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神声人語

神声人語―御言葉は異文化を超えて―(19)言葉の借用 浜島敏

2017年4月28日16時30分 コラムニスト : 浜島敏
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翻訳上の複雑な諸問題の解決策として、その地域で用いられている商用語から、専門語を借用することも可能です。けれども、このような借用は、周到な調査の上でなされなければなりません。ひとたび借用されると、言葉というものは、その地の文化から新しい意味を取り入れ、もと来たところの文化とは無縁になるからです。

ベネズエラのモチロン族は、Maria purisima「最もきよきマリア」というスペイン語の慣用句から、purisima「最もきよき」なる語を借用しました。ところが、今日モチロン語で purisima といえば「悪魔」を意味します。モチロン族が purisima という語の意味を、こんなにも変えてしまったのは不思議に思われるでしょうが、その理由は簡単です。モチロン族が聞いていると、スペイン語を話す人たちが、この「聖マリア」という句を使うのは、ちょうどモチロン族が異教の神々に呼び掛けるのとまったく似たような場合です。

モチロン人は、スペイン語話者が、いかがわしい取引をするとき、救いを求めるのに、良い霊に呼び掛けていようとは考え及ばなかったのでした。それで、モチロン族が、この purisima なる語を、スペインの悪魔であると考えたのも無理もないことです。

同じような現象が、フィリピンのルソン島の一種族にも起こりました。住民たちはスペイン語の seguro(確かに)を借用しました。ところが、その意味は「たぶん」のつもりだったのです。彼らはスペイン語を話す人々の所作から、この言葉の意味を推測したわけです。スペイン人はいともあやしげな話を裏付けようとするとき、この「確かに」を用いていたわけなのです。

ラテン・アメリカにおける宗教用語がベニヤ板のように軽薄であることは、次のような例を見ればすぐうなずけます。例えば、スペイン語の gloria(栄光)から来た gluria は、ある地区では飲めや歌えやの宗教的祭礼を示すのに使用されています。

また、メキシコの地峡サポテク語では domingo(日曜日)から借用した語 dumingu が実際にはダンスを意味しています。スペイン語の ayuno(断食)を、ボリビア・ケチュア語の翻訳に用いることはできません。というのは、この語が地方のある聖者を記念して昼までの断食と、それに続くどんちゃん騒ぎを表しているからです。

英語だけが意味を細かく区別することができると思っている人は、事柄によっては他の言語の方が、より明解であるのを知って驚嘆するでしょう。リベリアのクペレ語では、「私の羊は・・・私について来ます」(ヨハネ10:27)のところを3通りの異なった表現に翻訳することができるのです。しかしながら、そのうち2つはまったく誤った意味にとられてしまうでしょう。

その1つは、「ずーっと離れて私についてくる」を意味します。なるほど、これは多くの自称クリスチャンについて言えることでしょう。が、イエスが言っておられるのは、そうではないのです。この語句を翻訳するいま1つの方法は、悪意を抱いて「こっそり跡をつける」、もしくは、「跡を追いかける」の意味になります。正しい訳は3番目のもの、すなわち「指導者の後ろからついていく」という意味のものです。

言語間の差異を強調するあまり、異なった言語は決して同じ比喩を用いることはない、との印象を抱きがちですが、これは大変な誤りというものです。北部メキシコの高地に住むタラウマラ族の女性も、自分の夫のことを英語流に my old man(うちの人)と言います。

また、パナマのバリエンテ人は、誰かを怒らせたときに He burned him up(彼は彼を燃えさせた──かんかんにした)と言うことがあります。このような比喩はいかにも似通って親しみがあります。

To have a heart(心を持つ――思いやりがある)というシピーボ語の慣用句は、私たちにもまことになじみ深い言い回しですが、この句は英語の対応表現の意味のすべてを含むだけでなく、意味の広がりももっと大きく、社会的によくまとまっている状態を示しています。シピーボ族にとって、心は人格の中心であります。理想的な意味では、人格の持ち主は、他の人たちと結びついて、部族という単位の中に融合されるべきなのです。

シピーボ社会で、最も大切にされていることは、傑出した人物であるということではなくて、社会構造の中に、よく溶け込む能力を持っていることであり、自己主張をしないで、社会に貢献することなのです。この理想は、このように「心を持つ」という比喩の中に表現されています。

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*

【書籍紹介】
ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』
訳者:繁尾久・郡司利男 改訂増補者:浜島敏

ユージン・ナイダ著『神声人語―御言葉は異文化を超えて』

世界の人里離れた地域で聖書翻訳を行っている宣教師たちと一緒に仕事をすることになって、何百という言語に聖書を翻訳するという素晴らしい側面を学ぶまたとない機会に恵まれました。世界の70カ国を越える国々を訪れ、150語以上の言語についてのさまざまな問題点を教えられました。その間、私たち夫婦はこれらの感動的な仕事の技術的な面や、人の興味をそそるような事柄について、詳細なメモを取りました。

宣教師たちは、未知の言語の文字を作り、文法書や辞書を書き、それらの言語という道具を使って神の言葉のメッセージを伝えるのです。私たちは、この本を準備するに当たって、これらの宣教師の戦略の扉を開くことで、私たちが受けたわくわくするような霊的な恵みを他の人たちにもお分かちしたいという願いを持ちました。本書に上げられているたくさんの資料を提供してくださった多くの宣教師の皆さんに心から感謝いたします。これらの方々は、一緒に仕事をしておられる同労者を除いてはほとんど知られることはないでしょう。また、それらの言語で神の言葉を備え、有効な伝道活動の基礎を作ったことにより、その土地に住む人々に素晴らしい宝を与えられたことになります。その人たちは、彼らの尊い仕事を決して忘れることはないでしょう。

本書は説教やレッスンのための教材として役立つ資料を豊富に備えていますが、その目的で牧師や日曜学校教師だけのために書かれたものではありません。クリスチャン生活のこれまで知らなかった領域を知りたいと思っておられる一般クリスチャンへの入門書ともなっています。読者の便宜に資するために3種類の索引をつけました。①聖句索引、本書に引用されている聖書箇所を聖書の順に並べました、②言語索引、これらのほとんど知られていない言語の地理上の説明も加えました、③総索引、題目と聖書の表現のリストを上げました。

ユージン・ナイダ

◇

浜島敏

浜島敏

(はまじま・びん)

1937年、愛知県に生まれる。明治学院大学、同大学院修了。1968年4月、四国学院大学赴任。2004年3月同大学定年退職。現在、四国学院大学名誉教授。専攻は英語学、聖書翻訳研究。1974、5年には、英国内外聖書協会、大英図書館など、1995、6年にはロンドン大学、ヘブライ大学などにおいて資料収集と研究。2006年、日本聖書協会より、聖書事業功労者受賞。2014年7~9月、ロンドン日本語教会短期奉仕。神学博士。なお、聖書収集家として(現在約800点所蔵)、過去数回にわたり聖書展示会を行う。国際ギデオン協会会員。日本景教研究会会員。聖書の歴史、聖書翻訳に関する著書・翻訳書、論文多数。

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※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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