトルレス、フェルナンデス、ジョアン、そして新たに一行に加わったベルナルドと共に行ってみることにした。パウロとアントニオ、そしてインド人水夫アマドール、ハチヴェ族マノエルは鹿児島に残り、後を引き受けることになった。

やがて平戸に着くと、黒いポルトガル船が停泊しており、一行は声を上げて喜んだ。浜辺には物見高い人々がぎっしりと詰めかけていて、一行を見るとたちまちガヤガヤと声を上げた。やがて大砲が3発轟(とどろ)いたかと思うと、ポルトガルの音楽が響き渡った。

「パードレ、お久しゅう」。ポルトガル商人や水夫たちは子どものように狂喜し、大歓迎であった。浜辺には立派な小屋が設けられ、紅白の幕が張られている。そして、平戸城主松浦隆信自身がその前に立ち、一行を迎えた。

「ここまでよう来られた。ポルトガル商人とは日頃から交流があり、そのほうたちが手紙を受け取りに平戸に来られるだろうと思い、お出迎えいたした」

松浦隆信は親しみを込めて言った。ヤジロウがいないので、フェルナンデスが通訳した。そして、彼がザヴィエルたちが日本に来るまでどんなに苦労して未開発の土地の人々にキリストの教えを伝えてきたかを松浦候に語ると、この城主はいたく感動したようだった。

「この領内にこのように優れた高僧を迎えることができたことは、またとない幸いじゃ。皆の者、この方々を精いっぱいもてなし、労をねぎらうように」。彼は家臣にそう言った。

一方、鹿児島の仏僧たちは、ザヴィエルたちが平戸に行き、4人の弟子だけしか残っていないことを確認すると、すぐに行動を開始した。彼らは島津貴久の所に行き、訴えを起こしたのである。すでに貴久はザヴィエルたちに対する興味を失っていた。そこへ仏僧たちから、自分にひと言の断りもなく平戸に行き、城主の松浦候に保護されていることを聞くと、対面を傷つけられたような気がして烈火のごとく怒った。

「親切にしてやればつけ上がりおって。わしの所に庇護(ひご)を求めて来たからこそ布教の許可を与え、住居の世話までしてやったのに」。そして、彼はその日のうちに「禁教令」を出し、領内でキリシタンの教えを語ることも聞くことも禁ずるとし、町の辻々に札を立てさせた。

そうとは知らず、パウロはアントニオ、アマドール、マノエルと共に福昌寺の前で集まった人々を前に福音を語っていた。すると、突然役人が現れて人々を追い散らし、彼らの所に来て言った。

「あの札が見えぬか。キリシタンの教えを説く者は即刻逮捕せよとの命令じゃ」。そして、パウロを後ろ手に縛り上げると引き立てていった。彼は自分にすがりついたハチヴェ族マノエルの耳にささやいた。

「頼む。机の上の小箱に手紙が入っとる。それを平戸にいるパードレに届けてほしい」。彼を助けようとアントニオは隙を見て役人に飛びかかったが、ひどくぶちのめされ、同じように引いていかれた。アマドールもありったけの力で妨害しようとしたが、役人からやりの柄で突かれ、殴られて地面に転がった。その胸にしがみついて猿がキイキイと悲しそうに鳴いた。

マノエルは離れに駆け込み、手紙を見つけると懐に入れ、脱兎のごとく走り出した。彼は舟で行くよりも陸を行った方が追手の目をくらましやすいと判断し、ひたすら北に向かった。しかし、見張りの役人がその姿を見つけ、盗人と思って矢を放った。矢は背中に命中したが、彼はよろめきながら走り続けた。

「しぶといやつだ」。役人は追いついてつかみかかった。マノエルは、最後の力を振り絞って手紙を下着の中に隠すと、素手で相手に立ち向かった。役人は舌打ちすると肩から斜めに切り下げたので、ひとたまりもなく彼は倒れ、動かなくなった。役人は懐に手を入れ、着物を探り何か大切なものを持っていないかと調べたが、下着の下に隠した手紙には気付かず、死体を蹴飛ばして行ってしまった。

その姿が見えなくなると、物見高い人々が集まってきた。すると、死んだと思われていた男が、身動きすると手を伸ばした。

「モシ・・・」。彼は血まみれの手で手紙をつかみ出すと、見物人の1人に渡した。「コレヲ・・・ヒラトノ・・・パードレ・ザヴィエルニ・・・トドケテ・・・クダサイ」。そして、彼は息絶えた。それから3日後、現地に行く旅人の手により手紙は届けられた。

*

<あとがき>

一時はもの珍しさから、ザヴィエルの一行を歓待し、彼らに菩提寺である福昌寺の離れまで与えた島津貴久は、仏僧たちのざん言により、一行が平戸の城主松浦隆信に保護されていることを知ると烈火のごとく怒り、手のひらを返すように「禁教令」を出し、キリシタンの教えを信奉する者は死刑に処すとのふれ書きを町の辻に立てさせたのでした。まことに人の心は、嫉妬やざん言に毒されやすいものであることを考えさせられます。

