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戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯

戦国に光を掲げて―フランシスコ・ザヴィエルの生涯(5)一粒の種が落ちる

2017年10月26日11時03分 コラムニスト : 栗栖ひろみ
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関連タグ:フランシスコ・ザビエル

9月半ばのことだった。ポルトガル船が平戸に着き、ザヴィエル宛ての手紙が何通か保管してあるという知らせが届いた。そこで彼は取りあえずトルレス、フェルナンデス、ジョアン、そして新たに一行に加わったベルナルドと共に行ってみることにした。パウロとアントニオ、そしてインド人水夫アマドール、ハチヴェ族マノエルは鹿児島に残り、後を引き受けることになった。

やがて平戸に着くと、黒いポルトガル船が停泊しており、一行は声を上げて喜んだ。浜辺には物見高い人々がぎっしりと詰めかけていて、一行を見るとたちまちガヤガヤと声を上げた。やがて大砲が3発轟(とどろ)いたかと思うと、ポルトガルの音楽が響き渡った。

「パードレ、お久しゅう」。ポルトガル商人や水夫たちは子どものように狂喜し、大歓迎であった。浜辺には立派な小屋が設けられ、紅白の幕が張られている。そして、平戸城主松浦隆信自身がその前に立ち、一行を迎えた。

「ここまでよう来られた。ポルトガル商人とは日頃から交流があり、そのほうたちが手紙を受け取りに平戸に来られるだろうと思い、お出迎えいたした」

松浦隆信は親しみを込めて言った。ヤジロウがいないので、フェルナンデスが通訳した。そして、彼がザヴィエルたちが日本に来るまでどんなに苦労して未開発の土地の人々にキリストの教えを伝えてきたかを松浦候に語ると、この城主はいたく感動したようだった。

「この領内にこのように優れた高僧を迎えることができたことは、またとない幸いじゃ。皆の者、この方々を精いっぱいもてなし、労をねぎらうように」。彼は家臣にそう言った。

一方、鹿児島の仏僧たちは、ザヴィエルたちが平戸に行き、4人の弟子だけしか残っていないことを確認すると、すぐに行動を開始した。彼らは島津貴久の所に行き、訴えを起こしたのである。すでに貴久はザヴィエルたちに対する興味を失っていた。そこへ仏僧たちから、自分にひと言の断りもなく平戸に行き、城主の松浦候に保護されていることを聞くと、対面を傷つけられたような気がして烈火のごとく怒った。

「親切にしてやればつけ上がりおって。わしの所に庇護(ひご)を求めて来たからこそ布教の許可を与え、住居の世話までしてやったのに」。そして、彼はその日のうちに「禁教令」を出し、領内でキリシタンの教えを語ることも聞くことも禁ずるとし、町の辻々に札を立てさせた。

そうとは知らず、パウロはアントニオ、アマドール、マノエルと共に福昌寺の前で集まった人々を前に福音を語っていた。すると、突然役人が現れて人々を追い散らし、彼らの所に来て言った。

「あの札が見えぬか。キリシタンの教えを説く者は即刻逮捕せよとの命令じゃ」。そして、パウロを後ろ手に縛り上げると引き立てていった。彼は自分にすがりついたハチヴェ族マノエルの耳にささやいた。

「頼む。机の上の小箱に手紙が入っとる。それを平戸にいるパードレに届けてほしい」。彼を助けようとアントニオは隙を見て役人に飛びかかったが、ひどくぶちのめされ、同じように引いていかれた。アマドールもありったけの力で妨害しようとしたが、役人からやりの柄で突かれ、殴られて地面に転がった。その胸にしがみついて猿がキイキイと悲しそうに鳴いた。

マノエルは離れに駆け込み、手紙を見つけると懐に入れ、脱兎のごとく走り出した。彼は舟で行くよりも陸を行った方が追手の目をくらましやすいと判断し、ひたすら北に向かった。しかし、見張りの役人がその姿を見つけ、盗人と思って矢を放った。矢は背中に命中したが、彼はよろめきながら走り続けた。

「しぶといやつだ」。役人は追いついてつかみかかった。マノエルは、最後の力を振り絞って手紙を下着の中に隠すと、素手で相手に立ち向かった。役人は舌打ちすると肩から斜めに切り下げたので、ひとたまりもなく彼は倒れ、動かなくなった。役人は懐に手を入れ、着物を探り何か大切なものを持っていないかと調べたが、下着の下に隠した手紙には気付かず、死体を蹴飛ばして行ってしまった。

その姿が見えなくなると、物見高い人々が集まってきた。すると、死んだと思われていた男が、身動きすると手を伸ばした。

「モシ・・・」。彼は血まみれの手で手紙をつかみ出すと、見物人の1人に渡した。「コレヲ・・・ヒラトノ・・・パードレ・ザヴィエルニ・・・トドケテ・・・クダサイ」。そして、彼は息絶えた。それから3日後、現地に行く旅人の手により手紙は届けられた。

*

<あとがき>

一時はもの珍しさから、ザヴィエルの一行を歓待し、彼らに菩提寺である福昌寺の離れまで与えた島津貴久は、仏僧たちのざん言により、一行が平戸の城主松浦隆信に保護されていることを知ると烈火のごとく怒り、手のひらを返すように「禁教令」を出し、キリシタンの教えを信奉する者は死刑に処すとのふれ書きを町の辻に立てさせたのでした。まことに人の心は、嫉妬やざん言に毒されやすいものであることを考えさせられます。

さて、禁教令が出された鹿児島に留まっていたパウロとアントニオは、伝道している最中に捕らえられ、引いていかれます。この時、パウロは平戸にいるザヴィエルに急を告げる手紙を書き、それをハチヴェ族マノエルに託します。マノエルは手紙を懐に入れて町を出たところで、怪しんで後を追ってきた役人たちの手にかかって惨殺されてしまいます。しかし、彼は残る力を振り絞って手紙を旅人の手に渡すのです。マノエルは、最初の殉教者となりました。

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◇

栗栖ひろみ(くりす・ひろみ)

1942年東京生まれ。早稲田大学夜間部卒業。派遣や請負で働きながら執筆活動を始める。1980〜82年『少年少女信仰偉人伝・全8巻』(日本教会新報社)、1982〜83年『信仰に生きた人たち・全8巻』(ニューライフ出版社)刊行。以後、伝記や評伝の執筆を続け、1990年『医者ルカの物語』(ロバ通信社)、2003年『愛の看護人―聖カミロの生涯』(サンパウロ)など刊行。動物愛護を主眼とする童話も手がけ、2012年『猫おばさんのコーヒーショップ』で、日本動物児童文学奨励賞を受賞する。2015年より、クリスチャントゥデイに中・高生向けの信仰偉人伝の連載を始める。編集協力として、荘明義著『わが人生と味の道』(2015年4月、イーグレープ)がある。

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
関連タグ:フランシスコ・ザビエル
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