さて、禁教令が出された鹿児島に留まっていたパウロとアントニオは、伝道している最中に捕らえられ、引いていかれます。この時、パウロは平戸にいるザヴィエルに急を告げる手紙を書き、それをハチヴェ族マノエルに託します。マノエルは手紙を懐に入れて町を出たところで、怪しんで後を追ってきた役人たちの手にかかって惨殺されてしまいます。しかし、彼は残る力を振り絞って手紙を旅人の手に渡すのです。マノエルは、最初の殉教者となりました。

<<前回へ     次回へ>>

◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フランシスコ・ザビエル
  • ツイート

関連記事

  • 混血児の母となって―澤田美喜の生涯(1)男まさりの子

  • 生命への畏敬―アルベルト・シュヴァイツァーの生涯(1)動物の苦しみ

  • 社会的弱者の友として―賀川豊彦の生涯(1)暗い出生

  • 非暴力で差別と闘った人―キング牧師の生涯(1)どうして黒人は差別されるの?

  • 貧民救済に命賭けて―山室軍平の生涯(1) 強さと優しさと

クリスチャントゥデイからのお願い

皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。

サポーターになる・サポートする

人気記事ランキング

24時間 週間 月間
  • コヘレトの言葉(伝道者の書)を読む(5)時の賛歌 臼田宣弘

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 日本人に寄り添う福音宣教の扉(224)音楽が支える聖霊による祈り 広田信也

  • ワールドミッションレポート(6月14日):スイス 信仰で買ったトラクター、ローレン・カニングハムとYWAMに託された農場の奇跡

  • ワールドミッションレポート(6月15日):ベラルーシのために祈ろう

  • 自分の考えを大切に生きよう 菅野直基

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • ワールドミッションレポート(6月12日):ベルギーのために祈ろう

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • ウォルター・ブルッゲマン氏死去、92歳 現代米国を代表する旧約聖書学者

  • 戦時下でも福音は止まらない ウクライナの伝道者が欧州伝道会議で講演

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

  • 「ハーベスト・ジャパン2025」開催決定! “世界的な癒やしの器” ギエルモ・マルドナード牧師が来日

  • 『天国は、ほんとうにある』のコルトン君、臨死体験から22年後の今

  • 1990年代生まれのプログラマー、カトリック教会の聖人に

  • 大統領選の結果受け韓国の主要キリスト教団体が相次いで声明、和解と相互尊重を訴え

  • 【ペンテコステメッセージ】約束の成就と聖霊の力―ペンテコステの恵みにあずかる 田頭真一

  • クリスチャンロックバンド「ニュースボーイズ」元ボーカルに性的暴行・薬物疑惑

  • フランクリン・グラハム氏、ゼレンスキー大統領と面会 和平求め祈り

  • 淀橋教会、峯野龍弘主管牧師が引退し元老牧師に 新主管牧師は金聖燮副牧師

  • 「みにくいアヒルの子」など数々の童話生み出したアンデルセン自伝 『わが生涯の物語』

  • 米南部バプテスト連盟、同性婚、ポルノ、中絶薬の禁止を求める決議案を可決

編集部のおすすめ

  • 四国の全教会の活性化と福音宣教の前進のために 「愛と希望の祭典・四国」プレ大会開催

  • イースターは「揺るぎない希望」 第62回首都圏イースターのつどい

  • 2026年に東京のスタジアムで伝道集会開催へ 「過去に見たことのないリバイバルを」

  • 「山田火砂子監督、さようなら」 教会でお別れの会、親交あった俳優らが思い出語る

  • 日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請

  • 教会
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
  • 宣教
  • 教育
  • 国際
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
  • 社会
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
  • 文化
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
Go to homepage

記事カテゴリ

  • 教会 (
    • 教団・教会
    • 聖書
    • 神学
    • 教会学校・CS
    )
  • 宣教
  • 教育
  • 国際 (
    • 全般
    • アジア・オセアニア
    • 北米
    • 欧州
    • 中南米
    • 中東
    • アフリカ
    )
  • 社会 (
    • 全般
    • 政治
    • NGO・NPO
    • 地震・災害
    • 福祉・医療
    )
  • 文化 (
    • 全般
    • 音楽
    • 映画
    • 美術・芸術
    )
  • 書籍
  • インタビュー
  • イベント
  • 訃報
  • 論説・コラム (
    • 論説
    • コラム
    • 執筆者一覧
    )

会社案内

  • 会社概要
  • 代表挨拶
  • 基本信条
  • 報道理念
  • 信仰告白
  • 編集部
  • お問い合わせ
  • サポーター募集
  • 広告案内
  • 採用情報
  • 利用規約
  • 特定商取引表記
  • English

SNS他

  • 公式ブログ
  • メールマガジン
  • Facebook
  • X(旧Twitter)
  • Instagram
  • YouTube
  • RSS
Copyright © 2002-2025 Christian Today Co., Ltd. All Rights Reserved.